狂愛の果て

行き場を失った感情の掃き溜め

徒然ディスクレビュー ~DUGOUT ACCIDENT編~

 すっかり春らしい天気になってきた今日この頃。ようやく季節が人間の生態に合わせてきてくれたというのに満足に外に出ることもできない。まあ人によっては春なんて、くしゃみ咳鼻水涙が止まらない生き地獄が生み出される最悪の季節でもある。幸いなことに私はまだ花粉症ではないので生き地獄を味わったことはないです。すまんな。アレルギー性鼻炎で万年花粉症みたいな症状でてるから許して。

 先ほども言ったとおり、外出することがはばかられるこのご時世。最近の私の生活は、食って寝てゲームしてツイッターを見るだけである。間違いなく人類の最底辺にいる。こんな生活でも一日はあっという間に過ぎていくよ。怖いね。

 お気づきの方もいると思いますが、正直に言います。ネタが尽きました。速い。速すぎる。そもそもドドドドド底辺生活にネタになるような出来事が起きるはずがないんだよなあ。2ヶ月に1回更新を目指しているのにそんなんで大丈夫なのか。いろいろと不安になったが、ネタがないのは事実。仕方ないので、ブログ始める前から温めてた企画やります。その名も、徒然ディスクレビュー。内容は、自分が好きな音楽について主観を交えまくりながらただひたすら書いていくだけ。好きな音楽というカテゴリだけでは広すぎるので、シングル、アルバム、EP等の作品ごとに1曲ずつ書いていく。発売日順ではなくその時書きたいなと思うものをつらつら書いていくつもりである。ただのディスクレビューに名前を付けることによってなんとか独自性を保とうとしているんですよ。つら。このブログは自己満足の塊なのでなんでも許されます。はい。

 

 というわけで、今回徒然と書いていく作品はこちら。

DUGUOUT ACCIDENT/UNISON SQUARE GARDEN

 

 ロックバンドUNISONSQUAREGARDENが2015年に発売した10周年記念ベストアルバムである。このアルバムの最大の特徴は、ベストアルバムと銘打っているのにシングル曲が一切収録されていないことである。普通ベストアルバムといったらシングル曲を収録するものなんじゃないのか。さすがひねくれロックバンド。しかし、シングル曲が一切収録されていないからといって侮るなかれ。ライブの定番曲やインディーズ時代の曲を再レコーディングしたもの、このアルバムにしか収録されていない曲等が16曲も入っている。シングルとこのアルバムさえ聴いていればユニゾンのライブは楽しめるのではないかと個人的は思っているくらいの名盤である。限定盤にはこのCDに加え、ライブDVDが2枚とスペシャルブックレットがついてくる。DVDにはシュガーソングとビターステップオリオンをなぞる等のMVも収録されているし、スペシャルブックレットはこれまでのユニゾンを振り返るインタビュー記事が掲載されていたりと超豪華仕様である。ユニゾンのことを深く知りたい人には全力で限定盤をおすすめする。これで1万円切るのはどう考えても頭おかしい。1万円切ると言ってもちょっと高いな・・・と思う方には通常盤Aがおすすめ。CDとDVDが1枚ついてきて5000円程度である。純粋に音源だけを聴きたいという方には通常盤Bがおすすめ。販売サイトによっては3000円切るのでお求めやすい。書いていて思ったが、全形態価格設定これであってる?利益あった?なんかトイズの回し者みたいになっちゃったが何の関係もないです。

 ユニゾンの狂った価格設定議論はここまでにして、そろそろ本題に移りたいと思う。前述の通りとにかく主観を交えまくりながらつらつらと1曲ずつレビューしていく。ちなみに私は音楽ド素人なので、コードがどうのこうのとか演奏方法がどうだこうだという話はできない。テンポが速い遅いぐらいの話しかできないし、この後コードが~音階が~という話をするとしたら完全に偏見で語ります。ご了承ください。

それでは、いってみよ~!!
 

 1.アンドロメダ

 アルバムの1曲目を飾るこの曲。インディーズ時代からある楽曲だが音源化されたのはこれが初めてだそう。フルオーケストラ構成となっており、非常に壮大。曲の最後に向かうにつれて、斉藤さんの歌声、バックのオーケストラ演奏が大きくなっていき、より曲の壮大さが増していく。特にラスサビの盛り上がり方はすごい。この曲を聴いていると、自分が宇宙の真ん中に放り出されて、宇宙をたゆたっている感覚になる。聴いてとても気持ちよくなってくる1曲。ヒーリング効果あるんじゃないの?ユニゾンの曲の中でオーケストラ演奏が使われている曲は他に、春が来てぼくらやオーケストラを観にいこうなどがあるが、あちらは聴いていて楽しくなってくる。弦楽器の華やかな音が気分を盛り立ててくれる。同じ楽器を使っているのにこうも印象が変わるとはリズムや音階って大切なんですね。

 歌詞に注目してみると、この曲は星との会話で展開していく。その会話の内容が圧倒的にUNISONSQUAREGARDEN。もう完全に田淵智也が考えました感がすごい。この世にはそれこそ星の数ほど曲があって、星との会話を題材とした曲もきっとたくさんあると思うのだけれど、こんな風に星に語りかけている曲他に無いのではないだろうか。星に祈りや願いを捧げている曲は多い印象があるけれど、星と人間が対等に会話している曲ってあまり見ない気がする。しかも、この星はただ光っているだけでも偉そうにするわけでもなく、「遅すぎる事はないと思うんだよ」と言ってくれるのだ。これ田淵の歌詞の中ではかなり優しい言葉なのでは?実際何を始めるにしても遅すぎるということはないもの。それを歌にして伝えてくれるって田淵智也相当優しいのでは?差し出された手を噛み千切ってるバンドと同一とは思えないな。

 私はこの曲の歌詞が全体的に好きなのだけれど、特に好きな部分がある。

「許せない、が何十回続いたとしても 降る世界が半狂乱で立ち尽くしても その物語は終わらないだろう」

ここ。曲のラスサビにあたる部分で、演奏も歌声も一番盛り上がっている部分である。私はこれを田淵からの励ましの言葉だと受け取っている。だって、許せないが何十回続いてて世界が半狂乱に陥ってる状況なのに、物語は終わらないって信じてくれてるんだぜ?これは私の解釈だが、物語というのは聴き手の人生のことであろう。めちゃくちゃ安直な解釈だけど。相当大変な状況に陥ってるにもかかわらず、聴き手は物語を終わらせない、人生を諦めないと信じてくれている。それがこの曲で1番伝えたかったことなのではないかと思う。まあ歌詞に意味なんてないらしいですけどね。

 限定盤のみについてくるDVDには、この曲が演奏されたライブ映像が収められている。オーケストラ音源と同期した演奏ではなく、斉藤さんの弾き語りバージョンで。弾き語りの方はかっこよさが増していてとても良いので、ぜひそちらも聴いてほしい。

 

2.フルカラープログラム(D.A style)


UNISON SQUARE GARDEN「フルカラープログラム」LIVE MUSIC VIDEO

 アンドロメダの余韻を打ち破るように響いてくるドラムの軽快なリズム。でました。フルカラープログラム。ユニゾンの原点にして頂点です(諸説あり)。流れ出した瞬間から感情が高ぶってしまう。うわー!フルカラープログラムだ!!!って脳内で叫んでしまうのは叫んでしまうのは私だけですか?私がまだシュガーソングとビターステップオリオンをなぞるしか知らなかった頃、この曲を聴いてバンドって良いかもしれないと思ったのを強く覚えている。だから、私にとってこの曲は相当思い入れのある曲なのだ。これを聴いていなかったらバンドにはまっていなかったかも知れないので、まさに運命を変えた1曲。叫んでしまうのも仕方ないね。

 曲調は王道のロックバンドサウンドで、キラキラしていて爽やか。しかし、どこか切なさを感じる。なんかこう夕焼けの空の下を涼しい風が吹き抜けている秋の日みたいな。ラスサビ前の「花畑 上の空 白昼夢の存在を 解き明かすまでは眠れません」のところで鳴っている情感たっぷりなギターの音色や曲が終わるのを惜しむようにギリギリまで響いているドラムの音のせいだろうか。しかし、歌詞を見ると結構前向きでユニゾンらしいフレーズがたくさんある。特に、「モノクロでは説明できない完全無欠のロックンロールを」はまさにUNISONSQUAREGARDENを表しているフレーズだろう。ユニゾンがロックンロールを意識して大切にしていることが伝わってくる。そうじゃないと歌詞に完全無欠とか書けなくない?相当な自信と覚悟が必要じゃない?完全無欠のロックンロールって。バンドの決意すらも感じる。好き。

