狂愛の果て

行き場を失った感情の掃き溜め

THE PINBALLSへ捧ぐ

 THE PINBALLSとは、宇宙で一番かっこいいロックバンドである。少なくとも私の中では。荒々しいガレージロックサウンドに御伽噺のような幻想的で美しい歌詞がのっている唯一無二のバンドだ。彼らは2006年に結成され、2017年にメジャーデビュー。そして、今日2021年11月24日に活動を休止する。

 

 

 私がTHE PINBALLSを知ったのは17歳の秋だった。フォロワーが熱心に布教活動をしているのを横目で見ていて、頑張ってるなーと思っていた。興味はそれほど湧かなかった。当時は彼らのことをおしゃれなジャズバンドだと思っていたので、ロック一辺倒だった私はなかなか聴こうとは思えなかったのだ。だがある日突然、本当に突然、聴いてみようかなと思ったのである。これを都合良く解釈するならば運命だ。手始めにフォロワーが熱心に布教していた「片目のウィリー」を聴いた。


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 お洒落なピアノの音やサックスの音色が流れてくるとばかり思っていたが、耳に飛び込んできたのは荒々しく、どこか切ないギターの音だった。ジャズバンドではなくロックバンドであることに少し驚いたが、良いなと思った。特に爽やかで泥臭く、どこか胸をついてくるギターの音が良かった。歌声もロックで良い。襟付きシャツやスーツといったフォーマルな格好でロックを鳴らしているのもかっこいい。だけど、ラスサビの盛り上がりに欠けるなとも思った。音楽のことなど何一つ知らないくせに何を上から目線に話しているのだろうこいつは。

 少し物足りないと思ったがそれ以上に良いポイントが多かった。これなら他の曲も期待できるかもしれない。そう思い、関連動画に上がっていた「蝙蝠と聖レオンハルト」を再生した。


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衝撃だった。心臓をわしづかみにされた。入りのドラムの音から最後のギターの音まで全てが好みだった。今まで生きてきて最初の一音から大好きになった曲は片手で数えられるほどしかない。そもそもそんな曲に出会えること自体奇跡だった。こんなにかっこいいバンドがこの世に存在していただと!?と興奮しながら他の曲のMVを見あさった。どの曲も良かった。最初の頃文句をつけていた「片目のウィリー」も聴けば聴くほど、あれで完成されているのだと思うようになった。MV以外の曲も聴きたくなった。THE PINBALLSのアルバムはレンタル流通していなかったので、サブスクを使い始めた。登校途中、家事を手伝っている間、車に乗っているとき、音楽を聴ける時間全てをTHE PINBALLSに費やした。聴けば聴くほど彼らにのめり込んでいった。彼らの音楽にはそうさせるだけの魅力があった。サブスクだけでは飽き足らず、アルバムも揃えはじめた。歌詞カードを眺めながら聴くと良さが倍増する気がした。どこにも置いてない1st、2ndアルバムを集めるのに必死になった。

 冬の初め頃にはもうすっかり彼らのファンになっていた。その頃、彼らのメジャー初のフルアルバム「時の肋骨」が発売された。ファンになって初めてのアルバム。トレイラーが公開されたときから高揚感が半端なく期待値が高かったが、発売されたアルバムはやはり良かった。アルバム一枚にここまで興奮したのは久しぶりの感覚だった。歌詞カード柄のポストカード1枚のためにわざわざタワレコに行ったことを今でも覚えている。そこからは彼らの新譜が出るたびに速攻で予約し、MVを見て曲の世界観を楽しんだり、新曲を聴いて感動に震えたり、ライブを待ち遠しく思う日々だった。

 

 私が初めて行ったTHE PINBALLSのライブは、「時の肋骨」のリリースワンマンツアーである、「end of the days tour」だった。ビギナーズラックなのか整番は1桁だった。あれほど良い整番後にも先にも引けやしないだろう。良整番のおかげでライブは最前で見れた。ゆっくりとステージ上に現れる4人。ライトに照らされていてどこか神々しかった。豪快にドラムを叩く石原さん、歌を口ずさみながら流れるようにギターを弾く中屋さん、アンプに片足を乗せながらベースを弾く森下さん。そして、まっすぐに前だけ見つめて歌う古川さん。すぐに思い出せるぐらい、あのライブは脳裏に焼き付いて離れない。とにかく全員かっこよくて、音源よりも何倍も魅力があってTHE PINBALLSはとんでもなく力のあるバンドなのだと確信した日だった。人生で最も記憶に残っているライブはどれですかと聞かれたら、間違いなくこのライブだと答える。

 

 

 THE PINBALLSの音に魅了されてから3年ほど経つが、彼らの最大の魅力はなんといっても無骨なロックサウンドに幻想的な歌詞がのっているところだろう。THE PINBALLSが他のロックバンドと一線を画しているのはここだと私は思っている。

 彼らの音楽ジャンルはいわゆるガレージロックと呼ばれるもの。私は音楽に詳しくないのでジャンルとか言われてもさっぱりだが、かっこいいことだけは分かる。常にギターがじゃんじゃん鳴っていて、ベースがうねっていて、ドラムが暴れている。正真正銘のロックだ。彼らの音楽は聴いている人の感情を増幅させる力強い音がするのだ。片目のウィリー、蝙蝠と聖レオンハルト、ブロードウェイなど彼らの曲のほとんどが荒々しく無骨なロックサウンドに仕上がっている。一方で、花いづる森、樫の木島の夜の唄、ニューイングランドの王たちなどバラードも得意としている。THE PINBALLSの真骨頂はバラードにあると言っても過言ではない。ゆったりとしたバラードでは、メロディラインの美しさがより際立つ。THE PINBALLSは、荒々しいだけじゃない繊細で優しい音も奏でられるロックバンドなのだ。

 サウンドがロックバンド然としているのに対して、歌詞は非常に幻想的で美しい。このギャップこそがTHE PINBALLSの魅力だ。彼らがすごいのは、一見相反して見えるこの二つを殺し合わせる事なく、一つに溶け合わせて唯一無二のサウンドを作り出しているところ。これを可能にしているのは、THE PINBALLSが今の四人だからだと私は思っている。古川貴之という才能が生み出す世界を、中屋智裕、森下拓貴、石原天が具体化する。古川さん特有の表現を音に表す。「農村の人たちが踊っているようなリズムで叩いて」と言われて素直にドラムを叩けるような人がこの世に何人存在しているのだろうか。これができるのは世界であの三人だけ。THE PINBALLSはあの四人じゃないと意味がない。誰が欠けてもあのサウンドは作り出せない。

 作曲は全員で作り上げているイメージが強いが、作詞は古川さんの独壇場である。曲調以上に彼の世界観がそのまま反映されている。私は彼の世界が大好きだ。どういう風に育ったらあのような美しい言葉を紡げるようになるのか皆目見当がつかない。本当に同じ人間なのだろうか。同じ人間であることが烏滸がましく思える。どうしたら、「気むずかし屋の飛行士が すべりおりてひと休みしたくなるような 湖の青で」や「世界中のハチドリの羽根を 集めたような君の唄が 僕の何かを壊して 解き放った自由が うるさくて眠れない」といった言葉が生み出されるのだろう。どうしたらこんなにも美しい言葉を描くことができるのだろう。仮に彼とおなじような環境で育ったとしても、あのような言葉を紡げるようになるとは到底思えない。彼の才能は間違いなくTHE PINBALLSを唯一無二たるものたらしめている。

 

 ギャップのあるサウンドと歌詞の親和性以外にTHE PINBALLSの曲を唯一無二たらしめているものがある。ボーカル古川貴之の歌声だ。彼の歌声は本当に素晴らしい。私は彼の歌声に心酔している。ロックバンドで歌うためだけに創られたのではないかと思うほど、素晴らしい歌声だ。私も彼のような声だったらいいのにと何度願ったことだろうか。

 正直、歌のうまさだけで言ったらおそらく普通。しかし、声の質がとんでもなく良い。少し掠れ気味だけど曲に対する情熱と愛情が込められている声。ときおり泣いているかのように揺れる声。彼が歌うことによって初めてTHE PINBALLSの曲は完成されると言っても過言ではない。彼の歌声には魂がやどっている。THE PINBALLSの曲を古川貴之以外の人が歌うと曲の本質が変わってしまう。そのレベルにまで彼の歌声は届いていると私は思う。

 

 

 正直、THE PINBALLSが終わるだなんて思ってもいなかった。いつかは終わりが訪れることは分かってはいるけど、今ではないなと心のどこかで思っていた。いや、願っていた。THE PINBALLSは終わらない、終わるわけがないと。

 活動休止の文面を見た時、信じられなかった。まさに青天の霹靂だった。受け止めきれなくて、うずくまりながらまだ大丈夫だと呟き続けた。解散じゃないからまだ大丈夫だと。何が大丈夫なのかは未だに分からないし、大丈夫だった瞬間なんて一度もなかった。

 一番好きな曲、一度しか行けなかったライブの思い出、THE PINBALLSの好きなところ。色々思い返していた。涙が溢れてきた。どうして活動休止してしまうのか。メンバー仲が悪くなってしまったのか。経済的理由?事務所との関係悪化?色々考えた。1つ思いつくたびに、Players radioではいつも通り和気藹々としていたからメンバー仲が悪くなったわけではないはず。「ZERO TAKES」だって活動休止前最後のアルバムとして出す予定じゃなかったはず。元々予定されていたなら、メモリアルブックの内容は終わりを予感させるものになっていたはずだから。など考えて打ち消した。楽しい思い出から始まる思索はいつも現状への疑問と後悔へ収束していく。もっとライブに行っていれば。もっとTHE PINBALLSを広めていれば。もっと曲を聴いていれば。THE PINBALLSは活動休止しなかったのか。どうして今なんだ。どうして。何度もそう思った。私がどれだけ頑張ったところできっと事実は変わらなかった。頑張ったら変わると思うことすら烏滸がましいことだけど、そう思わずにはいられなかった。

 

 行き過ぎた後悔は常に怒りへと変わった。彼らにこの選択肢をとらせてしまった世界に腹が立つ。その世界には自分がいるので自分にも腹が立つ。どうしようもない。もっと大きくなれるバンドだった。良い曲しかなかった。着実にファンも増えていた。「ZERO TAKES」は、一部店舗では売り切れが出るほどだった。ラストライブの会場はTHE PINBALLS史上もっとも規模が大きいZepp DiverCity Tokyoだ。ここまで来ていたのに。皆が良さに気づきはじめていたのに。本当にどうして今なんだ?

 そもそもあの発表の仕方は何だ?金曜日の夜とかいう人が1番幸せである時間帯に不幸の塊みたいな知らせ出しやがってふざけんな。ちょっとでもショックを和らげようとでも思ったのか?金曜日の夜ぐらいの幸福量ではかき消せませんバーカ。これから週休完全5日制になりますぐらいの幸福量じゃないと無理です。というか本当に活動休止なのか。あれを読む限り解散にしか思えなかったが。THE PINBALLSファンじゃない友達にも読んでもらったけど、活動休止というより解散に見えるねって言ってたぞ。ファンじゃない人から見てもそう見えてるのにファンが見たらどう思うか分かってんだろうな?公式ツイッターの態度も気にくわない。何が「皆様に寂しい思いをさせることになってしまい、申し訳ございません」だよ。そんなこと言うぐらいなら活動休止なんかするなよ。何でだよ。良い方向に向かってきてたじゃん。ライブのキャパは増えてきてたし、新譜の売り上げも良かった。MVの再生回数も伸びてた。ファンクラブもできた。なのに何で?調子が良いように思ってたのは私だけだったの?少しずつ世界の関心がTHE PINBALLSに向いてきたように思ってたのも私だけだったのか?なんで今なんだよ。というか謝るなよ。おまえらはロックバンドなんだから、活動休止するけどよろしくぐらいの軽いノリで良いんだよ。いちいち謝らないでほしい。謝るぐらいなら活動休止するなよ。

 

 

 きっとTHE PINBALLSは誠実すぎた。彼らはロックバンドとしての傲岸不遜な魂を持っていなかったのだ。THE PINBALLSが解散の危機を迎えるのは今回だけではなく、メジャーデビュー前にも解散の話が出たそうだ。前回と言い今回と言い、なぜこれからという時に解散するか否かという話が出るのか。普通の人間ならこのまま突っ走るタイミングでなぜ止まってしまうのか。それは彼らが誠実すぎたから。バンドとしての在り方に誠実すぎたから。ロックバンドなんてものは俺らが世界で一番かっこいいから、外野は黙ってついてこいとか俺は世界一かっこいいから何しても良いとか考えてるのだ。それくらい傲慢で恐れ知らずなのが当たり前なのだ。休止する時もファンに何の知らせもなく突然止まってしまってもいいはずなのに。わざわざ文章出してラストライブまでして。最後の最後までファンに向き合って。そういうところが大好きだけど、今回ばかりは辛くなった。

 

 

 上記のように私は聞き分けの悪い面倒くさいファンなので、彼らの活動休止をすぐには受け入れられなかった。ラストライブ当日の今でも受け入れられていない。今後一生受け入れられる日は来ないのかもしれない。ただTHE PINBALLSがいない状態に慣れるだけ。本音を言って許されるのならば、THE PINBALLSには活動休止してほしくなかった。まだまだ新曲を聴きたかった。ライブに行きたかった。ずっとロックンロールを続けて欲しかった。だが、彼らも相当悩んでこの決断を下したのだろう。メンバーのコメントからも伝わってくる。THE PINBALLSが悩みに悩み抜いて下した決断を否定することは、私にはできない。できるはずがない。

 正直、活動休止を選んでくれた時点で御の字なのだ。本当に嫌になったのなら活動休止ではなくて解散を選んでいたはず。それでも、活動休止にしたのはメンバーの中にまだ4人で音楽を続けたいという気持ちが残っているからなのではないかと、希望はまだ残っているのだとそう思い込むようにしている。自己欺瞞を繰り返している。

 

 

 この前英語の授業があった。テーマは、人間の寿命。「あなたはいつまで生きたいですか?」という質問に対して、皆が100歳までとか孫の顔見るまでとか順当な答えをしているのを聞きながら、私の心に浮かんだ答えは11月24日までだった。私の大好きなバンドが活動休止してしまうからです。と言ったら、なんてバンド?と聞かれた。THE PINBALLSだと答えた。誰も知らなかった。皆の顔にそんなくだらない理由かと書いてあった。自分でも思ってる。たかが一つのバンドが活動休止するぐらいで、人生を終わらせてしまっても良いと思うなんて馬鹿げていると。それでも、そんな馬鹿げたことを本気で思ってしまうほど私はTHE PINBALLSが大好きだ。THE PINBALLSが生き甲斐だった。目的だった。THE PINBALLSの曲を聴くといつでもテンションが上がった。大事な試験の前や嫌な事があった時に聴くと気分が落ち着いた。ツイッターでは、THE PINBALLS好きのフォロワーさんたちと曲の解釈についてたくさん話せた。THE PINBALLSが接点となって仲良くなれた人もいた。本当にTHE PINBALLSは私にたくさんのものを与えてくれた。私はTHE PINBALLSにたくさん救われた。だから、こんなことなら最初からやらない方がよかっただなんて口が裂けても言わないでほしい。最初からやらない方が良かっただなんてこと絶対に無い。現に私の人生はTHE PINBALLSに出会ってから確実に楽しくなった。THE PINBALLSが存在する価値も理由もあった。今後 THE PINBALLS以上に好きになれるバンドは現れないかもしれない。そう思えるほど大好きだ。THE PINBALLSは私の人生の光だった。希望だった。明日からどうやって生きていくのかもう分からないのだ。活動休止を前向きに捉えられる日など絶対に来ない。しかし、彼らの選択を尊重する。THE PINBALLSを愛しているから。だからといって、受け入れられるわけではないのだけれど。

 

 私の心には穴が空いてしまった。この心に似合うビートはTHE PINBALLSしかない。THE PINBALLSがいなくなるという事実は未だに受け入れられないが、時間は止まってはくれない。だから、受け入れられないまま穴が空いたまま進むしかない。確かに私はTHE PINBALLSの活動休止によって心に割と深い傷を負った。学校の方でありえないぐらいの揉め事が起きていたが、それを見ても何も感じられないほど、成り行きで嫌な仕事を押し付けられても何の感情も湧いてこないほど心が死んでいる。どこで何をしていても歯車が噛み合わない。ずっと。この死んだ心はTHE PINBALLSが活動再開するまで蘇らないのだろうな。それまでこの穴が空いて死んだ心を抱えて生きていこうと思う。

 

 

 また四人で音が鳴らしたくなったら帰ってきてほしい。たとえそんな日がいつまでたっても来なかったとしても、私はいつまでも待っている。今までありがとう。さようなら、愛しきロックバンドTHE PINBALLS。