 限定盤付属のブックレットにて、貴雄が「ユニゾンを象徴する曲」と言っていたが全くもって同意見である。そのせいか周年ライブやライブのラスト1曲等の大事なところで歌われるイメージが強い。近年はラスサビの「涙キラキラ西の空に光る モノクロでは説明できない完全無欠のロックンロールを」をの部分をアカペラで歌うことが増えていて、上に貼った動画でもアカペラで歌っている。このアカペラ部分が良い。斎藤宏介の歌のうまさが際立つ。伸びが良くて最高。アカペラも素晴らしいのだが、アカペラ終わりの盛り上がりにも注目だ。斎藤さんの歌声だけが響いていた空間をギター、ベース、ドラムの音が一気に彩り、文字通りフルカラーになる。タイトル回収のためのアカペラ演出なのか?えっ天才?UNISONSQUAREGARDEN天才集団?このアカペラ終わりが盛り上がるのも、アカペラ部分で伸びやかに歌っているからこそ。緩急がついていてより盛り上がれる。やっぱり天才?

 タイトルにD.A styleとあるように、この曲は再レコーディングされている。初収録は『流星前夜』。インディーズ時代にリリースされたアルバムだが、一昨年ぐらいに再発売されたので比較的入手しやすいだろう。音源だけならTSUTAYAとかで借りられる。サブスクはあるか分かりませんすまん。『流星前夜』の方の音源と比べると、こちらは全体のバランスが良くなって聴きやすくなったように感じる。あとギターのキラキラ感が増した。しかし、なんといっても前の方と大きく違うのは、斎藤さんの歌声だろう。歌声がもう全然違う。インディーズ時代~JET.COあたりまで斎藤さんの歌声は磨き抜かれたナイフみたいで、声に鋭さがあった。それはそれでめちゃくちゃ好きなんだけど。さよなら第九惑星とか歌声と合っててめちゃくちゃ好き。しかし、最近の斎藤さんの歌声は丸くなって優しくなったように感じるのだ。以前の鋭さが完全に失われたわけではないが、聴きなじみは格段に増したように思える。まあどっちの歌声も大好きですけども。

 

3.徹頭徹尾夜な夜なドライブ


UNISON SQUARE GARDEN「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」ショートver.

 ワタシドコ!!ココハダレ!!ダアレ!!!フルカラープログラムでロックバンドの愚直なかっこよさを再認識した後に流れ込んでくるのは、サイケデリックシンセサイザー。完全無欠のロックンロールはどうした。MVもすっごいビカビカしてるし斎藤宏介がなかなか治安の悪い柄シャツ着てるしどうしたんだよ。背景の派手さで酔いそう。あの後ろのタイムふろしきの柄みたいな時計何?イントロの主張の強いシンセサイザーの他にもホイッスルやよく分からない合いの手みたいなのも入っている。基本的に3人の音以外を入れた曲を作らないユニゾンの中では異質とも言える1曲。うちのおかん(ユニゾン嫌い)が唯一この曲だけは好きと言っているので、よほどユニゾンらしくないのだろう。知らんけど。個人的には真夜中のガラガラの高速をぶっ飛ばしているときにかけたい車内BGMランキング1位。免許持ってないけどな!!!!!

 しかし、ユニゾンのロックらしさが完全に失われたわけではない。シンセサイザーの後ろで暴れ回っているベースラインは最高にかっこいいし、バッチバチのギターソロもある。ユニゾン3人以外の音が目立ちがちだけれど、しっかりとしたバンドサウンドを奏でているのだ。サビのあたりなんか特に。

 ユニゾンのロックらしさと真新しさを多分に含んだこの曲はとにかくキャッチー。先ほどあげたシンセサイザーの音色もすごく耳に残るし、思わず飛び跳ねてしまうほどリズムが良い。特にサビで「ワタシドコ ココハダレ ダアレ」というフレーズが何度も繰り返されて脳内にすり込まれるのが大きい。この歌詞がキャッチーさ&ユニゾンらしさを加速させている。一般的には「ここはどこ わたしはだれ」と言うところを逆にして、違和感を生み出している結果耳に残るし、ユニゾンだなーと思ってしまう。なんで逆にしたのかは全く分からないけど。サビ以外も記憶に残りやすい部分が多い。2番のサビ前では怒濤の昔はやったギャグ4連発なんか結構インパクト強いのではないだろうか。曲調と歌詞両方が工夫を凝らされているこの曲。このアルバムのリード曲であることも納得である。

 この曲は今回収録されるまでライブでしか演奏されていない結構レアな曲だった。ライブに行った人だけの特典みたいな。そのため、アルバム収録が決定したときは多くの人が喜んだことだろう。ブックレットにて斎藤さんが「ライブに作ってもらった曲」とコメントしていたし、ライブで演奏されるたびに洗練されていったのだろう。私は今の完成された夜な夜なドライブ(良い略し方が分からん)しか知らないが、夜な夜なドライブが成長していく過程を味わいたかった・・・。「ライブに作ってもらった曲」とあるように、演奏されるとあり得ないぐらい盛り上がる。田淵も足上げまくりよ。このライブで盛り上がること必至のキラーチューン徹頭徹尾夜な夜なドライブはDUGOUT ACCIDENTにしか収録されてませんからね!!!!もう一度言いますよ!徹頭徹尾夜な夜なドライブはDUGOUT ACCIDENTにしか収録されてませんからね!!!!!(大声)

 

4.ガリレオのショーケース(D.A style)

 徹頭徹尾夜な夜なドライブでぶち上がったテンションをさらに加速させるのはこの曲、ガリレオのショーケース。テンション上がりすぎてドバイまで走って行ける。そしてそのまま石油王の愛人になるんだ。それで好きなバンドだけ集めたフェスを開くんだ・・・。そんな人間の無限の可能性を感じさせるこの曲は、1stシングル『センチメンタルピリオド』に初収録。カップリング曲である。そのくせライブでめちゃくちゃ演奏される。カップリング曲はライブでは基本やらないのがユニゾンのスタイルなのだが、この曲をやるのは田淵的に理由があるらしい。分からんけど。

 そんなイレギュラーなこの曲だが曲調もかなりイレギュラーだ。全体的には、日々のイライラを全て吹き飛ばしてくれるような爽快なロックチューン。ギター、ベース、ドラムがそれぞれ暴れ回ってこれぞユニゾンのアンサンブルといったものを作り出している。私は2番頭のベースラインが好き。しかし、ラスサビ前の間奏がとにかく変わっているのだ。キメが何回もあったりテンポが変わったりと、とにかく変。こればっかりは聴いてもらわないと伝わらないと思う。私はジャジャジャーンジャジャジャーーンのところが好きです。あと、ガッソー!!のところも好きです。ガッソー!!!!!!!!!!!!!