 

妄想ライブレポ~UNISON SQUARE GARDEN-fun time HOLIDAY 8(w/フジファブリック)編~

 ついにこの日が来た。UNISONSQUAREGARDEN主催の自主企画対バンツアー、fun time HOLIDAY 8。8と書いてあることから今回が8回目、つまり過去に7度開催されてきたのだが、毎回対バン相手が素晴らしく豪華なのだ。しかし、今回の相手はいつも以上にすごかった。フレデリックSUPER BEAVERヒトリエなどの人気絶頂のバンドから、キュウソネコカミBIGMAMA等のユニゾンと過去に対バンを行ったバンドまでよりどりみどり。そして、本日行われる北海道公演のゲストは、フジファブリックである。

 

 フジファブリック、私の受験を支えてくれたバンド。高3の冬はフジファブリックばかり聴いていた。しかし、ライブに行ったことはなかった。ハマった時期が時期だったので、そもそもライブに行けなかったのだ。フジファブリックの15周年記念ライブと模試が重なってしまい、会場で狂いながら模試を解いたのは良い思い出。ライブを取るか模試を取るか入金期限ギリギリまで悩んだな(悩むな)。そんな中発表されたfun time HOLIDAY 8。対バン相手にフジファブリックを見つけたとき狂喜乱舞した。開催日には受験も終わっているので、存分に楽しめる。場所が北海道なのがネックだったが、この際場所なんてどこでも良い。ブラジルで開催されてても行くわ。というわけで、速攻でチケットを取ったがしかし、コロナのクソ野郎のせいで延期。一時は開催が危ぶまれたが、全世界の石油王が金の力でコロナウィルスを撲滅したおかげで無事開催されることになった。ありがとう全世界の石油王。金の力で解決できない問題など無かったのだ。どさくさにまぎれて石油王の愛人にもなれたし。724番目だけど。

 

 はやる気持ちを抑えつつ、家から空港まで移動。予約していた飛行機に乗り、新千歳空港に到着。代金はもちろん石油王のブラックカードで支払った。ちなみに石油王はカードを貸してくれただけで、自家用ジェットは貸してくれませんでした。これがヒエラルキーってやつか・・・。ま、カード貸してくれただけありがたいと思おう。

 

 現在時刻11時15分。ライブは18時開場、19時開演なのでまだ6時間ほど時間がある。飛行機内では水しか出てこなかったため、おなかペコペコである。さすが格安旅客機。本当に石油王の愛人なのか?しかし、ここは北海道。海鮮丼、スープカレー、じゃがバター、パフェなどおいしいものの宝庫である。というわけで、手始めに海鮮丼を食べることにした。空港内のお店でサクッと済ませようと思ったのだが、ここでカルチャーショックを受ける。さすが北海道、海鮮を扱っている店が20店舗以上ある。地元の空港には1~2店舗しかなかったぞ。北海道恐るべし。どのお店もとてもおいしそうで選べなかったので、目をつぶって1回転した先にある店にした。どの魚介も新鮮だし、エビがぷりぷりでうまかった。満足。カロリー?石油王の力で0になりますよそんなもん。

 

 とりあえず腹ごしらえをしたが、なんだか甘いものが食べたくなってきたのでパフェを食べに行く。目についたカフェに入り、注文。ミルク感が強くてうまかった。若干の胃もたれを感じ、もう若くないことを悟った。つら。パフェを食べた後は、その辺のお店でお土産を買ったり、おいしそうなじゃがバターが売ってたので買い食いしたり、なんやかんやしているうちに開演1時間前に。空港のロッカーに荷物を押し込み、タクシーでZepp Sapporoまで飛ばした。今のところ食べたいものはほぼ食べれたし満足である。この後ライブもあると思うと、嬉しすぎて成層圏まで飛べる。ちなみにここまでかかったお金は全部石油王のブラックカードで支払った。石油王バンザーイ。

 

 入場待機列に並び呼ばれるのを待つ。ぞろぞろとまるで大名行列のように観客がライブハウスに吸い込まれていく。その流れに乗り、入り口でドリンク代とコインを引き換え中へ。私は帰りの混雑に巻き込まれたくないためドリンクは先に引き換える派であるが、これの難点は位置取り争いに若干出遅れるところ。少しでも遅れを取り戻すために、カウンターにコインを突き出し「水で。」と一言。言い終わらないうちに出された水を受け取り、小走りで客席へ。ZEPPのスタッフさんは絶対特別な訓練受けてるよな。そうじゃないとあんなスピードで水出せないよ。あといつも思うが500円の水って高すぎない?こんな高い水ライブハウスの水か水素水ぐらいしかないぜ。と、脳内でぼやきながら位置取り争いに参加。前方の柵前真ん中あたりという好位置につける。前を狙える良い位置ですねえ。グッドポジションに着いた後は、ライブが始まるのをタダ待つのみ。私はこのライブが始まるまでの空白の時間、毎回緊張してしまう。ただ見に行ってるだけなのになぜ緊張するのか訳が分からない。どう考えても演者の方が緊張するだろ。いやこの2組なら緊張すらしないかも知れないな。

 

 ただ緊張するといっても嫌な緊張ではなくて、腹の底がじんわりと熱くなって動かずには居られなくなってしまうような感じだ。期待と高揚感がない交ぜになって緊張感として現れているようなそんな感覚。これを感じると、ああライブに来たんだなと強く思う。何分かに1回ライブですよ!!!!!!ライブが!!!!!!!!はじ!!!!!!まる!!!!!!ライブ!!!!!!!!!!!と叫びながらライブハウスを駆け回りたくなるのだが、そんなことしたら一生出禁になるのでできません。実際そんな客居たら演者も嫌だわ。

 

 なんとか衝動をなだめていると、突如フロアの照明が暗くなっていきステージ上がライトアップされる。待ちに待った開演だ。歓声と拍手が惜しみなく受けながらステージにフジファブリックのメンバーが入場してくる。本日のサポートドラムは玉田豊夢さん。いきものがかり星野源のアルバムにドラムとして参加している超絶ドラマーである。フジファブリックのサポートドラムも数多くこなしてくれていて、私は実質メンバーだと思っている。メンバーが位置につき、互いの顔を見合わせる。本日の入場SE「Intro」が徐々に小さくなっていき、いよいよライブが始まる!

 

 

 会場の限界まで高まった空気を打ち破るように、ギター、ベース、ドラム、キーボードの音が鳴り響く。全観客の視線がフジファブリックへと集まる。会場の空気感を確かめるようにゆったりと始まり、徐々に勢いを増していく。加速する演奏と比例して観客のボルテージも上がっていく。「Intro」の後にやる曲と言ったらあの曲しかない。STARだ。

 

総「こんばんはぁ!札幌ぉ!」

 

総君ことフジファブリックのボーカルギターの山内総一郎が吠えた。観客のボールテージは開幕数分で最高潮に達し、成層圏まで突き抜けた。終わる頃には宇宙の果てまで行ってしまいそう。すべての照明が白く輝き、フジファブリックを照らす。彼らを星にするかのように。星の光にむかって突き進んでいくようなこの曲は、ライブ1曲目にもってこいである。

 志村さんが亡くなって、フジファブリックは一時活動を休止した。短い休止期間を経て3人体制になったフジファブリックが最初に送り出した曲がSTAR。当時の様々な意見を跳ね飛ばすかのように力強くそして切ない、文字通り星のような曲だ。私はこの曲が大大大好きなので興奮した。STAR始まりのライブとか最高すぎんか?

 

「こんなに近いのに 遠くもあるのだな」

 

もう毎回ここで泣いてしまう。ここだよ、STARを特別な曲たらしめているのはここなんだよ。ここからラスサビまでの歌詞が良すぎる。新体制としての勢いを表すだけじゃなくて、志村さんへの想いも込めている。ここなんだよ!!!!この詩を総君と加藤さんが書いたって事実だけで泣ける。無理。それが生で聴けるなんて余計に無理。泣いた。1曲目からタオルびちゃびちゃ。

 

 

 アウトロを余韻たっぷりに伸ばし、星が輝きをなくすように音が止まる。湧き上がる歓声と拍手。興奮も覚めやらぬままに、浮遊感のあるキーボードが滑り込んでくる。このイントロを聴くと腹の底からわくわくが溢れてきて止まらない。キーボードが掻き立てる浮遊感とは裏腹にややけだるげに歌い出す1曲、Sugar!!だ。フジファブリック最大の応援歌と言っても過言ではない1曲がここできた。強い。このライブ、間違いなく強い。気を抜くとユニゾンまで体力が持たないことを確信した。

 

 イントロから徐々に加速力を上げていき、サビで底抜けに明るくなる。「全力で走れ 全力で走れ 36度5分の体温」というサビのフレーズに合わせて、総君の歌声が闇をはらうように伸びやかに広がっていく。この曲はフジファブリックの中でも数少ない応援ソングなのだが、他人へエールをおくっているわけではなく自分自身への言い聞かせに過ぎないのがフジファブリックらしい。こうなんか少しひねくれているというか、若干ずれているところがユニゾンフジファブリックの共通点のように感じる。36度5分という至って平熱、上がりきっていない体温もこの曲のちょうど良い温度感を表していて好きだ。だが、ライブとなったら話は別である。36度5分の体温とか言ってらんねえよ。興奮して36度5分とか余裕で超えてるわ。ちょっと前までだと36度5分の体温でもギリギリのラインだよね。

 

 

 滑走路を走り抜けて大空へと飛び立っていくようなアウトロが終わり、息つく間もなく奏でられる軽快なピアノの音。それに重ねるようにダンサブルなドラムが入ってくる。

「1,2,1,2,3!」というかけ声とともに始まった1曲、LIFE。STAR、Sugar!!ときてLIFEを持ってくるとは。フジファブリック、完全に観客を自分たちのものにしようとしているとしか思えない。序盤から曲が強すぎる。もうライブ終わるの?ってぐらいの火力である。この曲はアニメ『銀の匙 Sliver Spoon』のOPだったそうなので、知名度が意外と高いのか、3曲目とは思えないほど観客は完全にできあがっている。

 

「見慣れていた 景色さえも 輝いてた」

 

この歌詞がここまで刺さる日が今日以外にあるのだろうか。一度は完全に失われかけたこの景色。ライブの開催を待ち望んでいた我々観客はもちろん、演者にとっても待ち焦がれていたかけがえのない輝かしい景色になっているのだろうか。その想いを込めてのこの選曲だったとしたら泣いちゃう。フジファブリック優しすぎて泣いちゃう。まあ1曲目から涙でタオルびちゃびちゃですけど。

 

 流れるように1番が終わりこの曲最大の見せ場がやってきた。総君の圧倒的ギターソロである。さすがは元ギター担当、レベルがハンパじゃない。志村さんが認めただけのことはある(何目線?)。もうとにかくうまい。必死に目をこらしたが何しているのか全く分からない。指が速すぎてもはや弾いてないんじゃないかと思い始めた。これ、バンドマンに憧れてとりあえずギター初めて見たけど全然思い通りに弾けない人あるあるだと思います。

 跳ねるようなリズムに合わせて手を左右に揺らす。ユニゾンでは絶対に起こりえない一体感が生まれるのがまた良い。そんな一体感をなくすのが惜しいようにアウトロが最大限延ばされ、ためにためて楽器が打ち鳴らされる。総君がありがとうと一言言い放った後に暗転。観客席から割れんばかりの拍手が起こった。

 

 

総「どうもこ改めましてこんばんは~!フジファブリックです!!」

総君の挨拶とともに柔らかい光がステージを照らす。彼らを迎え入れるように観客席から暖かな拍手が送られた。ユニゾンへのお礼の言葉から始まり、ユニゾンとは同じ事務所で以前「SMAおなじむ」で斎藤さんと共演したことが語られた。総君のMCにしてはありえないぐらいまともで分かりやすいじゃないかと感動していた。その時だった。

 

総「えーユニゾンがね呼んでくれたこのライブですけど、ここ札幌じゃないですか!ダイちゃん!」

ダ「そうですねどうしたんですか急に」

唐突に総君がキーボードのダイちゃんこと金澤ダイスケに語り始めた。まずい予感がする。

総「札幌と言ったら、サッポロ生ビールやん?あれのロゴってさ、星マークやん?」

この前フジファブリックプレミアムモルツ提供でライブしていたような気がするのだがその辺いろいろと大丈夫なのだろうか。

総「あれって何でか知ってる?」

ダ「えっ?」

 

・・・私は今何の話を聞かされてるんだ?これってユニゾンフジファブリックの対バンだよな?ワンマンじゃないよな?観客席も突然すぎる会話に静まりかえっている。なんだこのゆるっゆるすぎる空気感は。これが噂の山内総一郎MCなのか?さすがのダイちゃんも困惑しきっている。加藤さんは微笑みながら状況を静観している!

 

総「あっそういえばね、僕たちこの前新しいアルバム出したんですよ。『I LOVE YOU』ってやつなんですけど。その中から新曲を演奏したいと思います!」

 

 

 その言葉を合図に照明がすーっと明るさを落としていき、非常にダウナーでつかみ所の無いギターリフが始まる。印象的な1曲、楽園。アルバムツアー以外で聴けるとは思ってなかったのでもうめちゃくちゃ嬉しいのだが、ちょっと待て。サッポロ生ビールの話は?????そう、これがフジファブリックのライブ迷物、回収されないMC。噂には聞いていたがここまでとは・・・。サッポロ生ビールの話めちゃくちゃ気になるけど、もう曲始まっちゃったし、ライブの楽園めちゃくちゃかっこいいし、そういえば時計台見に行くの忘れたこと思い出しちゃったし、もうしっちゃかめっちゃかである。緩急で頭おかしくなりそう。全部フジファブリックのせい。

 

 初めて楽園を聴いたときはこれほどフジファブリックらしい新曲があるだろうかと1人興奮した。盛り上がっているのにどこか冷静さを感じるメロディラインは静かに燃え続ける炎を連想させ、フジファブリックのバンドとしての姿勢すらもうかがわせる。サビ終わりの全員で歌うところは迫力が増し、生の良さをありありと感じさせた。恐ろしくライブ化けする1曲、楽園。メジャーデビュー17年目を迎えさらに進化していく彼らの姿がそこにはありありと映し出されていた。あの3人で歌うところフジファブリックフジファブリックを続けてくれて良かったと思わせてくれるから大好きなんだよな・・・。

 

 

 楽園で一気にフジファブリックの世界観に染め上げた後、一呼吸おいてピアノの音が響いてくる。心の内にそのまま染み入ってくるような優しくどこか切ないピアノ。フジファブリックの代表曲、若者のすべてである。ライブのちょうど中盤あたり、身体が疲れてくるタイミングでの若者のすべては心にくる。セットリスト天才すぎないか???エモの塊のようなこの曲のせいで、タオルがびちゃびちゃを超えてぐっしょぐしょになってしまった。絞れるこれ。まずねこの曲を聴いて泣かない人はいないと思うんですよ。これで泣かない人は道徳の授業中に内職してた奴だろ。

 

 この曲は志村さんが作った曲だけど、志村さんが亡くなった後もずっと演奏され続けてきた。Mステもこれで出てたし。だから、総君が歌う若者のすべてがすっかり板についてきた訳だけれども、志村さんが歌う若者のすべてを一度でいいから聴いてみたかったなと思ってしまう。それはこの曲だけに言えることではないけれど。一度でいいから志村さんが真ん中に立って歌っているライブを見たかった。もしも願いが叶うのなら、志村さんが生きていた頃のライブに連れて行って欲しいとお願いする。石油王叶えてくれないかな・・・。だが、総君が歌う若者のすべてが好きではないというわけではない。むしろ好き。志村さんの声はすごくクセがあってかなり聴く人を選ぶと思うのだが、総君の声はまっすぐで素直だ。すごく聴きやすい。クセがなくなった分、歌詞が良く聞こえてくる。

 時々、本当になぜかは分からないのだが総君の歌声が志村さんの歌声に聞こえるときがあるのだ。今もそうだ。目の前で歌っているのは、正真正銘山内総一郎で、志村正彦ではない。なのに、志村さんの声に聞こえるのだ。2人の声が似ているわけでもないのに。知らず知らずのうちに二人を重ね合わせてしまっているのかも知れない。聞こえ方がどうであろうと、私はこの歌が、フジファブリックが好きだ。

 

 

 超激エモセンチメンタルな気分になっているうちにしっとりとアウトロが終わり、観客からはちきれんばかりの拍手が送られた。今日のライブ1の長さだっただろう。さあ次はどの曲が来るのだろうとワクワクしていると、

総「次はかなり懐かしい曲やります!」

えっなんだ?懐かしい曲って何だろう??1stアルバムの曲かなとかのんきに思っていると、

 

 

 

♪ダンダンッダダンッダダンッダダンッ~

 

 

 

 五感すべてが現実を受け入れることを拒否した。なんだ?何が起きた?今何が起きているんだ?こんなこと現実に起きるはずがない。宝くじの1等が当たる確率は地球が滅亡するレベルの隕石が衝突する確率よりも低いと言われているけれど、それ以上に確率が低いことが起きている気がする。というか、生きているうちに絶対に起こりえないことが今目の前で繰り広げられている・・・?おかしい。絶対におかしい。現実味がなさ過ぎてここは死後の世界ではないかと思ってしまう。そもそもこのライブすら存在していなかった・・・?私はいつ死んだ・・・?