 この曲、曲調もかなり変わっているが歌詞もかなり変わっている。意味が分からない。ユニゾンのほとんどの曲は歌詞の意味が分からないので、当然と言えば当然かも知れない。少々話が脱線してしまうのだが、私はユニゾンの歌詞は決して意味の分からないものではないと思う。さっき意味分からんって言ってたくせに何言ってんだこいつ。けど我慢して聞いてほしい。石油王の愛人になれたら土地あげるから。ユニゾンの歌詞はやたら小難しい単語を羅列していたり、文脈がつながっていなかったりとそのまま読むだけなら意味が分からないものが多い。だが、何度も聴いているうちに曲が伝えたいことは伝わってくるのではないかと私は思っている。ただユニゾンは小難しい言葉ばっかり使ってるせいで伝わってくる速度が異常に遅くなり、よく意味が分からないと言われてしまうのではないかなと思っている。一聴じゃ読み解けない。読み解かせない。それがUNISONSQUAREGARDENの良さではないのだろうか。まあその伝わってきたものが田淵が伝えたかったことかどうかはまた別問題なんですけど。

 で、この曲から伝わってきたことなのだがほぼない。現実は存外つまらなくて汚いものだけれど、綺麗で楽しいものだと思い込んで過ごした方が幸せだという事しか伝わってきませんでした。あんだけ語っておいてなんだよって感じなのだが非常に薄っぺらいことしか感じ取れなかった。私の頭が弱すぎるばっかりに・・・!脳みそがダチョウレベルで小さいのが災いしたか。多分まだ曲を味わいきれてないんでしょうね。もっと聴きます。ただとにかく勢いがあってノリがよくて最高、日々の悩みなんか吹き飛んでしまう曲ということだけはよく分かっている。初収録時よりBPMだいぶ速くなってるしね。

 

5.23:25(D.A mix)

 フルカラー~ガリレオまで全速前進怒濤の勢いで走ってきたテンションを徐々に落ち着かせてくれる曲。といっても完全に止まるわけではなく、気分を高揚させたままほどよいスピードに落としてくれる感じ。まあラスサビ前の間奏でぶち上がってしまうんですけど。アルバムのテンションを維持してくれるこの曲は、2ndアルバム『JET CO.』に初収録、このアルバムにはそれのリミックス版が収録されている。原曲と比べてリードギターの音がみずみずしくなり聴きやすくなっている気がする。ところで、私はついこの間まで『JET CO.』のことを『JET GO.』だと思っていたし、なんなら最後のピリオドの存在を完全に忘れていた。ごめんて。ジェットがゴーすんのか!!!とか思っていた。ルー大柴かよ。ごめんて。

 曲調はミドルテンポの王道ロックサウンド。遊園地から帰るときのようなあの楽しさと名残惜しさが混ざった独特の感情を抱いてしまう。『JET CO.』のイメージに引っ張られているのだろう。『JET CO.』は遊園地をテーマにしたアルバムらしく、遊園地の乗り物をテーマにした曲が多く収録されている。その中でもこの23:25はアルバムの一番最後、締めの1曲として置かれている。歌詞にも「帰ろう世界へ」とあるし、この曲は遊園地という非日常から現実世界に帰る曲という位置づけなのではないだろうか。言ってみればライブも一種の非日常である。ライブを見ている間は課題とか就活とかいう現実のクソみたいなことを忘れられるし。そう考えると、この曲はライブという非日常から現実へと帰る曲という風に捉えることもできる。そのせいかライブでも最後の方に演奏されることが多いと思っていたが実際はそんなことはなかった。調べてみたら以外と最初の方に演奏されてた。証明失敗。

 この曲は非日常から現実世界へ帰る曲と言ったけれど、帰る先の現実世界は思っているほど悪いものではないということもこの曲から伝わってくる。「人生はきっと微妙なさじ加減で 彩られては花盛り 少しあっては雨ふらし」という部分から、人生は楽しい瞬間も悲しい瞬間もある。浮き沈みがあるものだ。と伝わってくる。そこから、一つの失敗に落ち込まずに前向いて行けよというメッセージだと私は受け取っているのだが、さすがに過大解釈かも知れない。本当のところは田淵にしか分からない。歌詞に意味なんてないらしいからね。ところで、タイトルの謎はいつになったら答え合わせをしてくれるんですか???instant EGOISTにヒントはあるらしいですけど、全く分からないんですが????

 

6.夕凪、アンサンブル

 23:25で徐々に落ち着いてきたテンションを完全にクールダウンさせてくれる曲。このアルバムの文字通り、凪である。テンション上がったままだと疲れちゃうからね。ここにこの曲を配置した田淵さすがすぎるな。落ち着いているときにふっと口ずさんでしまう曲。この曲はインディーズ時代のコンピレーションアルバム『DiGGiN' UP BLUE』に初収録された。調べてみたが、現在このアルバムを入手することはかなり難しそう。音源だけならなんとかなるかもしれない。私はこのアルバムを買った時ユニゾンのことを全く知らなかったので、この曲を新曲だと思っていた。そもそもメジャーデビュー前のコンピレーションアルバムにしか収録されていない曲を知っている人の方が少ないと思うので、実質初収録だろと個人的には思っている。『DiGGiN' UP BLUE』の方もいつか聴いてみたい。

 タイトルにアンサンブルとあるように、この曲はスローテンポで3人のアンサンブルがじっくり味わえる曲調に仕上がっている。小高い丘の上をなでていく涼風のようなギターの音色は一聴の価値あり。ギター以外にも曲最後の駆け上がっていくようなベース、アクセントが効いたドラムも聞き逃すことができない。そしてなんと言っても、この曲はコーラスが素晴らしい。ユニゾンは斎藤さんの歌声にスポットライトが当たりがちだが、田淵と貴雄のコーラスもうまいと私は思っている。コーラスのうまさがよく分かるのがこの曲。「動いているような~夜がやってこない」のところのコーラスが素晴らしい。マーベラス。5000兆円あげたい。私が石油王ry。このコーラスがあるからこそこの曲の美しさが際立っているのだ。ブックレットにて貴雄がこの曲のコーラス難しいと語っていたけど、その難しさに比例した美しさだと思っている。とにかく好き。

 タイトルに夕凪と付いているのに、私はこの曲から風のイメージを拭い去ることができない。歌詞を読んだ感じこの曲は夕凪そのものではなく夕凪を待っている曲っぽいのであながち間違いではないのか・・・?わかんね。

 余談になってしまうのだが、先日バンクシー展に行ってきた。最近何かと話題になってんじゃん見よみたいな軽すぎるノリで行ったのだが結構良かった。ノリでポストカードを2枚買うぐらいには良かった。バンクシーといったらストリートアートというイメージがすっかりついてしまっているが、商品のポスターやCDジャケット等も描いている。展覧会ではそれらも飾られていたのだが、その作品の1つにBlurの『Out of Time』のジャケットがあった。

tower.jp

男女が向き合ってお茶?している感じの絵なのだが、特徴的なのは2人の背中にネジ巻きが突き刺さっているところ。ネジ巻きが刺さっているということは当然背中にはネジ穴が空いているわけで。まさに「人類はきっと誰かの都合で 背中にネジ穴が空いてる」状態。つづけて「不完全なまま生まれてきたから 誰かに恋をする」と歌うが、恋をしてネジ穴が埋まったとしても幸せになれるとは限らないのだな。田淵がこの絵を知っているのかどうかは定かではないけれど、何かしら関係があるのではないかと思ってしまった。リンク先でジャケ写が見られるので良ければ見てほしい。(画像小さくて割と見づらいけど)

 

 7.kid,I like quartet(D.A mix)

 夕凪で落ち着いたテンションを急上昇させるこの曲。エンジンかかりすぎてオーバーヒートするぞ。そのまま出火して飛び火して嫌いな上司とか会社とか学校がボヤ騒ぎになればいい。お気に入りの服とか燃えろ。ボヤ騒ぎが起こりそうになるほどテンションが上がってしまうこの曲は、3rdアルバム『Populus Populus』に初収録。原曲と比べるとドラムのドンシャリ感が薄くなって、各楽器のバランスが良くなった気がする。ちなみにこの曲はOAD夜桜四重奏ーホシノウミー』のOPである。まだ夜桜四重奏シリーズに触れたことがないのでいつか手を出したい。

 非常に勢いがあってノリにのれちゃうこの曲はライブの定番曲。まあこのアルバムに収録されてる曲はほぼ全部ライブの定番曲なんですけど。中でもこの曲はかなりライブで演奏されている気がする。ライブの最初の方に演奏して観客のテンションを盛り上げ、ライブの空気を作る役割を担っている気がする。最初の怒涛すぎるドラムの勢いで盛り上がらない人いるの?盛り上がらないのナマケモノぐらいなんじゃないのか。ナマケモノだって両手を上げて踊り出すわ。盛り上がる盛り上がらないは置いておいて、終始後ろの方で鳴っているギターの音が大好き。特にサビの後ろで鳴っているピロピロしたギターがどうにも耳に残って気持ちいい。ブックレットによると、このギターは斎藤さんがママチャリに乗っているときに思いついたらしいが、どういう状況だったの????天才の思いつきってのは分かんねえな・・・。でも好き。2番頭のし、し、し、って左右に振り分けられてるところとかめちゃ好き。