 

 今まさに私の目の前で演奏されていて、私の鼓膜に直接殴りかかってきていて、私のその他の感覚すべてをねじ伏せてくるこの曲。目は閉じれても、耳は閉じれない。手で塞いだとしても隙間から入り込んでくる。それが、このことを現実だと見せつけてくる。私の全てを殺しに来ている1曲、花屋の娘だ。跳ねるように軽やかにかつ確実に私の心臓にボディブローを入れてくる。曲が1秒進むごとに1発入れられている。どう考えても死体蹴りなのでやめていただきたい。嘘ですやめないで。

 

 2004年にプレデビュー盤として発表され、後に完全復刻盤として発売された『アラモルト』に収録されている1曲。現フジファブリックメンバーが誰一人として関与していない1曲である。それを今ここで??????これワンマンライブじゃないんだぞ?????何考えてんだフジファブリック。観客の半分ぐらいはフジファブリックのこと知らないかもしれないんだぞ。イントロが始まった瞬間観客席の4割ぐらいは沸いてたけど残りの6割ぽかーんとしてたじゃん。分かってない人結構居るじゃん。どうすんの。どうかしてるのか???どうかしてたわ・・・。 

 

 飛び回っているピアノのリズムが、怪しげなギターの音が、ストーカー気質の陰キャキモオタが考えたとしか思えない歌詞が、とにかくこの曲を構成するすべてが私を殴ってくる。1音1音が五臓六腑を直接どつきまわし命を狙ってくる。音源の方は志村さんの歌声が歌詞の変態性を増していてそれはそれは素晴らしかったのだが、総君が歌うと無駄な爽やかさが増して爽快さのある変態ソングという唯一無二な1曲に仕上がっている。聴いたことない人はサブスクで聴くなり歌詞を検索するなりしてください。フジファブリック1の変態ソングだと私は思っています。もちろん、良い意味で。

 

 生きているうちに花屋の娘をしかも総君が歌っている花屋の娘を聴けるとは思っていなかった。間違いなく今日が命日です。人生お疲れ様でした。今ここで死んでくれと頼まれたら喜んで腹を切ります。本当にありがとうございました。私が死んだらパソコンと携帯の中のデータはすべて消して、家にある同人誌とか同人CD諸々をすべて燃やしておいてください。葬式にはここであったが獣道を流してくれると嬉しいです。そんなとんでも曲をさらっと対バンライブでやるなんて恐ろしい、フジファブリック恐ろしい子

 

 

 花屋の娘に魂を奪われていたのもつかの間、すぐに次の曲が始まる。キラキラ輝く夜空みたいなギターの音色、期待を増幅させるように追いかけてくるドラム、星降る夜になったらフジファブリックはメンバー全員が作詞作曲できるとんでもバンドなのだが、この曲は作詞ダイちゃん作曲志村さんの黄金コンビ(個人的に)曲である。ファン人気も高い。

 

 音源もそうなのだがこの曲はピアノが良い。疾走感に溢れていて好きだ。星降る夜になったらというタイトルにふさわしく夜空を彩る星々のきらめきをピアノが表現している。生演奏だとそれが顕著だ。照明も夜空に浮かぶ星をイメージしているのかチカチカしている。まぶしい。これでポリゴンショック起こす人居ないのかなって毎回思う。観客の熱気で蒸されまくった空気も心なしか夜空みたいに澄んできた気がする。幻想。

 

 圧倒的なプラシーボ効果を受けながら曲はラスサビへ。このラスサビ前のCメロ?がめちゃくちゃ好き。小刻みになってるピアノが良すぎるんだよな。フジファブリックフジファブリックたらしめているのはキーボードなのかもしれない。少なくとも抜いてはいけない要素だよなとライブを見て強く思った。ダイちゃんありがとう。総君のMC回収とか志村さんの面倒見てた所とか加藤さんへの突っ込みとか諸々含めて・・・。

 

 

 静かに曲が終わり、本日何度目か分からない観客からの拍手が送られる。歓声も飛び交ってはいるが拍手の方が多い感じ。1度つけてしまった習慣というのはすぐには変えられないよな。その拍手を優しく包み込むように音楽が奏でられる。何のアレンジだ?こういう前奏アレンジ分かったためしがないんだよな。分かる頃には死んでるし。

 

総「次で最後の曲です!本日はありがとうございました!色々と大変な世の中でしたが、もう大丈夫!!今までもそしてこれからも、ライブという光が、音楽という光が皆さんを照らし続けます!皆さんの人生に光りあれ!」

 

 総君の言葉を受けて始まった、光あれ。ライブの締めくくりにふさわしい1曲。この曲を構成するすべての要素が優しさで溢れている。好き。また泣いた。すぐ泣くから困る。そもそも泣かせにきているフジファブリックが悪い。こんな陽だまりのような曲調で前向きな歌詞を並べてきてるし、照明も今日1番優しいし、会場の床もなんかふかふかになってる気がするし泣かない方がおかしいんだよ。

 

 この曲を初めて聴いたときはフジファブリックらしくないなと思った。なんか曲調がぽくないように感じたのだ。しかし、これは本当に不思議なのだが、何回も聴くうちにフジファブリックにしか作れない曲になるのだ。フジファブリックはらしくないを繰り返してきて今の状態になっているバンドだから珍しいことではない。らしくないこと自体がフジファブリックなのだ。そのことを強く実感させてくれる1曲だった。

 

総「以上フジファブリックでした!ありがとうございました!またライブハウスで会いましょう!」

 

 総君が観客に向かって叫び、フジファブリックのターンは終了。とんでもなく素晴らしいライブだった。やっぱりバンドの真価というのはライブで発揮される。音源だけなんてもったいない。生で聴かなければダメだと強く思わされたライブだった。ありがとう、フジファブリック。大好き。今度はワンマンライブで会いましょう。

 

 

 

 フジファブリックの余韻に浸っている間に舞台の転換作業は終わっていた。そこから楽器チェックとかなんやかんやあり、待つこと15分ぐらい。照明が落とされ、お決まりのSE「絵の具」が流れ始める。沸き上がる歓声に拍手。フジファブリックの時はどこか温かみのあるように聞こえたが、ユニゾンのは湧き上がる気持ちを抑えられずに叩いているように聞こえる。「絵の具」を聴くとドーパミンドバドバになっちゃうから仕方ないね。IQも5ぐらいになっちゃうし。そこらへんの猿より下回ってますよ。

 

 猿同然になった観客の前に満を持してユニゾンの3人が登場する。最初に貴雄がゆっくりと登場。続いて田淵がおどけて登場。最後に斎藤さんが登場し、観客席に一礼。相変わらずで大好きだぜ。

 

 徐々にSEが絞られていき、突如SEをかき消すようにドラムが弾んだ。そのままギター、ベースが乗っかっていき、音が紡ぎ出される。これぞUNISONSQUAREGARDENと言わんばかりの明るくかつ鋭いメロディ。

 

斎「Oh!!No.6!!!」

 

このライブの流れを作る1曲目、アトラクションがはじまる(they call it "No.6")。随所にユニゾン節が散りばめられたライブの1曲目にふさわしい曲。その圧倒的な音でまだフジファブリックの余韻が冷め切っていない観客を完全にユニゾンのペースに巻き込んだ。完全にフジファブリックファンを取り込みに来ている。このおじさんたち殺る気だぞ。もう嫌な予感しかしないもん。絶対ヤバいセトリだよ。

 

 最高にユニゾンしているメロディラインに載せて、「飽きちゃったら そのへんでくたばりゃいいや」「ムカつくこともある 例えば交差点に湧くゲリラとか」など強めの言葉が飛び交う。これなんだよ・・・。この明るくポップなメロディの中に語気強めの言葉が乗っかってるこのバランスがUNISONSQUAREGARDENなんだよ・・・。1曲目から分からせにくるとは、今回のライブガチのマジだな。

 

 

 アウトロ最後のキメをバッチリ合わせたと思ったら、余韻を感じさせる隙さえ与えずにドラムが殴り込んでくる。この幾度となく聴いてきたドラムからの聴きすぎて耳と一体化してるんじゃないかと思ってしまうギター。シュガーソングとビターステップだ。イントロのドラムが聞こえてきた瞬間から観客席から歓声が沸き上がった。沸き上がりまくってんなさっきから。

 

 今やUNISONSQUAREGARDENの4番といっても過言ではないこの曲も発売からはや6年。6年もたってるとかまじ?信じたくないんだが?発売されたときから完成されきっていたが、6年もの間ライブで演奏され続けるうちにより精度が増し殺傷能力が増した。ライブで曲が成長するって言うのは本当だったんだな・・・。しかも最近のユニゾンは1,2曲目にシュガビタやるからたちが悪い。ライブ序盤から死体に囲まれてんのよ。自分も死んでるんだけどさ。

 

 ユニゾンらしいポップなメロディに、ベース、ドラムが暴れまくる間奏、とてもギターを弾きながら歌えるとは思えない歌詞。どこをとってもUNISONSQUAREGARDEN。ライブで聴くたびに思うがこの曲弾きながら歌う曲じゃないだろ、どっちもむずすぎるんだよ。しかし、両方をさらりとこなす斎藤さんは今日も最高にかっこいい。さすが我らがギタボ。ユニゾンは田淵のクレイジーぶりに目を引かれてしまう人が多いと思うのだけれど、斎藤さんも相当頭おかしい動きしてるし、貴雄も千手観音の親戚なんですか?としか思えないほど手数の多いドラムを叩く。田淵も田淵で暴れてるだけのように見えてえげつないベース弾いてるから。ほんとこのバンドは底が知れない。なんなんだこの超人集団。ライブを見るたびに彼らが人間じゃないことを思い知らされる。まじで何したらそんな人間離れしたことできるんですか?同業者食べたんですか?

 

 

 アウトロのキメの部分を何回か繰り返し、最後のギターの音を爽快にかき鳴らしてエンド。間髪入れずに印象的なギターリフが奏でられる。まさかこの曲が聴けるとは!最新アルバムPatrick Vegeeから1曲、スローカーブは打てない(that made me crazy)。この一分の隙も無く曲がつながっていくのがユニゾンのライブだよな。鮮やかすぎる手腕に惚れ惚れしちゃうぜ。

 

 この曲はパトベジの中ではかなり演奏されている方なので聴けるかなと思っていたら本当に演奏されるからびっくり。ライブ映像も公開されてるし、この前のSSS大阪公演(1日目)のデイライで一瞬だけ演奏されていたりもしたのでかなり優遇されている。気まぐれ雑踏に謝れよ。SSSで演奏されたときはまじで心臓止まるかと思った。今も割と死んだけど。割と死ぬって何?

 

 前の2曲がDr.Izzyの曲で並びまでアルバム順だったもんだから、もしかしてイジー先生の再現ライブ的セトリか?と思っていた矢先にこの曲ですよ。観客の浅はかな予想をサクッと裏切ってくるユニゾン大好き。セトリおじさんに勝てる日なんて一生来ないんだろうな。 

  印象的なギターリフから始まり、バッチバチのギターソロからスローテンポのCメロ。分かっててもノリについていけなかった。変拍子はノリづらいって1万年前から言われてるの知ってる作曲おじさん?そういうひねくれたところが大好きだからライブ来てるんだけどさ!

 

 

 最後のフレーズ、つまりレイテンシーを埋めていぃまっっっすとやや気合いを入れて歌いきり、暗転。観客席から拍手と歓声が沸き起こった。自分も手首もげるんじゃないかと思うぐらい拍手した。慣れって言うのは怖いもので声出せるようになったのにあんまり出せなかった。冷静に考えたらコロナ流行る前から声出してなかったわ。閉廷。

 

斎「どうも皆さんこんばんはUNISONSQUAREGARDENです!」

再び沸き上がる歓声。割れんばかりの拍手もついてくる。

斎「自由に楽しんでいってください!よろしく!」

 

斎藤さんの言葉とかぶせるようにドラムのビートが打ち出される。この音を聞くと否が応でもぶち上がってしまう1曲、フルカラープログラム。これこれこれこれ!これだよな!ユニゾンのライブと言ったらフルカラーですよ。最初のドラムが聞こえてきた時点で観客席が無法地帯と化した。動物園かここは?まあでもここでゴリラになってない方がおかしいよな。

 

 この前のSSSツアーでは本編1発目だったこの曲。インディーズ時代からのベテラン選手とだけあって、最初、中盤、終盤どこで演奏されてもぶち上がるし、フェスでも演奏される。SSSでこの曲聴いたときはめちゃくちゃ泣いてしまったな・・・。セッションの時から泣いてたけど・・・。今日もフジファブリックが始まったときから泣いてたけど・・・。

 

 アンバランスな3人が王道のロックンロールを奏でる。一見噛み合わなさそうな3人だが、要所のキメでバシッと音を合わせてくる。さすがとしか言い様がない。バッチバチに仲悪いもんなぁ。そして、この王道のロックンロールにユニゾン節が聞きまくった歌詞がのっているのがまた良い。むしろそこが良い。ライブで聴くと、うわぁぁあかっけぇぇぇ!!と感情が高ぶって意識が飛ぶ。けど、冷静に考えて東京ジャングルってなに?虹って作ろうと思って作れるものなの?うるせぇ!ライブ中にごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ!考えるな・・・感じろ・・・。

 

 

 最近はラスサビ前をアカペラで歌うことも多かったが、今回はバンド演奏のまま突っ走り、若干の切なさを残しながら終わった。フルカラーはバッチバチに盛り上がるんだけど切なさと両立できる熱い曲だよなーとしみじみと感じていると、

「1,2!!!!!!」

という貴雄のかけ声とともに、ポップなギターがあふれ出す。ユニゾンにハマりたての頃にありえないぐらい聴いていた1曲、メカトル時空探検隊。まさかの選曲過ぎて変な声でそうになった。DUGOUTについているDVDをどんだけ見たと思ってるんだよ。思い出補正かかりまくりですわ。

 

 どこかアメリカンな空気を感じる明るいメロディーにのせて相も変わらず意味の分からない歌詞が跳ね回る。時にスタッカート多めに時にゆらゆらと斎藤さんが歌う。本当に時空間を探検しているかのような緩急の付け方。ライブでしか聴けない歌い方とかアレンジを聴くとこの場に来て良かったなと心から思う。とりあえず全人類に愛とチョコレートを!と全力で叫べたのでこの曲に未練は無いです。あとサビ前の所の照明がぐるぐるの渦巻き模様になっていて、タイムトリップを表しているようで良かったです(小並感)。

 

 

 ヘイ!と声を揃えてばっちり決め終了。最高だぜと油断していたところに、爽やかなギターが襲いかかってきた。オーケストラを観にいこう。全くUNISONSQUAREGARDENって奴らはよこれだから油断できないぜ(致命傷を受けながら)。いや音源そのままの始まり方すると思わないじゃ~ん!?(吐血しながら)

 

 豪華なオーケストラ演奏から始まることが多かっただけに、突然バンド演奏で殴ってこられたら心臓が持たないのよ。ユニゾンはサプライズが上手だなあ(白目)。オーケストラ演奏による厳かな始まり方も好きだが、この通り魔始まりも好きだ。衝撃と音の爽やかさがマリアナ海溝レベルで離れているけれど。

 

 殺人イントロからサビにかけて徐々に盛り上がっていきサビで突き抜ける王道の曲展開。結局こういう王道展開曲が1番盛り上がるんですよ。サビで突き抜けると同時に照明も一気に明るくなった。明るいといってもポリゴンショックを起こしそうなギラギラした光では無く、優しく包み込むような白い光。ユニゾンのライブはいつも曲と照明がぴったり合わさっていて、見ていて惚れ惚れする。曲以外でユニゾンのライブにかける思いをうかがい知ることができるポイントだ。ただあんなに照明当てられて暑くないのかなと若干思ってしまった。暑くないわけないよなこっちも死ぬほど汗かいてんだから。

 

 

 多幸感たっぷりのアウトロが終わるとともに、照明が一気に落とされた。ライブではよくある演出なのでそんなに驚きはしなかった。むしろ次の曲がなんなのかとワクワクする。照明が落ちたときは、斎藤宏介にピンスポットがあたってからのバラードという流れが多いよな・・・。クローバーか?僕らのその先もありえるな・・・。いや、アレンジしたスカースデイルか?などなど考えていた。その時、

 

 

 

 

 そいつは突然やってきた。

 

 

 この世の色気を全て濃縮したかのような叫び。それは事態が思い通りに行かないことへの諦念か、君と一緒に行けない事への後悔の念なのか。色気とエモさに支配される1曲、夜が揺れている。奴は私の思考外からやってきて背中を刺し貫いていった。可能性がないわけではなかった。しかし、この曲は2019年の「MODE MOOD MODE ENCORE」以来全く披露されていないのである。MMMEで聴いたとき、これが最後になるんだろうなと覚悟した1曲なのだ。その時もまさか演奏されるとは思わなかったため、その場で柵に突っ伏していったけど。たちが悪いんだよやめろ観客の背中を刺すな!!!!!!死ぬだろうが!!!!!!!もう死んでるんだよこっちは!!!!!!