 エネルギッシュで盛り上がるこの曲だが、歌詞の推進力もすごい。生きていく上で大切なことを言っている箇所が多くてハッとする。特にこのフレーズ。

「オブラートに包んだら食べられておしまい」

こんな人生の核心を突いた言葉ある???????その通り過ぎるのよ。何事もオブラートに包んで、回りくどい言い回しばかりしていたら食い物にされておしまい。生きていけないんだよな。だがそのすぐ後に「ああ ああ なんだがむず痒いな」と続く。回りくどい言い回し無しで本音だけ伝えて生きていたら人間関係はうまく続かない。だから、むず痒い。つまり、適度に本音をさらけ出して生きていきなさいよってことを伝えているんだろうか。人生の教訓をアルバム曲のサビでポロッと言うUNISONSQUAREGARDENよ。また、タイトルの言葉遊び?もすごい。kid,I like quartet=喜怒哀楽quartet。サビで何度か歌われている4つの感情とは喜怒哀楽のことであることは周知の事実か。タイアップ元の夜桜四重奏の4ともかけているのか?さすが田淵智也。自分の4つの感情をさらけ出してこの町を彩ってお友達と差を付けちゃおう。そして嫌いな上司の顔面を踏みにじっていこう。

 

8.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと(D.A mix)

 おそらくユニゾンの曲の中で一番タイトルが長い。アルバムの折り返し地点に位置するこの曲は、テンションを下げることなく維持してくれるマラソン大会の途中においてある給水所みたいな曲。ここにこの曲があることによってこの後のテンションにのっていける。23:25と同じような立ち位置と私は思っている。アルバムのペースメーカー的な役割を担っているこの曲は、6thシングル『流星のスコール』に初収録。ちょっと話はそれるけど、『流星のスコール』はまじで最強のシングルだと思っている。バランスが良すぎる。表題曲「流星のスコール」は流れ星が静かに流れていく情景を思い起こさせるミドルナンバー。その静かさをぶった切るように流れてくるのが、「さよならサマータイムマシン」。「流星のスコール」とは違い、ゴリゴリのロックナンバーで攻撃的なギターが印象的。でも、歌詞は切ない。非常に人気のある曲で、MVまである(ライブ映像だが)。カップリングだぞ。このMVも限定盤のDVDに入ってますよ(大声)。そして最後に来るのがこの001。明るいミドルナンバー。曲調も明るいが何より歌詞が良い。リスナーに滅多に優しくしないUNISONSQUAREGARDENが、珍しく優しくしている曲である。突き放してこない方のUNISONSQUAREGARDEN。切なさと優しさを兼ね備えているし、ミドルナンバーとロックナンバーも兼ね備えている『流星のスコール』強すぎない??バランスが良すぎるのよ(2回目)。『Phantom Joke』もなかなかバランスが良いと思うけど、『流星のスコール』を超えるシングルはないと思っている。

 先ほども言ったがこの曲はまじで歌詞が良い。ユニゾンの中で歌詞が良い曲ランキング作ったら2位ぐらいに入るんじゃないか。1位は「お人好しカメレオン」です。ここは譲れません。ユニゾンの曲は歌詞の意味が伝わりずらいと言ったけれど、この曲は例外だと思っている。かなり分かりやすい。他にも伝わりやすい曲はいろいろあるけど(クロスハートとか君はともだちとかきみはいい子とか。君ってついてたら分かりやすくなるのか?)。私は伝わりやすい曲のことを田淵の思いドストレート曲、通称ドストレート曲って呼んでます。安直~!!!

 この曲はいきなりサビから始まるのだが、そこの部分の歌詞が記載されていない。ユニゾンはこういうことをやりがちだが、難聴人間にとっては非常にやめてほしいのである。歌詞を書いてくれていたとしても聴き取れないことなんてしょっちゅうなんだから、書いてなかったら分かるわけないだろ。カラオケで歌って初めて、そこそんな歌詞だったんだ・・・ってなってるんだぞこっちは。だが、ブックレットにて田淵は、歌詞を書いてないのには伝わりずらすぎる狙いがあると言っているためどうすることもできない。大事なものは目に見えないけど確かにそこにあるから大切にしろって事だろうか。歌詞にも「大事なことは 最初からある 血液みたいに身体を流れて知ってるはずさ」とあるし。私はここの歌詞が1番好きなところです。仕方ないので、頭の歌詞をなけなしのリスニング能力を駆使して聴き取ってみた。私には、

「愛してる それだけ それだけ握りしめて ようやく to the start」

と聞こえる。自信はないので少しネットで調べてみると、「ようやく to the start」派と「you get the start」派にざっくりと分かれていた。正直どっちにも聞こえるため正解は分かりません。田淵のみぞ知る。どちらでも意味はそこまで変わらないような気がするのであまり問題ではないのかも。

 とにかく歌詞が良いと言いまくっているが、具体的にどの辺が良いのかというと、全体的に共感できる、そういえばそうじゃんと思う箇所が多いところ。例えば、「焦るなよ だって明後日が去っても まだあるだろ明後日」のところ。全く手を付けていないレポート×4の締め切りが今日まででも、変わらずに明後日は来るのである。レポートが書けなかったら成績は終わるが、人生は終わらないのである。そういえばそうじゃんと思って、焦りがなくなる。成績は終わってしまうんですけど。他にも、「ING で少しずつ 少しずつ やればいいんです」のところも好き。苦手なことや嫌いなこと、たまっている仕事とかも少しづつやっていけば良いのである。いっぺんに終わらせる必要なんてないんだよな。私は嫌なことをためがちなので、この曲の言うとおり少しずつやっていきたい。それができてたら苦労せんわ。仕事をためがちな現代人に聴いてほしい。

 ところで、タイトルの僕らに大事な001のことって何なんだろうか。私は愛することだと考えている。だって、歌詞にも「愛している それだけ それだけで十分です」とあるし、田淵そういうこと言いそうじゃん?(雑すぎる考察)でも、この愛することっていうのは必ずしも人を対象にする必要がある訳ではなくて、ものや概念でも良いと私は思っている。愛するというか熱中できること、と言い換えた方が適切かも知れない。持論だけれど、熱中できることがある人とない人では人生の楽しさが全く違ってくると思っているので、私は熱中できることがたくさんあって良かったなと思っている。新しい沼にはまったときほど魂が燃え上がることはない。今のところ人生楽しいから嫌なことがあっても別に良いが、とりあえずクソ上司の家は燃えろ。私のQOLをあげるための犠牲になってくれ。ところで、タイトルの001って、”イチ”って読むんですかそれとも”ゼロゼロイチ”ですか?

 

9.天国と地獄


UNISON SQUARE GARDEN「天国と地獄」LIVE MUSIC VIDEO

 001で体力を回復した後に来るのは超攻撃的なロックナンバー、「天国と地獄」。タイトルからして攻め攻めである。このアルバムの中で1番うるさい(褒めてる)曲だと思っている。うるさい曲大好き。この曲は、ロックの申し子ことユニゾンの5thアルバム『Cather In The Spy』に初収録。攻撃的な曲が多い『Cather In The Spy』の中でも格段にキレの良い1曲である。貼ってあるのはライブ映像なのだが、YoutubeにはショートMVもある。ちなみにこのライブ映像は通常盤A、限定盤についてくるDVDの抜粋なので、本編が気になる方はぜひ。限定盤にはMVもついてくるよ!!!!

 曲調は完全にロック。ユニゾンはポップな曲が多いがこの曲はロック要素が多分に含まれている。イントロとアウトロのギターのうるささと暴れまくってるドラムが完全にロックンロールです。うるさい曲を聴くと細胞の働きが促進されて若返るし病気は治るし強くなります。嫌なやつをワンパンで消し炭にできるぐらいに強くなります。そのうち学会で証明されます。だが、ロック一辺倒で終わるユニゾンではない。イントロ、間奏、アウトロは完全にロックンロールだけど、サビの目の前が開けるような感じはユニゾンが持つポップさだと思っている。曲の構成要素は何一つとして変わっていないのにどうしてポップにしたりロックにしたりできるのだろうか。不思議。だが、それがロックバンドのひいては音楽の醍醐味であり楽しさだと思っている。

 とにかくロックンロールのかっこいいところを詰め合わせたようなこの曲は、ライブの定番曲である。ワンマンライブで演奏されるのはもちろん、フェスでもかなりの回数演奏されている。5回に1回はフェスのセトリに入ってるイメージ。そのためユニゾンの曲の中では認知度は高い方だと思われる。この曲がそれだけ演奏されているのは、やはりライブ映えするからだろう。ユニゾンのライブは照明の使い方が工夫されているのだが、この曲は赤色がよく使われていて印象的。ステージ背景の黒と照明の赤が曲が持つ攻撃力を高めている。血が騒ぐぜ。他にもイントロのギターは求心力があるし、各楽器の見せ場もあったりとライブ映えする要素がたくさん。特に各楽器のソロパート回しみたいなところが私は好きである。歌詞の「On the bass の fakest beat! On the drums の clever shots! Smae timeで chaotic show!」の部分に合わせて、ベースソロ、ドラムソロ、合わせが演奏される。ソロと言っても3秒あるかないかぐらいの短いものだけど。だが、見せ場があることによって曲の中でもメリハリがついて、より盛り上がれる。ソロの後に合わせがあるのもまた良い。chaotic show!とある通り、各パートが入り乱れる文字通りカオスな演奏をするのだが、ライブのしっちゃかめっちゃか感が出てて最高である。ギターの主張が激しい。その後もHEY!HEY!HEY!HEY!HEY!という観客をあおっているとしか思えないコールがあったり、斎藤宏介のスーパー巻き舌タイムがあったりと見せ場に事欠かない。だから、よくライブで演奏されるのだろう。単純にノリが良くて楽しいってのもある。あと歌詞についてなんですが、全く伝わってきませんでした。これはユニゾンでも歌詞の意味は特になくてライブで盛り上がろうぜうぇーい!って曲だと信じています。夜な夜なと同じタイプだと個人的は思っています。歌詞の意味は分からんけど、「天国と地獄を数えろ」のところ「天国と地獄の滑走路」にしか聞こえなかったよね。カラオケで初めて「数えろ」だと言うことに気づきました。シャケッッッッ。

 

10.未完成デイジー(D.A mix)

  結婚式で流したい曲ランキングぶっちぎりの1位(個人調べ)。ユニゾン好きな友達全員が結婚式で流すって言うのでこのランキングは正しいです。結婚式以外のイメージで言ったら、機材車ラジオを思い出してしまう方も多数いるだろう。機材車ラジオのせいでこの曲でアルバム終わるんじゃないかと思ってしまう。終わらないけど。むしろ最終コーナーに入る前の最後の休憩だと思っているよ。多数の人にいろんな意味で影響を与えまくっているこの曲は、3rdアルバム『Populus Populus』に初収録。その音源と比べるとこちらの方がバランスが良くなって斎藤さんの声が良く聞こえるようになった気がする。

 曲調は、正統派バラード。Aメロ~サビにかけてだんだんと明るくなっていき、サビで最高潮の盛り上がりを見せる展開。サビではストリングス?の音も入っており、より一層明るく温かく感じる。この曲を聴いていると心が温かくなる。陽だまりに包まれているように。曲調が温かさを生み出しているのは間違いないと思うけれど、その温かさを増進させているのは歌詞である。ユニゾンのバラードは歌詞が良い。この曲も例に漏れず良い。今まで散々ユニゾンの歌詞は意味が分からない、伝わりづらいだの何だの言ってきたが、この曲ほど歌詞の意味が伝わる曲はない。めちゃくちゃ分かりやすい。ミジンコでも分かる。ドストレート曲。ユニゾンの中で1番思いをまっすぐに伝えてくれている曲なのではないだろうか。しかも、この曲ラブソングなのである。ユニゾンの、特に田淵の書くラブソングはストレートで気持ちの良いものが多いが、この曲ほどまっすぐに思いが伝わってくる曲はない。いや伝えようとしてくれている曲。ブックレットにて田淵は「”言葉”で今のJ-POPをひっくり返せると思っていた最後の曲」、貴雄は「田淵がすげー大事にしてた」と言っているあたり、田淵が相当大切に温めてきた曲なのだろう。だから、この曲を聴くと心がふわっと温まるのかもしれない。

 この曲には「いつか僕も死んじゃうけど それまで君を守るよ」「呼吸のような幸福を誓うよ」等のラブソングっぽい、言ってしまえばありきたりなフレーズが多いが、それ故に伝わりやすい。しかし、「君が先に死んじゃっても それでも僕が守るよ 君が好きなこの世界を 最後まで愛せるように」というフレーズがユニゾンっぽさというアクセントを加えている。このフレーズが未完成デイジーをUNISONSQUAREGARDENのラブソングへと昇華させている。普通、愛する対象がいなくなったら全てをぶち壊したくなるもんじゃないのか。とてもじゃないけど世界を愛せるようにはならないと思うのだが。それだけこの曲の「僕」は「君」のことを相当な覚悟と愛情をもって愛していることがよく分かるフレーズである。というかこれキラーフレーズすぎない????田淵のピュアさがよく現れていて好き。こんなピュアピュアな歌詞を書いているくせに、「君がもっと嫌いになっていく」とか平然と歌うからな。これだからUNISONSQUAREGARDENは分からん。でも、好き。そういえばこの曲ショートMVがあったりもしたことを今思い出した。

 

11.シャンデリア・ワルツ


「シャンデリア・ワルツ」from UNISON SQUARE GARDEN LIVE SPECIAL "fun time 724" at Nippon Budokan 2015.7.24

 未完成デイジーで心の癒やしを得た後に鼓膜にアタックしてくる軽快なドラムの音。それに続いてギター、ベースが入り、最高のアンサンブルを奏でる。そんな最高のアンサンブルでアルバムにラストスパートをかけてくれるこの曲は、ユニゾンが打ち出した至高のポップ盤こと4thアルバム『CIDER ROAD』に初収録。ライブでもよく演奏されており、どれだけ疲れていたとしても飛び跳ねたくなってしまう曲。10周年の武道館公演、15周年の舞洲公演でも演奏された。上に貼った動画は武道館公演の時のものである。ちなみに、両方の周年ライブで演奏された曲(シングルとプロコンを除く)は、「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」、「天国と地獄」、「シャンデリア・ワルツ」の3曲だけであり、奇しくも全曲このアルバムに収録されている。やはりこのアルバムただ者ではないな・・・。

 ユニゾンの全ての曲が大切にされてきたと思うが、この曲は特に大切にされてきた曲だと思う。周年ライブというバンドにとって大事なライブで演奏されているし、ツアーのホームページのタイトル文?(ホームページに出てくる名言みたいなやつ。正式名称が分からん)にも、この曲の歌詞が使われていた。MMMの時だったかな。発表された時はツアー決定が嬉しいのとファン心理を突いてくるタイトル文で精神状態がおかしくなり、奇声を上げながら家の中を走り回った。後でしこたま怒られた。ブックレットでは「未来を歌うユニゾンにとって大事な大事な1曲」と斎藤さん、「好きな曲とはまた別に、大切な曲というものがある。」と貴雄が言っている。田淵はこの曲をシングルカットにしたかったそうだし、3人ともこの曲には相当思い入れが強いことがよく分かる。だからこそ2回の周年ライブで演奏されているんだと思うし、3人の思いが伝わっているのかファン人気も高い。

 曲調はUNISONSQUAREGARDENが奏でるロックンロールそのもの。この曲を聴くと、あーユニゾンの曲だなとしみじみと思う。ポップとロックが融合したユニゾン特有のあの感じ。それが最大限に感じられる。私はこの曲のドラムの軽やかな音が大好きである。他の曲よりもドラムの音が際立っている気がするのである。音楽ド素人の私からすると、どうしてもギターとボーカルだけに集中してしまいがちなのだが、この曲はドラムの音ばかり聴いてしまう。このドラムを聴いているとスキップしながら日の当たるおしゃれな街を駆け回っているような気分になって、すごく明るく前向きになれる。

 曲調だけでも前向きになれるのだが、歌詞を見るとより一層明るく前向きになる。ユニゾンの中でも指折りの前向き曲なのではないだろうかこれ。未来への希望を感じるというか。一緒にユニゾンが作る未来を見たくなる曲というか。序盤で「君が握るその何でもなさそうな 想いは全部輝くから 教会通りを走っていこう 絶対に離さないで」と歌い、聴き手が抱く感情を尊重してくれるし、最後には「君が握るその何でもなさそうな 想いはもう輝きだした」と抱いた感情が間違っていないことを証明してくれる。ユニゾンの曲が聴き手の想いを引っ張り、ライブで輝かせる。ここでの輝かせるっていうのは感情を前に出すってことなのかなーとぼんやり思っている。本当のところは分からないけど。他にも好きなところはたくさんあるけど、特に好きなのがここ。

「少しだけでいいから見つけてみて 自分の心を加速させるような確かなこと」

人生の教訓でしかない。自分の心を加速させるような確かなことっていうのは、多分趣味とか何か熱中できることだろう。001のとこでも言ったけど、やっぱり人間何か熱中できることがないとやっていけないっすよ。田淵智也も言ってるんだから間違いない。この歌には人生をうまく生きていけるコツさえも含まれていたんだな。私の自分の心を加速させるような確かなことは、間違いなくUNISONSQUAREGARDENひいては他のロックバンドのライブを観にいくことですわ・・・。私に死ねない理由を与えてくれてありがとうUNISONSQUAREGARDEN。ところで、この曲は4拍子?なのに、なんでタイトルには3拍子が主流のワルツとついているんですかね?確かに「ワルツ・ワルツで」のところは3連符になっていると思うけど、まさかそれだけ?