 

 この曲はとにかくエモい。エモさの塊。エモエモのエモ。エモエモ言い過ぎてエモさ薄れそうになるよね。夜が揺れているはそんなことで薄れるような子じゃないので大丈夫です。こっちの情緒は大丈夫じゃないけども。

 この曲の最大の魅力は、エモさ(n回目)を感じるメロディラインにエモさを倍増させる歌詞が紡がれるところ。ユニゾンでも初期の方の曲なので、音源の歌声が若い。今の斎藤さんにはない鋭さと切なさが伴った歌声だ。だが、今はライブだ。生演奏だ。生歌だ。今の斎藤さんの柔らかい歌声は歌詞の優しさを強調させていてエモい。そして何より、ライブでまた聴けたという事実がエモい、これがエモさの相乗効果ってやつか・・・。

 

 イントロのハァァァァァンで観客を刺し、哀愁漂う歌詞でエモさを倍増させ、そこに間奏の超激エモギターソロでとどめを刺す。完膚なきまでにエモさに殺された。さらにおまけと言わんばかりに、「バイバイ。」と囁いて終了。こんなのもはや死体蹴り、オーバーキルである。今、ZEPP Sapporoに隕石が落ちてきたとしても後悔はない。でも、一人ぼっちじゃないと空には昇れないから必然的に全員まとめて地獄行きですね!ワハハ!!!!

 

 

 そんな不謹慎な妄想を浮かべていたのもつかの間、

 

貴雄「1,2,1234!!!!!!」

 

貴雄のかけ声とともに堰を切ってあふれ出すギター、ベース、ドラム。耳に突き刺さってくるシンセサイザー。否が応でも飛び跳ねてしまう1曲、徹頭徹尾夜な夜なドライブだ。夜が揺れているであれだけエモさに浸らせておいて、ここでぶち上げさせるとか。ウーパールーパーなら会場の温度差が激しすぎて死んでる。

 

 ここまでの流れ的に最後の盛り上がりが来たといったところか。なんて頭では冷静に考えているが、身体はもう暴れ出している。この曲を聴いて暴れださずにいられるか!ライブで初披露され、長らく音源化していなかったこの曲。ライブに育てられた1曲といっても過言ではない。そりゃあ盛り上がるよなあ。

 

 軽快なドラムも、主張が激しすぎるシンセサイザーも、緩急のある曲展開も何から何までライブで盛り上がるようにできている。終始ドラムのリズムに合わせて飛び跳ねてしまう。サビなんか飛びすぎて足ちぎれそうなんだよな。MVを再現したのか知らんが、シンセサイザーにも負けないぐらい刺激が強い照明がビッカビカ光る。そろそろ訴えられても知らないぞ。田淵のギアも上がってきたようで、イントロ、間奏部分で全力足上げを始めた。あの人もう36歳ですよね?私より足上がってるんですが。私があんなことしたら3日3晩動けなくなるし、下手したら一生寝たきりになる。リスキーすぎ。やっぱり田淵は見るに限るな・・・。正直、サビのワタシドコココハダレダアレのとこで一緒になって歌うのあんまり好きじゃないが、何も気にせず騒げるライブは久しぶりだなので今回は許す。

 

 

 あっという間にアウトロまでいき、最後の夜な夜な!の部分もぶち上げて終了。そこに間髪入れずに、

貴雄「1,2,3,4!!!」

もはや雄叫びになっている貴雄のカウントとともに、轟音のようなギター、ドラムがなだれ込んでくる。ユニゾンのライブといったらこの曲、場違いハミングバード。田淵はステージ端からステージ端まで駆け抜けた勢いで側転し、そのままベースをかき鳴らす。ライブも終盤なのに絶好調だ。というか、田淵は後半になればなるほど元気になるタイプだったな。

 

 さっきの夜な夜なで足は限界を迎えていたが、気力を振り絞り暴れ回る。音源よりも明らかにテンポが速い。いつもよりもかっ飛ばしてるんじゃないか?あまりのテンションに体がついていっていない。もしかして、私の体力なさすぎ・・・!?指定席ならまだしもステンディングのライブは待機列のところでもうすでに足が限界を迎えます。舞洲とか始まる前からすでに疲れてたもんな。始まったら疲れなんて吹き飛んでしまったけども。今日のライブもその類いで、始まる前から疲れていたが曲が始まった瞬間疲れなんて飛んでいった。しかし、MC等のクールダウンタイムがあると疲れが頭をもたげるのでユニゾンみたいにずっと演奏し続けて欲しい。曲が流れている間はずっとアドレナリンが出続けるので。マクロス

 

 UNISON SQUARE GARDENギターソロの色気がすごすぎて観客の情緒が死ぬぞ選手権で堂々の1位を取ったギターソロを見せつけ、そこからラスサビにもつれ込む。これがUNISON SQUARE GARDENだと示すように派手にやり、最後の舌打ち3連発で全観客の心を射止めフィニッシュ。あの舌打ちで惚れない人いたら出てきて欲しい。私は惚れた(毎回)。

 

 

斎「ラストォ!!!!!!」

 

もう最後の1曲なのか。ユニゾンのライブは体感5分だから困る。てか、本当にライブやった?と、1人ライブの存在を疑いはじめていると耳に残るギターリフが飛び込んでくる。最後はこの曲、Phantom Joke。ユニゾンはどの曲も人間やめてるとしか思えない演奏をするが、この曲ほど人間辞職してる曲ないんじゃないか?斎藤宏介の脱人間化を許すな。田淵はもっと自分たちを労る曲を書け。こんな曲ばっかりだと曲中に貴雄が阿修羅像になってしまうぞ。

 

 とんでもねえイントロをさらっと弾きこなし、Aメロ突入。生で初めて見て改めて思ったけど、なんでこんなに難しい曲弾きながら歌えるんだ・・・?シュガビタもそうだけど高いし速いしリズムも変なボーカル泣かせ曲を弾きながら歌うのは神業なんですよ。最近ギターを弾き始めて思ったが、そもそもギターを弾きながら歌えない。ギターむずくない?なんで弦6本もあるんですか?右手と左手同時に動かないが?というか、こんなに難しい曲を生でやろうと思う精神がそもそもおかしい。UNISON SQUARE GARDENは変人の集まりだから仕方ないね!(褒め言葉)

 

 変声期前の男の子でもでない高音サビを見事に歌い、2番へ。配信ライブで歌えなかったのがよほどショックだったのか、あれ以降ファントムを歌うときは気合い入ってる気がする。斎藤さんのそういう負けず嫌いなところ好きだぞ。そして、クソむず間奏ゾーン。斎藤さんはギターを弾く手が音速を超えていたし、田淵は暴れすぎて残像見えてたし、貴雄は阿修羅像になった。人外 SQUARE GARDENじゃん。ウケる。その人外っぷりに呼応するかのように照明もビッカビカ光っていた。ストロボ写真撮るときみたいな光らせ方してた。目が死んだ。

 

 照明に目を潰されている間にアウトロへと進み、最後のクソむず合わせもバッチリと決め終了。音源通りにすっぱりと終わりました。

斎「UNISON SQUARE GARDENでした!またね!!!!」

 

 割れんばかりの拍手と歓声がUNISON SQUARE GARDENを見送る。斎藤さんの挨拶を機に、メンバーがはけていく。最後の斎藤さんが見えなくなった2秒後ぐらいに、アンコール待ちの手拍子が始まる。さすがに早くない?てか、ま~~~~~~じで体感5分だった。本当にライブやりました?楽器持ってた?弾いてた?UNISON SQUARE GARDEN生きてた?などとごちゃごちゃ考えながら、アンコール待ちの手拍子をする。本当の余韻に浸るのはその後でも十分だ。このいつ戻ってきてくれるのか、そもそもアンコールをしてくれるのか分からずに待つこの時間が好き。アンコール手拍子仕切り直しおじさんいつもありがとう。

 

 

 暗かったステージに照明がともり、着替えた3人がステージ上に戻ってくる。貴雄はゆっくり、田淵はひょこひょこと、斎藤さんはいつも通りに戻ってきてくれた。

斎「アンコールありがとうございます。今日はフジファブリックと対バンということで。フジファブリックは僕らの事務所の先輩で、この前も事務所企画のライブで僕と総君、ボーカルギターの山内総一郎君と共演したんですけど、それよりも前に、えーっと、あれは2017年かな?(無言でうなずく田淵)フジファブリックの自主企画ライブに呼んでいただいて。それが初共演でしたね。」

ここで一呼吸おいて、

斎「フジファブリックは本当に素晴らしいバンドで、今年で結成21年、メジャーデビューから17年、ここまで続けられることは本当にすごいことだと思います。機会があれば是非また対バンしたいです。本日はありがとうございました!」

 

 

 4カウントの後に、ぬるっと入ってくるギター。後ろで縦横無尽に動くベースライン。ためているドラム。ドラムロールが頂点まで達すると同時にギターがカットインし、思わずハイ!と声を上げてしまう。アンコール1曲目、サンポサキマイライフ。この曲のハイ!とガリレオのショーケースのがっそー!!は叫んでも許されると思ってる。

 

 テンションを上げすぎず落ち着けすぎない絶妙の選曲。さすが田淵智也。セットリスト組みの天才。MIDNIGHT JUNGLEとかため息SHOOTING THE MOONとかそういうの来たら気が触れてステージに上がってたと思う。軽率に狂うぞ。

 心地よいリズムに合わせて揺れているとだんだん盛り上がっていきサビへ突入。このサビで爆発する感じたまらなく好きだ。あとこの曲は歌詞が良い。サビのちょうど良い距離感がユニゾンの在り方そのものを示しているようで大好きだ。なんでYoutubeのライブ映像消しちゃったんですか?アフロ姿の貴雄もう1回見たいんですけど・・・。

 

 終始リズミカルに進みあっという間にアウトロ。柔らかな照明に照らされながらリズムに乗っていると終わってました。照明も目に優しくて100点満点です。最後のハイ!も恥じらいもなく大声で叫んでしまった。妙な達成感に包まれながら踊っていると、

 

斎「♪All quartets, lead lead to say~」

 

一ミリの隙もなく桜のあとへ入った。ここで桜のあとを持ってくるかUNISON SQUARE GARDEN。先ほどまで気ままに揺れていた体が一転、無秩序に暴れ出す。客席も再び暴徒化。このままだとZEPP Sapporo壊れるのでは?もう誰も止めらんねえよ・・・。本当に最初から最後までとんでもないバンドだぜ。

 

 この曲のヤバいところはライブのどのタイミングで持ってきても核爆弾並の威力を発揮する所なんですよ。まあユニゾンの曲は全部そうなんですけれども。1曲目にもってきたら一気に会場の空気を盛り上げるし、中盤にやるとライブに慣れてきた観客の心を一瞬でぶち上げるし、今回みたいにアンコールでやっても最高。非の打ち所がない。そして、このレベルの曲がまだまだあるのがユニゾンの恐ろしいところ。マジでなんなんだこのバンド。兵器工場かなんかか?

 

 間奏のバチボコかっこいいギターソロに見とれ、落ちサビからのラスサビで今日1番テンションが上がった。これですよ。桜のあとと言ったら落ちサビからのラスサビ。桜が桜がで盛り上がらない人は存在せず、全身の血が沸き立ち衝動が抑えきれなくなる。要するに全員ゴリラになる。今なら素手で林檎潰せる。同時に2個ぐらい。

 

 

 アウトロを今日のライブを惜しむように長く鳴らし、演奏が終わる。その長さからこれで最後の曲なんだろうと察した。

 

斎「札幌最高でしたバイバイ!」

 

と一言叫び、一礼したのちに袖口にはけていく斎藤さん。観客席へのお手振りも忘れない。田淵はスタッフさんにベースを投げつけ、入ってきた時みたいにひょこひょこ出て行く。いつも通りで大好きだ。貴雄はドラムセットからゆっくりと立ち上がり、優雅に手を振りながら歩いて行った。三者三様にはけていく彼らを拍手と歓声が見送った。本当にありがとうUNISON SQUARE GARDEN。素晴らしいライブだった。遠征した甲斐があったと心から思える。

 

 これは本当に不思議なのだが、ライブが終わったその瞬間が1番ライブに行きたくなる。それが良いライブであればあるほど、この衝動は強くなる。これだからライブはやめられない。一度行ったらその魅力の虜になってしまう。そして今私は猛烈にライブに行きたい。今すぐにでも行きたい。フジファブリックのワンマンに行きたいし、UNISON SQUARE GARDENのワンマンも行きたい。そして何より、フジファブリックUNISON SQUARE GARDENの対バンに行きたい。大好きなバンド同士の対バンは地球を救えるほどの幸福感に満ち溢れていることを今日をもって知ってしまった。だから、年一いや月一でやってくれませんかねSMAさん?

 

 それにしても今日のセットリストはヤバかった。対バンで花屋の娘するか普通。ユニゾンも何しれっと夜揺らしてるんだよなどと考えながら、外へ。この人に揉まれて外に押し出される感じ久しぶりである。正直ライブ中よりここが1番危ない。

 

 入場した時はまだ陽が見えていたが、今はもうすっかり暗くなっていた。慌てて時間を確認する。まずい。グズグズしていると帰りの飛行機に間に合わない。明日も普通に学校があるという現実が一気に襲いかかってきた。石油王の愛人という肩書きは無断欠席の免罪符にはなり得ない。万札を掲げてなんとかタクシーを捕まえ、空港まで飛ばしてもらった。そしてギリギリ間に合い、席に着いた。石油王の愛人だからといって片道すらもプライベートジェットなど用意してもらえないのだ。現実は厳しい。

 

 外を眺めながら、改めて今日を思い返す。とんでもない1日だった。大好きなバンド同士の対バンが見れたし、北海道観光もできたし。改めて強く思ったのは、ライブは生きるために必要だ。ライブ会場の熱気、歓声、そして何よりバンドが奏でる音楽。これらからしか得られない何かが絶対にある。そしてそれが私を生かしている。コロナ禍で忘れていた感情を思い出すことができた。私にはライブが必要だ。多分、ライブが必要な人は私以外にもたくさんいると思う。だから全てのロックバンドたちには止まってほしくない。ライブができる環境は私たちがなんとかして存続させるから、ライブを生み出す当事者であるロックバンドも生きててほしい。そう強く願った。自分勝手な願いだけれど。次のライブはいつになるだろうか。とりあえずチケットを取るところから始めないと。そんな事を考えていると、眠気が襲ってきた。あっそういえば、スープカレー食べ損ねたな・・・今度来たら食べないと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めると目に飛び込んできたのは見慣れた天井。自宅の布団の上だった。何が起きたのか。まあ簡潔に言うとだな、全部ただの夢でした!!!!!!!!!!!!!!

なんだこのクソ虚しい夢オチ記事!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!コロナは早く滅しろ馬鹿野郎!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

最後に妄想ライブセットリスト載せて終わりじゃ!!!!!!!!

 

UNISON SQUARE GARDENーfun time HOLIDAY 8(w/フジファブリック) セットリスト

 

フジファブリック

1.STAR 

2.Sugar

3.LIFE

4.楽園

5.若者のすべて

6.花屋の娘

7.星降る夜になったら

8.光あれ

 

 

UNISON SQUARE GARDEN

1.アトラクションがはじまる(they call it "NO.6")

2.シュガーソングとビターステップ

3.スローカーヴは打てない(that made me crazy)

4.フルカラープログラム

5.メカトル時空探検隊

6.オーケストラを観にいこう

7.夜が揺れている

8.徹頭徹尾夜な夜なドライブ

9.場違いハミングバード

10.Phantom Joke

en

1.サンポサキマイライフ

2.桜のあと(all quartets lead to the?)

 

 

以上、解散!!!!!!!!!!!!

この時代のチャンピオンたちへ Kis-My-Ft210周年に寄せて

 本日8月10日は何の日?そう、Kis-My-Ft2のデビュー日である!調べたら道の日とか宿の日とか色々出てきたが今日ばかりは、2021年の8月10日だけは彼らに譲っていただきたい。なぜなら、彼らは今年でデビュー10周年なのである。本当にめでたい。おめでとうございます私は彼らのファンになって半年も経っていないほどの新規なのだが、彼らの歩んできた道のりを知ると涙が溢れるし、それと同時にここまで誰一人欠けることなく歩んできてくれたことへの感謝が溢れ出てくる。そもそも推しは生きてるだけで尊いもんな・・・。

 

 毎年デビュー日というのは大切なものだと思うが、今年はデビュー10周年である。いいですか10周年ですよ!?並大抵の努力では重ねられない年月ですよ!?私は今年で20歳になるが、10年も続けられたことなど一つも無い。本当にすごいし、尊敬する。書き表せるかわからないほどの感情が湧き上がっている。この気持ちを少しでも形に残したくて、こうして筆を取った次第だ。

 

 というわけで、彼らの10周年に寄せて私のKis-My-Ft2の好きなところを綴っていこうと思う。10周年にかけて10個書きます!!!!小学生でも思い付きますねこんなこと!!!!正直、個数制限でもかけないと無限に書いちゃいそうなのでね。それでは、Everybody,Go!

 

 

1.顔が良い

 いやもう何を当たり前の事をって感じですが、顔が良いんですよ・・・。アイドルだから当たり前なんですけど・・・。特に今年のビジュアルの仕上がり具合は半端ない。全員が完成されきっている。北山君は今年36歳を迎えるとは思えないほど若々しいし、千ちゃんは目がこぼれ落ちそうなほど大きいし、宮田君はぱっちり二重&まつげがバッサバサだし、横尾さんは眼鏡が似合いすぎて眼鏡アイドルという唯一無二のポジションを得てるし、ガヤさんはキリッとした眉毛と猫みたいな目が魅力的だし、玉ちゃんは透き通りそうなほど肌が白くて目もくりくりだし、二かちゃんは目元の泣きぼくろと動物みたいに上がってる口角がとても印象的。とにかく全員顔が良いんだよ!!!!!!!!10周年に向けて自分たちのビジュアルも仕上げてきたとかさすがすぎるぜKis-My-Ft2・・・。とりあえず公式サイトのリンク貼るので今すぐ見てきてください。全員完璧に仕上がっているので。全体アー写もめちゃくちゃ良いんですけど、個人アー写も全員バチボコに顔良いので音速で見てきてください。

avex.jp

これ10年前のアー写を再現してるんですけど、オタク心をくすぐってきますよね・・・。こんなことできるのもメンバーが誰一人として欠けてないからなんだよ・・・。本当にすごいぞKis-My-Ft2・・・。あとこれは前々から言いたかったことなんですが、舞祭組は不細工じゃないからな!?!?!?!?!全員顔が良いから!!!!!!!!!!!!よく見てから言えよ!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

2.声が良い 

 Kis-My-Ft2は顔も良ければ声も良いグループなんですよ。最強だね。これは単純な歌のうまさだけじゃなくて、全員の声の相性が良いという意味も含んでいる。わざわざ言わずもともみんな歌唱力高いんですけどね。横尾さんも最近うまくなってきてるし(当社比)。これは以前書いた記事でも言ったことだが、キスマイは全員の声が合わさったときが1番綺麗な音になる。普通は音が増えるほどまとまりづらくなるのに。しかも、キスマイはメンバーの声質がかなり違うので、下手に混ぜるとお互い潰し合う状況になりかねないのに、全員で歌っているときが1番綺麗になるのだ。これは本当に不思議だしすごいことだと思っている。やっぱKis-My-Ft2すげえな・・・。

 

 全員歌唱パートも魅力的だが、個人の声質を活かした歌割りも素晴らしいのである。各人の声質をざっくり紹介すると北山君、千ちゃん、宮田君、玉ちゃんが王道の甘いアイドル歌声(?)。北山君の歌声はダントツで甘い。甘い歌声って未だにどんな感じか分からないが多分こういう歌声が甘いってやつなんだなと思う。THEアイドルの声って感じ。千ちゃんは声の伸びがすごく良い。突き抜けていく。私はキスマイの中で1番歌がうまいのは千ちゃんだと思う。宮田君もすっっっごく声が甘いのだが、彼のすごいところは曲によって声質を変えられるところ。王道アイドルソングではとびっきりのアイドル声で、ロック色が強い曲では低音でエッジの効いた声で歌う。本当に器用な人。玉ちゃんは少し鼻にかかった歌声で非常に印象に残る。横尾さんはファルセッター(ファルセット専門の人、ガヤさんが横尾さんのためだけに作った)を任されるほど歌声は高め、舌足らずな感じも相まって少年ぽさがある。最近はラップもやっている。ガヤさんはすごく艶のある色っぽい歌声で、曲の魅力を高めてくれる。一度聴いたらぐっとその曲に引き込まれていく。そして、ニカちゃん。キスマイの歌声を唯一無二のものにしているのはニカちゃんだと私は思っている。ジャニーズ離れした低音のハスキーボイス。キスマイを聴き始めた頃どれが誰の声か全く分からなかったが、ニカちゃんの声だけはいつでも聞き分けられた。ロックバンド向きの声だと思うので、a flood of circle とかカバーして欲しい(願望)。曲中ではそのハスキーボイスを活かしてラップパートをよく担当している。

 

 繰り返しになるが、ざっとあげただけでもこれほど声質が違う7人がそろっているのに、1つの歌声としてまとまるのがKis-My-Ft2のすごいところ。なんでこんなにバラバラなのにまとまるんですか??どうなってるんですか?Kis-My-Ft2本当に底が知れないぜ。あと単純に全員歌唱力が高い(2回目)。

 

 

3.良い曲が多い

 Kis-My-Ft2めちゃくちゃ良い曲多いんですよ・・・。アイドルって♪君が好きだ~一生君を守る~的なことしか歌わないとかつての私は思っておりました。私はそういう歌が好きではないので、アイドルソングもよく思っていなかったわけです。この私の固定観念をぶち壊してくれたのがKis-My-Ft2でした・・・。とにかくこちらの曲をご覧ください。


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この曲がほんっっっっとうにかっこいい。以前までアイドルソングシンセサイザーとかのポップな音に甘ったるい歌詞(概念)がのっかってるというイメージが強かったのだが、この曲はそんなイメージをすべてぶち壊してくれた。イントロから戦闘能力高めのバキバキ電子音がなだれ込んでくるし、歌詞も恋愛がどうのこうのみたいな甘ったるいもんじゃない。初めてこの曲を聴いたときに私の中のアイドル像が完全に壊され、こんな素晴らしい曲を歌っている彼らをもっと知りたくなった。調べるうちに良い曲ばっかりということに気づき、気づいたら沼の底にいた次第である。ちなみに私はキスマイの曲の中ではFlamingoが1番好きです。あんなにラブソング好きではないとか言ってたくせに1番好きな曲がゴリゴリのラブソングなのウけるな。

 

  そして本日から、Kis-My-Ft2の一部の楽曲がLINE MUSICで配信されるので気になった方は是非聴いてください!!!!!!期間限定のためお聴き逃しなく!!!!!!

 

4.唯一無二のローラーパフォーマンス

 Kis-My-Ft2の最大の特徴であり最強の武器であるローラーパフォーマンス。ジャニーズのことをよく知らない友達にもローラー履いてる人たちだよというとすぐに伝わるほど、キスマイ=ローラースケートというイメージは浸透している。デビュー組でローラーパフォーマンスを売りにしてるのキスマイだけだしね。

 

 この超アピールポイントであるローラーパフォーマンスのすごいところは、ただ滑っているだけでかっこいいところにあると私は思う。ローラーを履いて複雑なフォーメーションを組んだり、機敏に踊ったりするのももちろんかっこいいのだが、ただただ花道やスタジオの廊下を滑っているだけでめちゃくちゃ絵になるのだ。なんでただ滑ってるだけで7人ともあんなにかっこいいんですかね・・・。

 しかも、ローラーパフォーマンスは一石二鳥なのである。Everybody go!などの普段ローラーパフォーマンスをしている曲にも普通のダンスバージョンもあるのだ。その逆も然り。つまり、1曲で2種類の振り付けが見れるのである。Kis-My-Ft2お得すぎる。

 

 

5.面白い

 Kis-My-Ft2はアイドルだがとんでもなく面白いのである。さすがバラエティの申し子Kis-My-Ft2・・・。芸人さんに徹底的に鍛えられただけあって全員のバラエティスキルがあり得ないぐらい高い。キスマイどきどきーん!の罰ゲーム審議会とかもう最高に輝いてるよな。キスどき君どうして終わってしまったの・・・。アイドルらしくキラキラしているキスマイも好きだが、バラエティ番組でめちゃくちゃにされているキスマイの方も大好き。というか、バラエティでもみくちゃにされてる時と歌番組でキラッキラに輝いてるときのギャップで沼落ちした。あんなに面白くてかっこいいとかもう無敵じゃん。先週放送されたしゃべくり007もとんでもなく面白かったな・・・。

 

 これだけ面白いのは全員のバラエティスキルがカンストしているのも要因の1つだが、それぞれの役割がはっきりしていることも大きいと思っている。MCに回ることが多く、メンバーに的確なツッコミを入れてくれる北山君。人類には早すぎる”千賀ワールド”を展開し天然ボケをしたおす千ちゃん。ボケもツッコミも果てはMCまでもこなす頭の回転が速い宮田君。ツッコミのように見えて実はボケだしむしろ率先してボケ倒している横尾さん。無口でクールキャラと思われがちだが、実はメンバー1お茶目だし他のメンバーのボケにも的確なツッコミを入れ、場をさらに面白くしてくれるガヤさん。自らボケることは少ないが、根が天然のため予測できない面白さをみせてくれる玉ちゃん。そして、メンバー1バラエティが大好きなニカちゃん。キスどきの企画ではコントをやりたいと言い、自ら台本まで書いてきたニカちゃん。そのおかげか、最近ではコント番組にもよばれている。もちろん、ボケもツッコミもできる。このように、全員の役割、立ち回りがしっかりしているからこそKis-My-Ft2の面白さは他の追随を許さないものになっているのではないかと思うのだ。まじで超絶面白集団だからなKis-My-Ft2・・・。全人類キスマイどきどきーん!見て・・・。彼らの面白さが凝縮されているので・・・。

 

 

6.個性が強い

 突然だがこのMVを見て欲しい。


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これは今年の5月に行われた「Kis-My-Ft2 LIVE TOUR HOME」に向けて作成されたソロMV。ここに貼ったのは北山君のやつだが、ちゃんと7人分ある。この動画の概要欄に再生リスト載ってたので全員分見て(他力本願)。

 

 このソロMV、思わず笑ってしまうほど七者七様なのだ。動画の概要欄にも、「7人7色の個性が爆発したソロMVを公開!」って書いてるもんな。これが個性が爆発どころではないんだよな。曲調も7人とも全然違うし、テーマも違う。ボカロPとタッグを組んだり、うたプリとコラボしたり、自分で作詞作曲したりと、とにかく全員バラバラ。しかも、わざと全員違うようにしたのではなく勝手にそうなったようなので驚き(「Kis-My-Ft2×dtv ライブHOMEを10倍楽しむ特番」より)。何の打ち合わせもなしにあそこまで方向性の違うMV7本も作れるものなのか?バンドなら方向性違いすぎて解散してるぞ。各メンバーの個性が強すぎるんよ。

 

 最近では、グループでの活躍だけでなくメンバー個人での活躍もめざましい。北山君、千ちゃん、横尾さんは俳句アイドルとしてブイブイ言わせてるし、宮田君がオタク界隈に広く受け入れられているのは周知の事実。ニカちゃんは最近コント番組に結構よばれているし、玉ちゃん、ガヤさんはドラマで活躍している。他にも番組MCに抜擢されたり、料理が得意ということからオレンジページで編集長と対談したりもしている。横尾さんははやくレシピ本出して。バンドマンなのにレシピ本出してる人居るからアイドルが出しても大丈夫だよ多分。

 

 

7.全員揃うと最強

 先ほど7人の個性が爆発していると言ったが、7人集まるとなぜかしっかりとまとまるのである。あんなに方向性めちゃくちゃなのに。やっぱKis-My-Ft2は7人で1つなんだな!!!!!!!!!歌声の相性も良いし、踊りも揃えてくる。トークでのそれぞれの役割を把握している。個々で見るとバラバラで寄せ集めのように見えるが、7人揃うとそれぞれの歯車がしっかりと噛み合わさるのである。あとKis-My-Ft2は寄せ集めではない(半ギレ)。自分で言っといて何言ってんだ?

 

 言語化するのは非常に難しいのだが、7人揃うと特有のオーラ?空気感?みたいなものが醸し出されて、見ている側が非常に安心するのである。私だけ?Kis-My-Ft2のオーラとでも言うのか分からないが、7人揃っているところを見るとこの7人で良かったと心の底から思えるのである。1人も替えが効かないのだ。

 

 先ほども書いたが最近のキスマイは個々の活躍がめざましい。しかし、この個々の活躍は母体のKis-My-Ft2としてのまとまりが良いからこそ為しえる物だと私は思う。安心して帰れる場所があるから、自由に飛び立てるのではないだろうか。さらにキスマイのすごいところは、個人の仕事で得た物を常にグループでの活動で活かそうと考えているところである。全員この個人の仕事を絶対グループのものにしてやるという強い気概を感じる。そういうところめちゃくちゃ好き。全員が常にグループのことを考えているから、一見バラバラに思える7人でも揃うと最強の7人になるんだろうな。Kis-My-Ft2めちゃくちゃすごいじゃん・・・。えっ大好き・・・。

 

 

8.瞳の奥がギラついている

 先ほども少し書いたのだが、キスマイの面々からは「ただでは終わらないぞ」「絶対爪痕を残してやる」といった強い精神を感じる。アイドルらしくない泥臭くギラついたオーラをひしひしと感じる。歌番組の時とか特に。デビュー前は今よりもオラオラ路線で売り出していたようだし当然と言えば当然かも知れない。昨日まで公開されていたWEB FESにもわざわざオラオラ編というのがあったぐらいだしな・・・。冷静に考えたら何だよオラオラ編って。アイドルの動画のタイトルとして大丈夫なのかそれ。まあ、私はそういうの大好きですけどね!!!!!!!!!

 

 今ではすっかり落ち着いて大人しくなったように見えるが、それは見た目だけの話だろう。あなたは今年の2月ぐらいのCDTVで「本家俺たち」と言い放った北山君とそれにうなずいている他のメンバーの顔を見たことがありますか?完全にいくつもの戦場を戦い抜いてきた歴戦の戦士の顔してましたよ。全員。圧倒的な強さで敵をなぎ倒してきたタイプじゃなくて、何度も何度も斬られて地面を這いずり回りながら泥水すすって生き抜いてきた戦士の顔でしたよ。穏やかな宮田君やふわふわしてる玉ちゃんですらその顔してましたからね。ここに至るまでに沢山の修羅場を駆け抜けてきたんだろうなKis-My-Ft2・・・。だから、いつまでたっても瞳の奥のギラつきようは消えないんだろうな・・・。アイドルという立場にあぐらをかかず、常に野心を抱いているグループは大好きです。

 

 

9.メンバー仲が良い

 ここまでの内容で察した人もいると思うのだが、Kis-My-Ft2かなりメンバー仲が良い。本人たちはそんなに仲良くないですけど?みたいなスタンスとってるけど、実はめちゃくちゃ仲良いでしょあなたたち。ファンの目線でしか見れないが、かなり仲が良いように見える。でも、それは仲良しこよしで緩くやっていこうというぬるいものではなく、互いに切磋琢磨していこうとする強いもののように感じる。友達というより戦友のような印象。デビュー当時からこの7人で駆け抜けてきたんだから当然と言えば当然である。Kis-My-Ft2は戦士の集まりだった・・・?

 戦友のような感じだと言ったが、常にそんな臨戦態勢というわけではなく、普段は部活みたいな空気感である。すっごいわちゃわちゃしてる。根底の部分に戦友がある感じ。FC動画やキスマイどきどきーん!とかもう完全に部活のノリだし、雑誌のインタビューのわちゃわちゃ感もすごい。アイドルがわちゃわちゃしてる姿からしか摂取できない栄養が存在するのでもっとわちゃわちゃしてください。

 

 もう1つキスマイの仲の良さを象徴するものがある。コンビである。キスマイには宮玉を筆頭に、わたたい、ニカ千、風呂サーなど仲の良いコンビが多数ある。コンビという名称が合っているのか定かではないが、今回はコンビということにしておく。キスどき君の企画でも「ベストコンビ決定戦」って言ってたしね!!!!!!!!一部仲が良いとかいうレベルじゃない人達もいるが、彼らについてはいずれ別の記事で書きます。このコンビのすごいところは、誰と組んでもそれなりに仲の良さが現れてくるところ。先ほどもあげた「ベストコンビ決定戦」では、くじ引きで相手を決めたのだがどのコンビもチームワークが良かったし、わちゃわちゃ感も出ていた。最高。ランダムに決められた相手でもこんなに仲良く見えるということはつまり、全員の仲が良いということだろう。なんだよ結局めちゃくちゃ仲良しじゃないか!!!!!!!!おい!!!!!あとキスマイどきどきーん!の「ベストコンビ決定戦」はオタクの性癖に刺さりまくる最高企画だから全人類見てくれよな!