 

12.場違いハミングバード(D.A mix)

 シャンデリア・ワルツのカウントに続いて流れ込んでくるのは、ライブでおなじみのこの曲、場違いハミングバード。ライブで演奏されると全身の血が沸き立って戦闘能力が上がり所構わず叫び出したくなる。今なら嫌いな上司を完膚なきまでに叩きのめせるぜ!場違いを聴いて盛り上がらないやつは人間じゃないです。感受性が無いとしか思えない。人生やり直してきてください。個人的にこのアルバムの最大の盛り上がりポイントだと思っている。そんな最強のドーピング剤といっても過言ではないこの曲は、3rdアルバム『Populous Populous』に初収録。初収録時と比べると、バランスが良くなった。さっきからバランスの話しかしてねえな。『Populous Populous』の方はとにかく音がドンシャリしてて、ギターとドラムの主張がすごい。めちゃくちゃシャリシャリしてる。このアルバムのリミックスされてる曲の中で1番違いが分かりやすいと思っていて、中でも特に分かりやすいのは、冒頭のカウントの声。カウントだけ撮りなおしたそうで、しかも声とスティックの音を別撮りにするという気合いの入りっぷり。ブックレットの貴雄曰く、「同時だと魂が込もんなくて、スティックと声別撮りした。」そうだ。そこまでしただけあって、声の気合いの入り方が全然違う。こちらの方が、ライブの時の貴雄の雄叫びに近い。あれ聴くとめちゃくちゃテンション上がってしまうんだよな。このカウントが場違いのテンションドーピング剤感を増幅させているのは間違いない。

 曲調はこれぞユニゾンのロックといえるもの。ロックの荒々しさとポップの明るさが溶け合っている。ライブの定番曲で、終盤の方に演奏されがちなイメージを持っている。大分盛り上がって疲れているのに、この曲が演奏されると無い体力を振り絞って、いや振り絞る暇も無くテンションがぶち上がる。やっぱりドーピング剤じゃないか。考えるな、感じろがこれほどまでに似合う曲そうそう無いと思っている。そのため、歌詞の意味は全く分からないです。この曲に意味なんてあるのか・・・?ライブで盛り上がるためだけの曲なのでは・・・?考えたら負けだと思うので、テンションぶち上げて頭空っぽにして楽しもう。この曲の最後の舌打ちに憧れて練習しまくっていた時期があったのだが、全くうまくならなかったしそもそも舌打ちできないことが発覚した。あと、ライブに慣れていると音源を聴いた時にあまりのスピードの遅さにびっくりする。鈍行とリニアモーターカーぐらい違う。私はライブの方に慣れてしまっているので音源を聴くたびに、おっそ!!!え!?おっそ!!!となる。ちなみに遅いからといって歌詞がはっきり聞き取れるわけではない。難聴をなめるな。

 意味は全く分からないがこの曲の歌詞結構好きである。意味は分からないが。特に家のことをおうちって言ってるのが好き。かわいくない?家でも通じるのに、わざわざおうちにしているところがかわいい。田淵智也そういう所だぞ。フライデイノベルズのうさぎさんの件についても、裁判はまだ終わっていないんだぞ。おい。田淵って曲の中に結構かわいいワード入れがちだよね。なんかのインタビューかラジオか妄想か忘れたけど、斎藤君にかわいい言葉言わせたいみたいなこと言ってなかったっけ。気のせいであってほしい。これが作詞作曲者のなせる技か・・・。おそろし。違ってたら連絡ください。最後におばあちゃんの知恵袋的知識を教えよう。カラオケで場違いを歌う時は、スピードを+2ぐらいするとライブ音源に近づいて臨場感が出る。みんなも真似して、お友達と差をつけちゃおう!

 

13.箱庭ロック・ショー(D.A style)

 場違いで全力を出し切った後に流れてくるのはこの曲、「箱庭ロック・ショー」。ありえないぐらい爽やか。このアルバムをマラソンに例えるなら、この曲はマラソンが終わった後のクールダウン。ちょっとだけジョギングするあれ。場違いで全力を出し切って火照った身体に、箱庭ロック・ショーという風が優しく流れてくる。そんな感じなんだよ。私は厨二病なのでどのバンドは何属性だとかどの曲は何属性だとかをよく考えるのだが、この曲は間違いなく風属性である。「cody beats」と「Catch up, latency」も風属性です。ここテストに出ます。この曲はインディーズ時代に発売された『新世界ノート』に初収録、その後1stアルバム『UNISONSQUAREGARDEN』に再収録。つまり、今回入っているものは再再収録されたものということになる。『新世界ノート』に収録されているバージョンは音が荒削り。斎藤さんの鋭い声がより曲の荒さを引き立たせていてこれはこれでかっこいい。『UNISONSQUAREGARDEN』のは、荒さがなくなり綺麗にまとまった印象を受ける。そして今回のだが、バンドサウンドとしてのレベルが格段に上がっている。洗練され切ったアンサンブルが奏でられて、コーラスの一体感も増している。素人が聴いても分かるのだから相当なんだろう。初期の方と比べると20秒ほど短くなっており、スピード感も増している。UNISONSQUAREGARDENはバンドとして着実にレベルアップしてきたことが「箱庭ロック・ショー」3形態を聴くことによって分かってしまうのだ。しかも、15分程度でですよあなた。お得すぎる。

 曲調は、爽やかロック。これにつきる。間奏のギターソロがめちゃくちゃおしゃれでかっこいい。あのギターソロを聴いている間は透明で美しい風が吹き抜けてるんだよ。あちこちにアクセントを加えているベース、ドラムも最高。この曲をUNISONSQUAREGARDEN以上にかっこよく演奏できるバンドはいないだろう。それは全曲そうなんだけど、この曲は特にユニゾンの3人が奏でる音だからこそ完成されているように感じる。あの3人だからこそあんなにかっこよくなるんだなと強く感じる1曲。ライブで演奏されるとガリレオや天国と地獄、場違いのようにうわぁぁぁぁぁあ!!と盛り上がってしまうのではなくて、身体を揺らしてリズムを取りたくなってしまう曲。でも、あんまりライブでやってるイメージ無い。なんでだろ。