 

 

10.ファン想い

 つらつらと書き綴ってきたキスマイの好きなところもこれで最後。最後だから、1番好きなところを持ってきた。彼らはとってもファン想いなのだ。

 具体的に言うと、ジャニーズweb(ジャニーズ所属のタレントさんが日記とかを載せてくれるサイト。月額300円)では、ほぼ全員が毎日更新してくれているし、FCでは10周年に向けて10日前から毎日動画をあげてくれている。去年も10周年突入ということで1時間ごとに動画をあげてくれていたようである。今年はともかく去年もやってくれるなんて大盤振る舞いすぎるんだよな・・・。この前のキスマイANNでもメンバーそれぞれから、メンバー自身の言葉でファンに向けて素晴らしいメッセージを送ってくれた。10周年を記念した雑誌のインタビューでもファンへの想いをたくさん伝えてくれている。多すぎて全ては追えていないのだが、彼らのファンに対する真摯な想いは十分すぎるぐらいに伝わってくる。他にも、キスマイどきどきーん!では10周年を記念して特番を2回も配信してくれる。この勢いで定期配信も復活してくれ。

 今年は特別な1年のため普段よりも多めにファンへの感謝を伝えてくれているのだろうと思うのだが、普段からも彼らはファンへの感謝を伝えてくれている。映像でしか見たことがないけれどファンサービスもいっぱいしてくれるし、コロナ禍でも1人でも多くの人がライブを楽しめるようにとオンラインライブを開催してくれた。ファンの考えたライブの演出を実際に取り入れてくれた。とにかく常日頃からファンへ想いを届けてくれている。しっかりと口に出して、紙面や動画を通してファンへ伝えてくれているところが何よりも大好きだ。ファンがついてきてくれることを当然のことではないと思っているその姿勢が大好きなのだ。そして、その姿勢でここまでやってきたからファンにもスタッフさんにも愛されるグループになっている。やっぱりKis-My-Ft2は最高のアイドルだ。

 

 

 

 

 キスマイの好きなところ10個書き終わったわけだが、どうしよう。書き起こすことによってますます好きになってしまった。今までもこれからもずっと応援させて欲しいと改めて強く思った。これはどのアイドルひいてはどの界隈のグループにも言えることだが、グループが頑張るから応援してくれる人が生まれる。応援してくれる人がいるからグループは活動を続けられる。両者がいないと成立しないのだ。彼らが10年も歩んでこれたのは彼ら自身ががむしゃらに頑張ってきたからでもあるし、ファンの方たちがずっと応援し続けてくれていたからでもある。今まで応援し続けてくださったファンの方々本当にありがとうございます。あなた方のおかげで、私はKis-My-Ft2に出会うことができました。これからは微力ながら私も手伝わせていただきます(?)。

 しかし、こういうものはどちらかが頑張りすぎても良くないし、かといって手を抜きすぎてもダメになる。ちょうど良い距離感であり続けることが大切なのではないかと思うのだ。この考えは私の大好きなバンドの受け売りでしかないけど。両方がちょうど良い距離感で頑張ってもどうしようもないこともあるのだが・・・。だから、これからもちょうど良い距離感を大切にしながら応援していければなと思う。

 改めて、Kis-My-Ft2デビュー10周年おめでとうございます。そして、ここまで歩んできた彼らと彼らを支えてくれた全ての人に感謝を。これからも私なりにちょうど良い距離感でずっと応援し続けます。この時代のチャンピオンは、間違いなくKis-My-Ft2だ!

 

徒然ディスクレビュー ~DUGOUT ACCIDENT編~

 すっかり春らしい天気になってきた今日この頃。ようやく季節が人間の生態に合わせてきてくれたというのに満足に外に出ることもできない。まあ人によっては春なんて、くしゃみ咳鼻水涙が止まらない生き地獄が生み出される最悪の季節でもある。幸いなことに私はまだ花粉症ではないので生き地獄を味わったことはないです。すまんな。アレルギー性鼻炎で万年花粉症みたいな症状でてるから許して。

 先ほども言ったとおり、外出することがはばかられるこのご時世。最近の私の生活は、食って寝てゲームしてツイッターを見るだけである。間違いなく人類の最底辺にいる。こんな生活でも一日はあっという間に過ぎていくよ。怖いね。

 お気づきの方もいると思いますが、正直に言います。ネタが尽きました。速い。速すぎる。そもそもドドドドド底辺生活にネタになるような出来事が起きるはずがないんだよなあ。2ヶ月に1回更新を目指しているのにそんなんで大丈夫なのか。いろいろと不安になったが、ネタがないのは事実。仕方ないので、ブログ始める前から温めてた企画やります。その名も、徒然ディスクレビュー。内容は、自分が好きな音楽について主観を交えまくりながらただひたすら書いていくだけ。好きな音楽というカテゴリだけでは広すぎるので、シングル、アルバム、EP等の作品ごとに1曲ずつ書いていく。発売日順ではなくその時書きたいなと思うものをつらつら書いていくつもりである。ただのディスクレビューに名前を付けることによってなんとか独自性を保とうとしているんですよ。つら。このブログは自己満足の塊なのでなんでも許されます。はい。

 

 というわけで、今回徒然と書いていく作品はこちら。

DUGUOUT ACCIDENT/UNISON SQUARE GARDEN

 

 ロックバンドUNISONSQUAREGARDENが2015年に発売した10周年記念ベストアルバムである。このアルバムの最大の特徴は、ベストアルバムと銘打っているのにシングル曲が一切収録されていないことである。普通ベストアルバムといったらシングル曲を収録するものなんじゃないのか。さすがひねくれロックバンド。しかし、シングル曲が一切収録されていないからといって侮るなかれ。ライブの定番曲やインディーズ時代の曲を再レコーディングしたもの、このアルバムにしか収録されていない曲等が16曲も入っている。シングルとこのアルバムさえ聴いていればユニゾンのライブは楽しめるのではないかと個人的は思っているくらいの名盤である。限定盤にはこのCDに加え、ライブDVDが2枚とスペシャルブックレットがついてくる。DVDにはシュガーソングとビターステップオリオンをなぞる等のMVも収録されているし、スペシャルブックレットはこれまでのユニゾンを振り返るインタビュー記事が掲載されていたりと超豪華仕様である。ユニゾンのことを深く知りたい人には全力で限定盤をおすすめする。これで1万円切るのはどう考えても頭おかしい。1万円切ると言ってもちょっと高いな・・・と思う方には通常盤Aがおすすめ。CDとDVDが1枚ついてきて5000円程度である。純粋に音源だけを聴きたいという方には通常盤Bがおすすめ。販売サイトによっては3000円切るのでお求めやすい。書いていて思ったが、全形態価格設定これであってる?利益あった?なんかトイズの回し者みたいになっちゃったが何の関係もないです。

 ユニゾンの狂った価格設定議論はここまでにして、そろそろ本題に移りたいと思う。前述の通りとにかく主観を交えまくりながらつらつらと1曲ずつレビューしていく。ちなみに私は音楽ド素人なので、コードがどうのこうのとか演奏方法がどうだこうだという話はできない。テンポが速い遅いぐらいの話しかできないし、この後コードが~音階が~という話をするとしたら完全に偏見で語ります。ご了承ください。

それでは、いってみよ~!!
 

 1.アンドロメダ

 アルバムの1曲目を飾るこの曲。インディーズ時代からある楽曲だが音源化されたのはこれが初めてだそう。フルオーケストラ構成となっており、非常に壮大。曲の最後に向かうにつれて、斉藤さんの歌声、バックのオーケストラ演奏が大きくなっていき、より曲の壮大さが増していく。特にラスサビの盛り上がり方はすごい。この曲を聴いていると、自分が宇宙の真ん中に放り出されて、宇宙をたゆたっている感覚になる。聴いてとても気持ちよくなってくる1曲。ヒーリング効果あるんじゃないの?ユニゾンの曲の中でオーケストラ演奏が使われている曲は他に、春が来てぼくらやオーケストラを観にいこうなどがあるが、あちらは聴いていて楽しくなってくる。弦楽器の華やかな音が気分を盛り立ててくれる。同じ楽器を使っているのにこうも印象が変わるとはリズムや音階って大切なんですね。

 歌詞に注目してみると、この曲は星との会話で展開していく。その会話の内容が圧倒的にUNISONSQUAREGARDEN。もう完全に田淵智也が考えました感がすごい。この世にはそれこそ星の数ほど曲があって、星との会話を題材とした曲もきっとたくさんあると思うのだけれど、こんな風に星に語りかけている曲他に無いのではないだろうか。星に祈りや願いを捧げている曲は多い印象があるけれど、星と人間が対等に会話している曲ってあまり見ない気がする。しかも、この星はただ光っているだけでも偉そうにするわけでもなく、「遅すぎる事はないと思うんだよ」と言ってくれるのだ。これ田淵の歌詞の中ではかなり優しい言葉なのでは?実際何を始めるにしても遅すぎるということはないもの。それを歌にして伝えてくれるって田淵智也相当優しいのでは?差し出された手を噛み千切ってるバンドと同一とは思えないな。

 私はこの曲の歌詞が全体的に好きなのだけれど、特に好きな部分がある。

「許せない、が何十回続いたとしても 降る世界が半狂乱で立ち尽くしても その物語は終わらないだろう」

ここ。曲のラスサビにあたる部分で、演奏も歌声も一番盛り上がっている部分である。私はこれを田淵からの励ましの言葉だと受け取っている。だって、許せないが何十回続いてて世界が半狂乱に陥ってる状況なのに、物語は終わらないって信じてくれてるんだぜ?これは私の解釈だが、物語というのは聴き手の人生のことであろう。めちゃくちゃ安直な解釈だけど。相当大変な状況に陥ってるにもかかわらず、聴き手は物語を終わらせない、人生を諦めないと信じてくれている。それがこの曲で1番伝えたかったことなのではないかと思う。まあ歌詞に意味なんてないらしいですけどね。

 限定盤のみについてくるDVDには、この曲が演奏されたライブ映像が収められている。オーケストラ音源と同期した演奏ではなく、斉藤さんの弾き語りバージョンで。弾き語りの方はかっこよさが増していてとても良いので、ぜひそちらも聴いてほしい。

 

2.フルカラープログラム(D.A style)


UNISON SQUARE GARDEN「フルカラープログラム」LIVE MUSIC VIDEO

 アンドロメダの余韻を打ち破るように響いてくるドラムの軽快なリズム。でました。フルカラープログラム。ユニゾンの原点にして頂点です(諸説あり)。流れ出した瞬間から感情が高ぶってしまう。うわー!フルカラープログラムだ!!!って脳内で叫んでしまうのは叫んでしまうのは私だけですか?私がまだシュガーソングとビターステップオリオンをなぞるしか知らなかった頃、この曲を聴いてバンドって良いかもしれないと思ったのを強く覚えている。だから、私にとってこの曲は相当思い入れのある曲なのだ。これを聴いていなかったらバンドにはまっていなかったかも知れないので、まさに運命を変えた1曲。叫んでしまうのも仕方ないね。

 曲調は王道のロックバンドサウンドで、キラキラしていて爽やか。しかし、どこか切なさを感じる。なんかこう夕焼けの空の下を涼しい風が吹き抜けている秋の日みたいな。ラスサビ前の「花畑 上の空 白昼夢の存在を 解き明かすまでは眠れません」のところで鳴っている情感たっぷりなギターの音色や曲が終わるのを惜しむようにギリギリまで響いているドラムの音のせいだろうか。しかし、歌詞を見ると結構前向きでユニゾンらしいフレーズがたくさんある。特に、「モノクロでは説明できない完全無欠のロックンロールを」はまさにUNISONSQUAREGARDENを表しているフレーズだろう。ユニゾンがロックンロールを意識して大切にしていることが伝わってくる。そうじゃないと歌詞に完全無欠とか書けなくない?相当な自信と覚悟が必要じゃない?完全無欠のロックンロールって。バンドの決意すらも感じる。好き。

 限定盤付属のブックレットにて、貴雄が「ユニゾンを象徴する曲」と言っていたが全くもって同意見である。そのせいか周年ライブやライブのラスト1曲等の大事なところで歌われるイメージが強い。近年はラスサビの「涙キラキラ西の空に光る モノクロでは説明できない完全無欠のロックンロールを」をの部分をアカペラで歌うことが増えていて、上に貼った動画でもアカペラで歌っている。このアカペラ部分が良い。斎藤宏介の歌のうまさが際立つ。伸びが良くて最高。アカペラも素晴らしいのだが、アカペラ終わりの盛り上がりにも注目だ。斎藤さんの歌声だけが響いていた空間をギター、ベース、ドラムの音が一気に彩り、文字通りフルカラーになる。タイトル回収のためのアカペラ演出なのか?えっ天才?UNISONSQUAREGARDEN天才集団?このアカペラ終わりが盛り上がるのも、アカペラ部分で伸びやかに歌っているからこそ。緩急がついていてより盛り上がれる。やっぱり天才?

 タイトルにD.A styleとあるように、この曲は再レコーディングされている。初収録は『流星前夜』。インディーズ時代にリリースされたアルバムだが、一昨年ぐらいに再発売されたので比較的入手しやすいだろう。音源だけならTSUTAYAとかで借りられる。サブスクはあるか分かりませんすまん。『流星前夜』の方の音源と比べると、こちらは全体のバランスが良くなって聴きやすくなったように感じる。あとギターのキラキラ感が増した。しかし、なんといっても前の方と大きく違うのは、斎藤さんの歌声だろう。歌声がもう全然違う。インディーズ時代~JET.COあたりまで斎藤さんの歌声は磨き抜かれたナイフみたいで、声に鋭さがあった。それはそれでめちゃくちゃ好きなんだけど。さよなら第九惑星とか歌声と合っててめちゃくちゃ好き。しかし、最近の斎藤さんの歌声は丸くなって優しくなったように感じるのだ。以前の鋭さが完全に失われたわけではないが、聴きなじみは格段に増したように思える。まあどっちの歌声も大好きですけども。

 

3.徹頭徹尾夜な夜なドライブ


UNISON SQUARE GARDEN「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」ショートver.

 ワタシドコ!!ココハダレ!!ダアレ!!!フルカラープログラムでロックバンドの愚直なかっこよさを再認識した後に流れ込んでくるのは、サイケデリックシンセサイザー。完全無欠のロックンロールはどうした。MVもすっごいビカビカしてるし斎藤宏介がなかなか治安の悪い柄シャツ着てるしどうしたんだよ。背景の派手さで酔いそう。あの後ろのタイムふろしきの柄みたいな時計何?イントロの主張の強いシンセサイザーの他にもホイッスルやよく分からない合いの手みたいなのも入っている。基本的に3人の音以外を入れた曲を作らないユニゾンの中では異質とも言える1曲。うちのおかん(ユニゾン嫌い)が唯一この曲だけは好きと言っているので、よほどユニゾンらしくないのだろう。知らんけど。個人的には真夜中のガラガラの高速をぶっ飛ばしているときにかけたい車内BGMランキング1位。免許持ってないけどな!!!!!