 例のごとく歌詞の意味を考えていきたいが、この曲も意味が分からない系ソングに分類されるのではないかと思っている。夜な夜なとかと比べると大分ましな方だとは思うけど。分かりそうで分からない感じが最高にUNISONSQUAREGARDENだなと思う。私の受け取った感じはこう。人間一人一人にはそれぞれの人生があるわけで、その人生はその人が主人公のストーリーである。けど、人は自分が主人公、つまり、自分が中心の人生しか生きていないから、そのことを忘れてしまいがち。そうならないように、全ての人生、ストーリーがその人にとっての中心であることを思い出していこうねって感じなのではないだろうか。ここで言う自分が中心の人生っていうのは、自己中心的に生きているということではありません。自分という人間を通してしか物事を体験できないという意味です。ここ大事。真面目に考えたけど絶対違うわこれ。この曲の初回盤と今回の音源ぐらい違うわ。田淵の考えが分かるわけがないんだよな。でも、なんかめちゃくちゃ良いこと言ってるんだろうなと漠然と思わせるのが田淵のすごいところだよな。私が馬鹿なだけか?しかしこの曲、ユニゾン3人からそんなに大事にされてなさそうなのである。ブックレットにて田淵が「タイトルの響きとは裏腹に大して大事にしてきた曲じゃないんだけど、何かアイコン的なものがあった方がいいだろうと思ってラインナップに入れた曲」と言い切ってしまっているし、貴雄もタイトルの直訳に若干あきれていた。ふざけんなよめちゃくちゃ良い曲だろうがよもっと大事にしろよ。タイトルの割にあんまりライブで演奏されてるイメージ無いなと思ったらそういうことなのか?なんでそんな雑な扱いなんだよ。あっちょうど良いのあるじゃ~ん!入れよ!みたいな感覚で入れるなよ。平野レミの料理番組か??レミでも番組が用意してる材料で作ってんだぞ。そういえば、この前のライブで聴きたい曲投票でも9位だったじゃん!!!!!!!なんで!?!?!?!?3人はさほど大事にしていないそうだが、ファン人気が高くめでたくトップ10入りしたこの曲は、Live(in the)HOUSEでも演奏された。この時のカメラワークが完全にMVで最高だった。3人全員がライブを心の底から楽しんでいる表情がカメラマンさん目線でバッチリ収められていて最高。これぞオンラインライブの良さ。カメラマンさんありがとうございました。この映像はUNISONSQUAREGARDENの最新アルバム『Patrick Vegee』の初回盤についてくるBD/DVDに入ってるよ!

 

14.クローバー(D.A mix)

 箱庭で爽やかな風を感じた後に耳にすっと入り込んでくるのは、ギターの綺麗なアルペジオ。ユニゾンのバラードを一つあげてくださいと言われたら、この曲をあげるだろう。さっきの続きでこのアルバムをマラソンに例えたら、この曲は閉会式。マラソンじゃなくてマラソン大会になってるし、閉会式に例えるのなんかやだ。つまり、このアルバムのエンディングってことを言いたいんですよ!!!語彙力!!!語彙力皆無の例えは置いておいて、この曲は1stアルバム『UNISONSQUAREGARDEN』に初収録、今回のはそれのリミックス版。このアルバムにはリミックスされてる曲が全部で6曲収録されているのだけど、個人的にこれが1番違いが分からない。他の5曲は楽器のバランスとか曲のみずみずしさとか何かしらの違いが(素人判断ですが)分かるのだけど、これだけ全く分からん。イントロクイズされたら絶対に分からないと思う。他の5曲でやられても正解できるかどうかは微妙だけど。

 曲調は美しいバラード。ギターの音が映える1曲だと個人的には思う。曲の展開がすごく綺麗な曲。曲展開とかよく分からんけど。ライブでは3人の給水&ちょっとしたチューニングタイムの後にやることが多い気がする。それまでの流れをいったんリセットさせる区切りのようなイメージ。ライブで演奏するときは、「『また、会おう』って言ったフローリア 『好きだよ』って言ったフローリア」の重なる部分を、「また会おうって言ったんだ 好きだよ~」という風に歌っているのが個人的に大好きなポイント。時効だと思うので言いますが、LIVE(on the)SEATではこの曲始まりだったらしいですね・・・。リセットもへったくれもないじゃん。私は参戦できなかったのだが、参戦していたら間違いなく泣いていたと思う。久しぶりのユニゾンの生ライブでクローバー始まりはしんどい。観客の涙腺を壊しに来ているとしか思えない。演奏されるタイミングはともかく、この曲はライブのバラード枠で良く演奏されている気がする。ユニゾンのバラード曲はそこまで多くはないと思っているけど、ライブで演奏されるとなったら話は別である。ライブのバラード枠は2枠~3枠、少ないときは1枠である。この少ない枠をユニゾンのバラード曲たちは奪い合っている訳だから、いくらバラード曲が少ないといっても激戦必至である。その中でこの曲はかなりの数演奏されているので、かなり強い1曲なのだろう。初期の頃からあるし。ところで、私が1番好きなバラード、夢が覚めたら(at that river)はいつ演奏してくれるんですかね・・・?

 曲調も美しいが、歌詞もユニゾンの中で随一の美しさだと思っている。1曲の中で物語が展開されている。実質小説。クローバーは小説です。その分、人によって受け取り方がかなり変わってくるのではないだろうか。私はこの曲は書き手(田淵ではない)とフローリアの恋物語と思っている。クローバーは実はラブソングだった。どこを切り取っても美しい歌詞だが、私が好きなのはここ。

「君がここに居ないことで あなたがここに居ないことで 回ってしまう地球なら 別にいらないんだけどな」

サビのフレーズなのだが、ここがこの曲の本質だと思っている。君がいなかったらこの世界ごと捨てるつもりなのであるこの書き手は。未完成デイジーの方とは偉い違いだな。全然関係ないけど偉いと違いってめちゃくちゃ字面似てるね。ここの君とあなた両方ともフローリアをを指していると思っているのだが、なぜわざわざあなたと言い換えているのか分からない。君だけじゃ駄目だったのか?音数的な問題なのか?わかんね。何にせよ書き手にとって君=フローリアは大切な存在であることがよく分かる。ここの歌詞ってもっとメンヘラみたいな言い方もできる訳だけど、この優しく柔らかな言い方になっているあたりが田淵のピュアなところだなと思う。ラブソングを書くとめちゃくちゃピュアさが出る田淵好き。ちなみにクローバーの花言葉は「幸運」だそうです。恋物語という解釈からは少しずれるけど、「そっと抜け出したパーティーも 大好きだったあの映画も 未来のパズルに続いてる」の部分だけ見ると、昔の思い出が今の自分を作るんだよというメッセージに聞こえる。実際、昔の自分の行動が今の自分に少なからず影響を与えているんだろうな。今私がユニゾンを好きなのも昔の自分の行動が影響しているのかも知れない。ふーん、おもしれー人生。

 

15.プログラムcontinued

 クローバーで穏やかにアルバムの流れを締めた後に聞こえてくるのは街の喧騒。なんだなんだと思っているうちにフルカラープログラムのアウトロが流れだし、息つく間もなくフルカラープログラムを感じさせる爽やかなイントロが始まる。この曲と最後のさわれない歌はアルバムのエンドロールだと思っている。マラソン大会でいうと帰り道?大会ですらない。もうやめようこの例え。この曲は発売された時点での新曲で、後に発売された15周年記念アルバム『Bee side Sea side』には15th styleが収録されている。この『Bee side Sea side』も15周年記念アルバムのくせにシングルのカップリングしか収録されていないクセの塊のようなベストアルバムなのだが、話が長くなるので今回は割愛。

 この曲は「フルカラープログラムと対をなす曲」である。ブックレットで斎藤さんが言ってた。タイトルに「プログラム」と付いていたり、曲が始まる前にフルカラープログラムが流れるあたりからそのことは明白だろう。しかし、歌詞にはフルカラープログラムだけでなく他のUNISONSQUAREGARDENの楽曲を彷彿とさせるワードがあちこちに散らばっているのだ。例えば、「あれは流星が降り注ぐ前夜」のところ。これはインディーズ時代に発売された『流星前夜』のことだろう。同タイトルの曲もあるが私はアルバムのことを指しているのではないかと思う。『流星前夜』にはフルカラープログラムが収録されているので。知らんけど。また、「耳を塞いだあの日から4000日くらい歩いてて」のところも。これは『センチメンタルピリオド』の「高性能のヘッドフォンなんで世界の音も聞こえません」の部分を表しているのだろう。ところで、この4000日という数字だが、年になおすと約10年。このアルバムが発売された年(2015年)の約10年前はユニゾンが結成された年である。正確には11年前だけど。その後、「ふと立ち止まり 振り返れば 随分遠く 遠くまで来たみたい」と続く。ずっとユニゾンは活動を続けて、歩き続けてきたのだ。この部分からユニゾンの軌跡がうかがえる。ちなみに、15th styleではちゃんと「5000日ちょっとくらい歩いてて」に変わっている。芸が細かいぞ、田淵。