 しかし、ユニゾンのロックらしさが完全に失われたわけではない。シンセサイザーの後ろで暴れ回っているベースラインは最高にかっこいいし、バッチバチのギターソロもある。ユニゾン3人以外の音が目立ちがちだけれど、しっかりとしたバンドサウンドを奏でているのだ。サビのあたりなんか特に。

 ユニゾンのロックらしさと真新しさを多分に含んだこの曲はとにかくキャッチー。先ほどあげたシンセサイザーの音色もすごく耳に残るし、思わず飛び跳ねてしまうほどリズムが良い。特にサビで「ワタシドコ ココハダレ ダアレ」というフレーズが何度も繰り返されて脳内にすり込まれるのが大きい。この歌詞がキャッチーさ&ユニゾンらしさを加速させている。一般的には「ここはどこ わたしはだれ」と言うところを逆にして、違和感を生み出している結果耳に残るし、ユニゾンだなーと思ってしまう。なんで逆にしたのかは全く分からないけど。サビ以外も記憶に残りやすい部分が多い。2番のサビ前では怒濤の昔はやったギャグ4連発なんか結構インパクト強いのではないだろうか。曲調と歌詞両方が工夫を凝らされているこの曲。このアルバムのリード曲であることも納得である。

 この曲は今回収録されるまでライブでしか演奏されていない結構レアな曲だった。ライブに行った人だけの特典みたいな。そのため、アルバム収録が決定したときは多くの人が喜んだことだろう。ブックレットにて斎藤さんが「ライブに作ってもらった曲」とコメントしていたし、ライブで演奏されるたびに洗練されていったのだろう。私は今の完成された夜な夜なドライブ(良い略し方が分からん)しか知らないが、夜な夜なドライブが成長していく過程を味わいたかった・・・。「ライブに作ってもらった曲」とあるように、演奏されるとあり得ないぐらい盛り上がる。田淵も足上げまくりよ。このライブで盛り上がること必至のキラーチューン徹頭徹尾夜な夜なドライブはDUGOUT ACCIDENTにしか収録されてませんからね!!!!もう一度言いますよ!徹頭徹尾夜な夜なドライブはDUGOUT ACCIDENTにしか収録されてませんからね!!!!!(大声)

 

4.ガリレオのショーケース(D.A style)

 徹頭徹尾夜な夜なドライブでぶち上がったテンションをさらに加速させるのはこの曲、ガリレオのショーケース。テンション上がりすぎてドバイまで走って行ける。そしてそのまま石油王の愛人になるんだ。それで好きなバンドだけ集めたフェスを開くんだ・・・。そんな人間の無限の可能性を感じさせるこの曲は、1stシングル『センチメンタルピリオド』に初収録。カップリング曲である。そのくせライブでめちゃくちゃ演奏される。カップリング曲はライブでは基本やらないのがユニゾンのスタイルなのだが、この曲をやるのは田淵的に理由があるらしい。分からんけど。

 そんなイレギュラーなこの曲だが曲調もかなりイレギュラーだ。全体的には、日々のイライラを全て吹き飛ばしてくれるような爽快なロックチューン。ギター、ベース、ドラムがそれぞれ暴れ回ってこれぞユニゾンのアンサンブルといったものを作り出している。私は2番頭のベースラインが好き。しかし、ラスサビ前の間奏がとにかく変わっているのだ。キメが何回もあったりテンポが変わったりと、とにかく変。こればっかりは聴いてもらわないと伝わらないと思う。私はジャジャジャーンジャジャジャーーンのところが好きです。あと、ガッソー!!のところも好きです。ガッソー!!!!!!!!!!!!!

 この曲、曲調もかなり変わっているが歌詞もかなり変わっている。意味が分からない。ユニゾンのほとんどの曲は歌詞の意味が分からないので、当然と言えば当然かも知れない。少々話が脱線してしまうのだが、私はユニゾンの歌詞は決して意味の分からないものではないと思う。さっき意味分からんって言ってたくせに何言ってんだこいつ。けど我慢して聞いてほしい。石油王の愛人になれたら土地あげるから。ユニゾンの歌詞はやたら小難しい単語を羅列していたり、文脈がつながっていなかったりとそのまま読むだけなら意味が分からないものが多い。だが、何度も聴いているうちに曲が伝えたいことは伝わってくるのではないかと私は思っている。ただユニゾンは小難しい言葉ばっかり使ってるせいで伝わってくる速度が異常に遅くなり、よく意味が分からないと言われてしまうのではないかなと思っている。一聴じゃ読み解けない。読み解かせない。それがUNISONSQUAREGARDENの良さではないのだろうか。まあその伝わってきたものが田淵が伝えたかったことかどうかはまた別問題なんですけど。

 で、この曲から伝わってきたことなのだがほぼない。現実は存外つまらなくて汚いものだけれど、綺麗で楽しいものだと思い込んで過ごした方が幸せだという事しか伝わってきませんでした。あんだけ語っておいてなんだよって感じなのだが非常に薄っぺらいことしか感じ取れなかった。私の頭が弱すぎるばっかりに・・・!脳みそがダチョウレベルで小さいのが災いしたか。多分まだ曲を味わいきれてないんでしょうね。もっと聴きます。ただとにかく勢いがあってノリがよくて最高、日々の悩みなんか吹き飛んでしまう曲ということだけはよく分かっている。初収録時よりBPMだいぶ速くなってるしね。

 

5.23:25(D.A mix)

 フルカラー~ガリレオまで全速前進怒濤の勢いで走ってきたテンションを徐々に落ち着かせてくれる曲。といっても完全に止まるわけではなく、気分を高揚させたままほどよいスピードに落としてくれる感じ。まあラスサビ前の間奏でぶち上がってしまうんですけど。アルバムのテンションを維持してくれるこの曲は、2ndアルバム『JET CO.』に初収録、このアルバムにはそれのリミックス版が収録されている。原曲と比べてリードギターの音がみずみずしくなり聴きやすくなっている気がする。ところで、私はついこの間まで『JET CO.』のことを『JET GO.』だと思っていたし、なんなら最後のピリオドの存在を完全に忘れていた。ごめんて。ジェットがゴーすんのか!!!とか思っていた。ルー大柴かよ。ごめんて。

 曲調はミドルテンポの王道ロックサウンド。遊園地から帰るときのようなあの楽しさと名残惜しさが混ざった独特の感情を抱いてしまう。『JET CO.』のイメージに引っ張られているのだろう。『JET CO.』は遊園地をテーマにしたアルバムらしく、遊園地の乗り物をテーマにした曲が多く収録されている。その中でもこの23:25はアルバムの一番最後、締めの1曲として置かれている。歌詞にも「帰ろう世界へ」とあるし、この曲は遊園地という非日常から現実世界に帰る曲という位置づけなのではないだろうか。言ってみればライブも一種の非日常である。ライブを見ている間は課題とか就活とかいう現実のクソみたいなことを忘れられるし。そう考えると、この曲はライブという非日常から現実へと帰る曲という風に捉えることもできる。そのせいかライブでも最後の方に演奏されることが多いと思っていたが実際はそんなことはなかった。調べてみたら以外と最初の方に演奏されてた。証明失敗。

 この曲は非日常から現実世界へ帰る曲と言ったけれど、帰る先の現実世界は思っているほど悪いものではないということもこの曲から伝わってくる。「人生はきっと微妙なさじ加減で 彩られては花盛り 少しあっては雨ふらし」という部分から、人生は楽しい瞬間も悲しい瞬間もある。浮き沈みがあるものだ。と伝わってくる。そこから、一つの失敗に落ち込まずに前向いて行けよというメッセージだと私は受け取っているのだが、さすがに過大解釈かも知れない。本当のところは田淵にしか分からない。歌詞に意味なんてないらしいからね。ところで、タイトルの謎はいつになったら答え合わせをしてくれるんですか???instant EGOISTにヒントはあるらしいですけど、全く分からないんですが????

 

6.夕凪、アンサンブル

 23:25で徐々に落ち着いてきたテンションを完全にクールダウンさせてくれる曲。このアルバムの文字通り、凪である。テンション上がったままだと疲れちゃうからね。ここにこの曲を配置した田淵さすがすぎるな。落ち着いているときにふっと口ずさんでしまう曲。この曲はインディーズ時代のコンピレーションアルバム『DiGGiN' UP BLUE』に初収録された。調べてみたが、現在このアルバムを入手することはかなり難しそう。音源だけならなんとかなるかもしれない。私はこのアルバムを買った時ユニゾンのことを全く知らなかったので、この曲を新曲だと思っていた。そもそもメジャーデビュー前のコンピレーションアルバムにしか収録されていない曲を知っている人の方が少ないと思うので、実質初収録だろと個人的には思っている。『DiGGiN' UP BLUE』の方もいつか聴いてみたい。

 タイトルにアンサンブルとあるように、この曲はスローテンポで3人のアンサンブルがじっくり味わえる曲調に仕上がっている。小高い丘の上をなでていく涼風のようなギターの音色は一聴の価値あり。ギター以外にも曲最後の駆け上がっていくようなベース、アクセントが効いたドラムも聞き逃すことができない。そしてなんと言っても、この曲はコーラスが素晴らしい。ユニゾンは斎藤さんの歌声にスポットライトが当たりがちだが、田淵と貴雄のコーラスもうまいと私は思っている。コーラスのうまさがよく分かるのがこの曲。「動いているような~夜がやってこない」のところのコーラスが素晴らしい。マーベラス。5000兆円あげたい。私が石油王ry。このコーラスがあるからこそこの曲の美しさが際立っているのだ。ブックレットにて貴雄がこの曲のコーラス難しいと語っていたけど、その難しさに比例した美しさだと思っている。とにかく好き。

 タイトルに夕凪と付いているのに、私はこの曲から風のイメージを拭い去ることができない。歌詞を読んだ感じこの曲は夕凪そのものではなく夕凪を待っている曲っぽいのであながち間違いではないのか・・・?わかんね。

 余談になってしまうのだが、先日バンクシー展に行ってきた。最近何かと話題になってんじゃん見よみたいな軽すぎるノリで行ったのだが結構良かった。ノリでポストカードを2枚買うぐらいには良かった。バンクシーといったらストリートアートというイメージがすっかりついてしまっているが、商品のポスターやCDジャケット等も描いている。展覧会ではそれらも飾られていたのだが、その作品の1つにBlurの『Out of Time』のジャケットがあった。

tower.jp

男女が向き合ってお茶?している感じの絵なのだが、特徴的なのは2人の背中にネジ巻きが突き刺さっているところ。ネジ巻きが刺さっているということは当然背中にはネジ穴が空いているわけで。まさに「人類はきっと誰かの都合で 背中にネジ穴が空いてる」状態。つづけて「不完全なまま生まれてきたから 誰かに恋をする」と歌うが、恋をしてネジ穴が埋まったとしても幸せになれるとは限らないのだな。田淵がこの絵を知っているのかどうかは定かではないけれど、何かしら関係があるのではないかと思ってしまった。リンク先でジャケ写が見られるので良ければ見てほしい。(画像小さくて割と見づらいけど)

 

 7.kid,I like quartet(D.A mix)

 夕凪で落ち着いたテンションを急上昇させるこの曲。エンジンかかりすぎてオーバーヒートするぞ。そのまま出火して飛び火して嫌いな上司とか会社とか学校がボヤ騒ぎになればいい。お気に入りの服とか燃えろ。ボヤ騒ぎが起こりそうになるほどテンションが上がってしまうこの曲は、3rdアルバム『Populus Populus』に初収録。原曲と比べるとドラムのドンシャリ感が薄くなって、各楽器のバランスが良くなった気がする。ちなみにこの曲はOAD夜桜四重奏ーホシノウミー』のOPである。まだ夜桜四重奏シリーズに触れたことがないのでいつか手を出したい。

 非常に勢いがあってノリにのれちゃうこの曲はライブの定番曲。まあこのアルバムに収録されてる曲はほぼ全部ライブの定番曲なんですけど。中でもこの曲はかなりライブで演奏されている気がする。ライブの最初の方に演奏して観客のテンションを盛り上げ、ライブの空気を作る役割を担っている気がする。最初の怒涛すぎるドラムの勢いで盛り上がらない人いるの?盛り上がらないのナマケモノぐらいなんじゃないのか。ナマケモノだって両手を上げて踊り出すわ。盛り上がる盛り上がらないは置いておいて、終始後ろの方で鳴っているギターの音が大好き。特にサビの後ろで鳴っているピロピロしたギターがどうにも耳に残って気持ちいい。ブックレットによると、このギターは斎藤さんがママチャリに乗っているときに思いついたらしいが、どういう状況だったの????天才の思いつきってのは分かんねえな・・・。でも好き。2番頭のし、し、し、って左右に振り分けられてるところとかめちゃ好き。

 エネルギッシュで盛り上がるこの曲だが、歌詞の推進力もすごい。生きていく上で大切なことを言っている箇所が多くてハッとする。特にこのフレーズ。

「オブラートに包んだら食べられておしまい」

こんな人生の核心を突いた言葉ある???????その通り過ぎるのよ。何事もオブラートに包んで、回りくどい言い回しばかりしていたら食い物にされておしまい。生きていけないんだよな。だがそのすぐ後に「ああ ああ なんだがむず痒いな」と続く。回りくどい言い回し無しで本音だけ伝えて生きていたら人間関係はうまく続かない。だから、むず痒い。つまり、適度に本音をさらけ出して生きていきなさいよってことを伝えているんだろうか。人生の教訓をアルバム曲のサビでポロッと言うUNISONSQUAREGARDENよ。また、タイトルの言葉遊び?もすごい。kid,I like quartet=喜怒哀楽quartet。サビで何度か歌われている4つの感情とは喜怒哀楽のことであることは周知の事実か。タイアップ元の夜桜四重奏の4ともかけているのか?さすが田淵智也。自分の4つの感情をさらけ出してこの町を彩ってお友達と差を付けちゃおう。そして嫌いな上司の顔面を踏みにじっていこう。

 

8.誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと(D.A mix)

 おそらくユニゾンの曲の中で一番タイトルが長い。アルバムの折り返し地点に位置するこの曲は、テンションを下げることなく維持してくれるマラソン大会の途中においてある給水所みたいな曲。ここにこの曲があることによってこの後のテンションにのっていける。23:25と同じような立ち位置と私は思っている。アルバムのペースメーカー的な役割を担っているこの曲は、6thシングル『流星のスコール』に初収録。ちょっと話はそれるけど、『流星のスコール』はまじで最強のシングルだと思っている。バランスが良すぎる。表題曲「流星のスコール」は流れ星が静かに流れていく情景を思い起こさせるミドルナンバー。その静かさをぶった切るように流れてくるのが、「さよならサマータイムマシン」。「流星のスコール」とは違い、ゴリゴリのロックナンバーで攻撃的なギターが印象的。でも、歌詞は切ない。非常に人気のある曲で、MVまである(ライブ映像だが)。カップリングだぞ。このMVも限定盤のDVDに入ってますよ(大声)。そして最後に来るのがこの001。明るいミドルナンバー。曲調も明るいが何より歌詞が良い。リスナーに滅多に優しくしないUNISONSQUAREGARDENが、珍しく優しくしている曲である。突き放してこない方のUNISONSQUAREGARDEN。切なさと優しさを兼ね備えているし、ミドルナンバーとロックナンバーも兼ね備えている『流星のスコール』強すぎない??バランスが良すぎるのよ(2回目)。『Phantom Joke』もなかなかバランスが良いと思うけど、『流星のスコール』を超えるシングルはないと思っている。

 先ほども言ったがこの曲はまじで歌詞が良い。ユニゾンの中で歌詞が良い曲ランキング作ったら2位ぐらいに入るんじゃないか。1位は「お人好しカメレオン」です。ここは譲れません。ユニゾンの曲は歌詞の意味が伝わりずらいと言ったけれど、この曲は例外だと思っている。かなり分かりやすい。他にも伝わりやすい曲はいろいろあるけど(クロスハートとか君はともだちとかきみはいい子とか。君ってついてたら分かりやすくなるのか?)。私は伝わりやすい曲のことを田淵の思いドストレート曲、通称ドストレート曲って呼んでます。安直~!!!

 この曲はいきなりサビから始まるのだが、そこの部分の歌詞が記載されていない。ユニゾンはこういうことをやりがちだが、難聴人間にとっては非常にやめてほしいのである。歌詞を書いてくれていたとしても聴き取れないことなんてしょっちゅうなんだから、書いてなかったら分かるわけないだろ。カラオケで歌って初めて、そこそんな歌詞だったんだ・・・ってなってるんだぞこっちは。だが、ブックレットにて田淵は、歌詞を書いてないのには伝わりずらすぎる狙いがあると言っているためどうすることもできない。大事なものは目に見えないけど確かにそこにあるから大切にしろって事だろうか。歌詞にも「大事なことは 最初からある 血液みたいに身体を流れて知ってるはずさ」とあるし。私はここの歌詞が1番好きなところです。仕方ないので、頭の歌詞をなけなしのリスニング能力を駆使して聴き取ってみた。私には、

「愛してる それだけ それだけ握りしめて ようやく to the start」

と聞こえる。自信はないので少しネットで調べてみると、「ようやく to the start」派と「you get the start」派にざっくりと分かれていた。正直どっちにも聞こえるため正解は分かりません。田淵のみぞ知る。どちらでも意味はそこまで変わらないような気がするのであまり問題ではないのかも。

 とにかく歌詞が良いと言いまくっているが、具体的にどの辺が良いのかというと、全体的に共感できる、そういえばそうじゃんと思う箇所が多いところ。例えば、「焦るなよ だって明後日が去っても まだあるだろ明後日」のところ。全く手を付けていないレポート×4の締め切りが今日まででも、変わらずに明後日は来るのである。レポートが書けなかったら成績は終わるが、人生は終わらないのである。そういえばそうじゃんと思って、焦りがなくなる。成績は終わってしまうんですけど。他にも、「ING で少しずつ 少しずつ やればいいんです」のところも好き。苦手なことや嫌いなこと、たまっている仕事とかも少しづつやっていけば良いのである。いっぺんに終わらせる必要なんてないんだよな。私は嫌なことをためがちなので、この曲の言うとおり少しずつやっていきたい。それができてたら苦労せんわ。仕事をためがちな現代人に聴いてほしい。

 ところで、タイトルの僕らに大事な001のことって何なんだろうか。私は愛することだと考えている。だって、歌詞にも「愛している それだけ それだけで十分です」とあるし、田淵そういうこと言いそうじゃん?(雑すぎる考察)でも、この愛することっていうのは必ずしも人を対象にする必要がある訳ではなくて、ものや概念でも良いと私は思っている。愛するというか熱中できること、と言い換えた方が適切かも知れない。持論だけれど、熱中できることがある人とない人では人生の楽しさが全く違ってくると思っているので、私は熱中できることがたくさんあって良かったなと思っている。新しい沼にはまったときほど魂が燃え上がることはない。今のところ人生楽しいから嫌なことがあっても別に良いが、とりあえずクソ上司の家は燃えろ。私のQOLをあげるための犠牲になってくれ。ところで、タイトルの001って、”イチ”って読むんですかそれとも”ゼロゼロイチ”ですか?