 私はこの曲をUNISONSQUAREGARDENがUNISONSQUAREGARDENに向けて歌ったお祝いソングだと思っているので、明るく感じる。お祝いソングだからかあまりライブでは演奏されていない印象。曲調は、フルカラープログラムの流れを受け継いでいるけどフルカラープログラムのあの切なさは無く、ただひたすら爽やかさときらめきを感じる。思い出を振り返りながら未来を見ている時みたいな感じ。歌詞がまさにそうなんだけど、曲調にまでこの感覚を落とし込んでいる田淵はすごい。そして、歌詞は曲調と同じくらい明るい(当社比)。UNISONSQUAREGARDEN流のお祝いソングとあって一筋縄ではいかないけれど。この曲の歌詞の意味は読んでいただいたら必ず伝わってくると思うので、ここからは好きなところを抜粋していく。まずここ。

「一見に関係ないことを大声で歌ってきたんだ 沢山の人が首をかしげてきたけれど」「乱暴な真相めいたこと 頑固意固地ってきたんだ あんなやつらには気づけそうもないだろう」

ニゾンのこれまでのそしてこれからの活動スタンスがはっきりと伝わってくるフレーズ。大衆から歌詞の意味が分からないと思われていることをユニゾンの方も理解しているんだな。それでも、彼らはこれからもこのスタンスを崩すことなく大声で歌い続けるのだろう。それはこの部分からもよく分かる。

「一瞬も飽きちゃいないからさ 人生を譲る気がないんだ」

田淵は飽きたらバンドは辞めるということをよく言っているけど、彼がバンドを飽きることなどあるのだろうか。自分たちの10周年を祝うために作った曲で、一瞬も飽きちゃいないと言い切ってしまうんですよ彼は。私は彼のそういうところが、大事なこと、本心から伝えたいことは分かりやすい言葉できちんと伝えてくれるところが大好きなんです。このフレーズは15th styleでも変わっていないあたり、彼はまだまだバンドに夢中なのだろう。そのことはサビで繰り返し歌われている。

「ああ 気ままに行こうじゃない きっと何も変わらないけれど 多分continued」「ふざけろ!続けフルカラー きっと大して変わらないけれど 依然continued」

continuedの前に多分が付いているのがユニゾンらしくて好きだし、このスタンスを変えずにやっていくことを歌ってくれているのも好きだ。どっちも確証がないのがいかにもユニゾンだなと思うけれど。だが、ラスサビでは依然continuedと言い切っているあたりこれからもずっとユニゾンは続いていくのだろう。この偏屈で最高なロックバンドに最大限の祝福を。

 

16.さわれない歌

 プログラムcontinuedでひねくれロックバンドをお祝いした後に流れてくるのはこのアルバム最後の1曲。お祝いムード全開(当社比)のプログラムcontinuedをトリに持ってくるのではなく、この曲を最後に持ってくるのが最高にUNISONSQUAREGARDEN。「控え席の出来事」の名を冠するこのアルバムを締めくくるのにふさわしいこの曲は、7thシングル『リニアブルーを聴きながら』に初収録。カップリングのままにしておくにはあまりにも惜しい1曲だと思っている。

 曲調は、ミドルテンポでリズム感が良く心地良い。3人の音以外にキーボード?の音も入っているため、曲の広がりも感じる。コーラスの入ってくるタイミングも好き。このアルバムにはミドルテンポの曲が何曲か収録されているけれど、この曲はそれのどれとも違う独特の雰囲気がある。他の曲はミドルテンポでもテンションが上がって高ぶってしまうのだが、この曲は心にすっと染み入ってきて落ち着く。だからこそ、このアルバムの最後の1曲なのだろう。もう時効だと思うので言いますけど(2回目)、Normalという名のSpecialツアーの最後の1曲もこの曲だったそうですね。ユニゾンの中で締めの1曲という立ち位置なのかも知れない。Normalツアーでキライ=キライやったの一生許さないからな。しかし、この曲あまりライブでは演奏されていないように思う。アルバムツアーの時ぐらいしか演奏されていないんじゃないだろうか。ブックレットで田淵が「あまり出しゃばらせないようにしていた」と言ってるので、これからもあまり演奏されないのかも知れない。いつか生で聴きたい。

 曲調の落ち着き加減だけで言えばこの曲は間違いなくアルバムのトリに向いていると思う。しかし、このアルバムは10周年記念アルバムだ。そこを考慮すると、プログラムcontinuedの方がこのアルバムの最後の1曲にふさわしい気がする。「何気ない歌で何気ない記念日をお祝いしたら」と歌っているし、みんなでお祝いムードで大団円という流れの方が収まりが良いように思える。まっすぐなバンドだったらそうするだろう。しかし、これはひねくれロックバンドUNISONSQUAREGARDENの10周年記念アルバムである。普通に終わるはずがない。お祝いムードで終わるのではなく、ユニゾンとしての在り方を歌って終わるのだ。もうまじUNISONSQUAREGARDEN。大好き。そんなユニゾンらしさそしてユニゾンの在り方が存分に詰まっているのが歌詞なのだけれど、特にUNISONSQUAREGARDENを感じるのがサビのフレーズ。1番では、

「もしも君が孤独の中に居て 泣き声も聞いてもらえないなら 思い切り泣けばいい 立ち上がる頃に強くなる」

 と歌う。孤独に寄り添うわけでもなく、一緒に泣いてあげるわけでもなく、ただ泣くことを許すだけ。無理に共感されるよりもこれぐらいの距離感の方がちょうどいい気がする。これがユニゾンの優しさ。そして2番では、

「もしも僕が君の前まで来て 何かできることがあるとしても この手は差し出さない きっかけは与えたいけれど」

と歌う。ここ最高にUNISONSQUAREGARDEN。このフレーズめちゃくちゃ好き。どれだけ人が困っていたり苦しんでいたりしても直接手を差し伸べることはしないのがUNISONSQUAREGARDENなんですよ。あくまでユニゾンの曲は立ち直るきっかけを与えてくれるだけで、直接助けてくれるわけではない。この距離感がUNISONSQUAREGARDEN。このことはたくさんの曲で歌われているので、ユニゾンの核となる考え方なんだろう。田淵はブログとかで繰り返しこういうこと言ってるし。そしてこの後にこう続く。

「それでも君が手を伸ばすのなら 何度でも伸ばし続けるのなら その答えthat is true, that is true 誰にも邪魔できないよ きっとね」

自分で考え抜いて出した答えをユニゾンは否定しない。自分の答えを否定されないってすごく嬉しいことだ。その上、誰かの答えを否定しないことは案外難しい。やれ差し出された手は噛みちぎってみたり、君がもっと嫌いになっていくとか歌っているけど、ユニゾンは聴き手の心にちょっとだけ寄り添って背中をそっと押してくれる優しくて強いバンドなのだ。ひねくれてるなあ。そこから先進んでいけるかは自分次第なんだけど。他にも、「近づきすぎないで ちょうどいい温度感であれ」というフレーズからはユニゾンのライブのスタンスがよく感じられる。少しだけ励ましてくれるけれど、それ以上は決して近づかない馴れ合わないのがユニゾンのスタイル。いやもう本当にUNISONSQUAREGARDENでしかないこの曲。全部が全部良い歌詞すぎる。どうなってんだ。これがカップリングなんだぜ???本当に底が知れないバンドだよな。この曲の歌詞を彫った石碑立てたい。

 

・終わりに

 いやなっっっっっっが。長すぎ。なんだこれ。こんなに長々と書く予定ではなかったのだが、思った以上に筆が進んでしまった。反省。まあ徒然には「長々と」という意味もあるし、伏線回収ってことでなんとかなりませんかね?長さはともかく、私としては曲に対する解像度が高まる良い機会だった。普段移動中や作業中にしか音楽を聴かないのだが、この記事を書くにあたって1曲1曲歌詞カードを見ながらじっくりと聞き込んだ。それにより曲に対して抱いていたイメージがより鮮明になり、より一層曲を好きになれた。時間をかけて向き合うって大事なんだなって(小並感)。この記事を通してより一層UNISONSQUAREGARDENに対する愛が増したので、これは好きなバンドをもっと好きになれる良い企画なのかも知れない。ユニゾンだけでなく他のバンドの作品もちょこちょこ書いていこうと思う。これ以上長くなったらさすがに飽きられるので今回はこの辺で。次書くときはもう少し短く収まるように善処します。もうすぐ春が来ますね。