 

9.天国と地獄


UNISON SQUARE GARDEN「天国と地獄」LIVE MUSIC VIDEO

 001で体力を回復した後に来るのは超攻撃的なロックナンバー、「天国と地獄」。タイトルからして攻め攻めである。このアルバムの中で1番うるさい(褒めてる)曲だと思っている。うるさい曲大好き。この曲は、ロックの申し子ことユニゾンの5thアルバム『Cather In The Spy』に初収録。攻撃的な曲が多い『Cather In The Spy』の中でも格段にキレの良い1曲である。貼ってあるのはライブ映像なのだが、YoutubeにはショートMVもある。ちなみにこのライブ映像は通常盤A、限定盤についてくるDVDの抜粋なので、本編が気になる方はぜひ。限定盤にはMVもついてくるよ!!!!

 曲調は完全にロック。ユニゾンはポップな曲が多いがこの曲はロック要素が多分に含まれている。イントロとアウトロのギターのうるささと暴れまくってるドラムが完全にロックンロールです。うるさい曲を聴くと細胞の働きが促進されて若返るし病気は治るし強くなります。嫌なやつをワンパンで消し炭にできるぐらいに強くなります。そのうち学会で証明されます。だが、ロック一辺倒で終わるユニゾンではない。イントロ、間奏、アウトロは完全にロックンロールだけど、サビの目の前が開けるような感じはユニゾンが持つポップさだと思っている。曲の構成要素は何一つとして変わっていないのにどうしてポップにしたりロックにしたりできるのだろうか。不思議。だが、それがロックバンドのひいては音楽の醍醐味であり楽しさだと思っている。

 とにかくロックンロールのかっこいいところを詰め合わせたようなこの曲は、ライブの定番曲である。ワンマンライブで演奏されるのはもちろん、フェスでもかなりの回数演奏されている。5回に1回はフェスのセトリに入ってるイメージ。そのためユニゾンの曲の中では認知度は高い方だと思われる。この曲がそれだけ演奏されているのは、やはりライブ映えするからだろう。ユニゾンのライブは照明の使い方が工夫されているのだが、この曲は赤色がよく使われていて印象的。ステージ背景の黒と照明の赤が曲が持つ攻撃力を高めている。血が騒ぐぜ。他にもイントロのギターは求心力があるし、各楽器の見せ場もあったりとライブ映えする要素がたくさん。特に各楽器のソロパート回しみたいなところが私は好きである。歌詞の「On the bass の fakest beat! On the drums の clever shots! Smae timeで chaotic show!」の部分に合わせて、ベースソロ、ドラムソロ、合わせが演奏される。ソロと言っても3秒あるかないかぐらいの短いものだけど。だが、見せ場があることによって曲の中でもメリハリがついて、より盛り上がれる。ソロの後に合わせがあるのもまた良い。chaotic show!とある通り、各パートが入り乱れる文字通りカオスな演奏をするのだが、ライブのしっちゃかめっちゃか感が出てて最高である。ギターの主張が激しい。その後もHEY!HEY!HEY!HEY!HEY!という観客をあおっているとしか思えないコールがあったり、斎藤宏介のスーパー巻き舌タイムがあったりと見せ場に事欠かない。だから、よくライブで演奏されるのだろう。単純にノリが良くて楽しいってのもある。あと歌詞についてなんですが、全く伝わってきませんでした。これはユニゾンでも歌詞の意味は特になくてライブで盛り上がろうぜうぇーい!って曲だと信じています。夜な夜なと同じタイプだと個人的は思っています。歌詞の意味は分からんけど、「天国と地獄を数えろ」のところ「天国と地獄の滑走路」にしか聞こえなかったよね。カラオケで初めて「数えろ」だと言うことに気づきました。シャケッッッッ。

 

10.未完成デイジー(D.A mix)

  結婚式で流したい曲ランキングぶっちぎりの1位(個人調べ)。ユニゾン好きな友達全員が結婚式で流すって言うのでこのランキングは正しいです。結婚式以外のイメージで言ったら、機材車ラジオを思い出してしまう方も多数いるだろう。機材車ラジオのせいでこの曲でアルバム終わるんじゃないかと思ってしまう。終わらないけど。むしろ最終コーナーに入る前の最後の休憩だと思っているよ。多数の人にいろんな意味で影響を与えまくっているこの曲は、3rdアルバム『Populus Populus』に初収録。その音源と比べるとこちらの方がバランスが良くなって斎藤さんの声が良く聞こえるようになった気がする。

 曲調は、正統派バラード。Aメロ~サビにかけてだんだんと明るくなっていき、サビで最高潮の盛り上がりを見せる展開。サビではストリングス?の音も入っており、より一層明るく温かく感じる。この曲を聴いていると心が温かくなる。陽だまりに包まれているように。曲調が温かさを生み出しているのは間違いないと思うけれど、その温かさを増進させているのは歌詞である。ユニゾンのバラードは歌詞が良い。この曲も例に漏れず良い。今まで散々ユニゾンの歌詞は意味が分からない、伝わりづらいだの何だの言ってきたが、この曲ほど歌詞の意味が伝わる曲はない。めちゃくちゃ分かりやすい。ミジンコでも分かる。ドストレート曲。ユニゾンの中で1番思いをまっすぐに伝えてくれている曲なのではないだろうか。しかも、この曲ラブソングなのである。ユニゾンの、特に田淵の書くラブソングはストレートで気持ちの良いものが多いが、この曲ほどまっすぐに思いが伝わってくる曲はない。いや伝えようとしてくれている曲。ブックレットにて田淵は「”言葉”で今のJ-POPをひっくり返せると思っていた最後の曲」、貴雄は「田淵がすげー大事にしてた」と言っているあたり、田淵が相当大切に温めてきた曲なのだろう。だから、この曲を聴くと心がふわっと温まるのかもしれない。

 この曲には「いつか僕も死んじゃうけど それまで君を守るよ」「呼吸のような幸福を誓うよ」等のラブソングっぽい、言ってしまえばありきたりなフレーズが多いが、それ故に伝わりやすい。しかし、「君が先に死んじゃっても それでも僕が守るよ 君が好きなこの世界を 最後まで愛せるように」というフレーズがユニゾンっぽさというアクセントを加えている。このフレーズが未完成デイジーをUNISONSQUAREGARDENのラブソングへと昇華させている。普通、愛する対象がいなくなったら全てをぶち壊したくなるもんじゃないのか。とてもじゃないけど世界を愛せるようにはならないと思うのだが。それだけこの曲の「僕」は「君」のことを相当な覚悟と愛情をもって愛していることがよく分かるフレーズである。というかこれキラーフレーズすぎない????田淵のピュアさがよく現れていて好き。こんなピュアピュアな歌詞を書いているくせに、「君がもっと嫌いになっていく」とか平然と歌うからな。これだからUNISONSQUAREGARDENは分からん。でも、好き。そういえばこの曲ショートMVがあったりもしたことを今思い出した。

 

11.シャンデリア・ワルツ


「シャンデリア・ワルツ」from UNISON SQUARE GARDEN LIVE SPECIAL "fun time 724" at Nippon Budokan 2015.7.24

 未完成デイジーで心の癒やしを得た後に鼓膜にアタックしてくる軽快なドラムの音。それに続いてギター、ベースが入り、最高のアンサンブルを奏でる。そんな最高のアンサンブルでアルバムにラストスパートをかけてくれるこの曲は、ユニゾンが打ち出した至高のポップ盤こと4thアルバム『CIDER ROAD』に初収録。ライブでもよく演奏されており、どれだけ疲れていたとしても飛び跳ねたくなってしまう曲。10周年の武道館公演、15周年の舞洲公演でも演奏された。上に貼った動画は武道館公演の時のものである。ちなみに、両方の周年ライブで演奏された曲(シングルとプロコンを除く)は、「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」、「天国と地獄」、「シャンデリア・ワルツ」の3曲だけであり、奇しくも全曲このアルバムに収録されている。やはりこのアルバムただ者ではないな・・・。

 ユニゾンの全ての曲が大切にされてきたと思うが、この曲は特に大切にされてきた曲だと思う。周年ライブというバンドにとって大事なライブで演奏されているし、ツアーのホームページのタイトル文?(ホームページに出てくる名言みたいなやつ。正式名称が分からん)にも、この曲の歌詞が使われていた。MMMの時だったかな。発表された時はツアー決定が嬉しいのとファン心理を突いてくるタイトル文で精神状態がおかしくなり、奇声を上げながら家の中を走り回った。後でしこたま怒られた。ブックレットでは「未来を歌うユニゾンにとって大事な大事な1曲」と斎藤さん、「好きな曲とはまた別に、大切な曲というものがある。」と貴雄が言っている。田淵はこの曲をシングルカットにしたかったそうだし、3人ともこの曲には相当思い入れが強いことがよく分かる。だからこそ2回の周年ライブで演奏されているんだと思うし、3人の思いが伝わっているのかファン人気も高い。

 曲調はUNISONSQUAREGARDENが奏でるロックンロールそのもの。この曲を聴くと、あーユニゾンの曲だなとしみじみと思う。ポップとロックが融合したユニゾン特有のあの感じ。それが最大限に感じられる。私はこの曲のドラムの軽やかな音が大好きである。他の曲よりもドラムの音が際立っている気がするのである。音楽ド素人の私からすると、どうしてもギターとボーカルだけに集中してしまいがちなのだが、この曲はドラムの音ばかり聴いてしまう。このドラムを聴いているとスキップしながら日の当たるおしゃれな街を駆け回っているような気分になって、すごく明るく前向きになれる。

 曲調だけでも前向きになれるのだが、歌詞を見るとより一層明るく前向きになる。ユニゾンの中でも指折りの前向き曲なのではないだろうかこれ。未来への希望を感じるというか。一緒にユニゾンが作る未来を見たくなる曲というか。序盤で「君が握るその何でもなさそうな 想いは全部輝くから 教会通りを走っていこう 絶対に離さないで」と歌い、聴き手が抱く感情を尊重してくれるし、最後には「君が握るその何でもなさそうな 想いはもう輝きだした」と抱いた感情が間違っていないことを証明してくれる。ユニゾンの曲が聴き手の想いを引っ張り、ライブで輝かせる。ここでの輝かせるっていうのは感情を前に出すってことなのかなーとぼんやり思っている。本当のところは分からないけど。他にも好きなところはたくさんあるけど、特に好きなのがここ。

「少しだけでいいから見つけてみて 自分の心を加速させるような確かなこと」

人生の教訓でしかない。自分の心を加速させるような確かなことっていうのは、多分趣味とか何か熱中できることだろう。001のとこでも言ったけど、やっぱり人間何か熱中できることがないとやっていけないっすよ。田淵智也も言ってるんだから間違いない。この歌には人生をうまく生きていけるコツさえも含まれていたんだな。私の自分の心を加速させるような確かなことは、間違いなくUNISONSQUAREGARDENひいては他のロックバンドのライブを観にいくことですわ・・・。私に死ねない理由を与えてくれてありがとうUNISONSQUAREGARDEN。ところで、この曲は4拍子?なのに、なんでタイトルには3拍子が主流のワルツとついているんですかね?確かに「ワルツ・ワルツで」のところは3連符になっていると思うけど、まさかそれだけ?

 

12.場違いハミングバード(D.A mix)

 シャンデリア・ワルツのカウントに続いて流れ込んでくるのは、ライブでおなじみのこの曲、場違いハミングバード。ライブで演奏されると全身の血が沸き立って戦闘能力が上がり所構わず叫び出したくなる。今なら嫌いな上司を完膚なきまでに叩きのめせるぜ!場違いを聴いて盛り上がらないやつは人間じゃないです。感受性が無いとしか思えない。人生やり直してきてください。個人的にこのアルバムの最大の盛り上がりポイントだと思っている。そんな最強のドーピング剤といっても過言ではないこの曲は、3rdアルバム『Populous Populous』に初収録。初収録時と比べると、バランスが良くなった。さっきからバランスの話しかしてねえな。『Populous Populous』の方はとにかく音がドンシャリしてて、ギターとドラムの主張がすごい。めちゃくちゃシャリシャリしてる。このアルバムのリミックスされてる曲の中で1番違いが分かりやすいと思っていて、中でも特に分かりやすいのは、冒頭のカウントの声。カウントだけ撮りなおしたそうで、しかも声とスティックの音を別撮りにするという気合いの入りっぷり。ブックレットの貴雄曰く、「同時だと魂が込もんなくて、スティックと声別撮りした。」そうだ。そこまでしただけあって、声の気合いの入り方が全然違う。こちらの方が、ライブの時の貴雄の雄叫びに近い。あれ聴くとめちゃくちゃテンション上がってしまうんだよな。このカウントが場違いのテンションドーピング剤感を増幅させているのは間違いない。

 曲調はこれぞユニゾンのロックといえるもの。ロックの荒々しさとポップの明るさが溶け合っている。ライブの定番曲で、終盤の方に演奏されがちなイメージを持っている。大分盛り上がって疲れているのに、この曲が演奏されると無い体力を振り絞って、いや振り絞る暇も無くテンションがぶち上がる。やっぱりドーピング剤じゃないか。考えるな、感じろがこれほどまでに似合う曲そうそう無いと思っている。そのため、歌詞の意味は全く分からないです。この曲に意味なんてあるのか・・・?ライブで盛り上がるためだけの曲なのでは・・・?考えたら負けだと思うので、テンションぶち上げて頭空っぽにして楽しもう。この曲の最後の舌打ちに憧れて練習しまくっていた時期があったのだが、全くうまくならなかったしそもそも舌打ちできないことが発覚した。あと、ライブに慣れていると音源を聴いた時にあまりのスピードの遅さにびっくりする。鈍行とリニアモーターカーぐらい違う。私はライブの方に慣れてしまっているので音源を聴くたびに、おっそ!!!え!?おっそ!!!となる。ちなみに遅いからといって歌詞がはっきり聞き取れるわけではない。難聴をなめるな。

 意味は全く分からないがこの曲の歌詞結構好きである。意味は分からないが。特に家のことをおうちって言ってるのが好き。かわいくない?家でも通じるのに、わざわざおうちにしているところがかわいい。田淵智也そういう所だぞ。フライデイノベルズのうさぎさんの件についても、裁判はまだ終わっていないんだぞ。おい。田淵って曲の中に結構かわいいワード入れがちだよね。なんかのインタビューかラジオか妄想か忘れたけど、斎藤君にかわいい言葉言わせたいみたいなこと言ってなかったっけ。気のせいであってほしい。これが作詞作曲者のなせる技か・・・。おそろし。違ってたら連絡ください。最後におばあちゃんの知恵袋的知識を教えよう。カラオケで場違いを歌う時は、スピードを+2ぐらいするとライブ音源に近づいて臨場感が出る。みんなも真似して、お友達と差をつけちゃおう!

 

13.箱庭ロック・ショー(D.A style)

 場違いで全力を出し切った後に流れてくるのはこの曲、「箱庭ロック・ショー」。ありえないぐらい爽やか。このアルバムをマラソンに例えるなら、この曲はマラソンが終わった後のクールダウン。ちょっとだけジョギングするあれ。場違いで全力を出し切って火照った身体に、箱庭ロック・ショーという風が優しく流れてくる。そんな感じなんだよ。私は厨二病なのでどのバンドは何属性だとかどの曲は何属性だとかをよく考えるのだが、この曲は間違いなく風属性である。「cody beats」と「Catch up, latency」も風属性です。ここテストに出ます。この曲はインディーズ時代に発売された『新世界ノート』に初収録、その後1stアルバム『UNISONSQUAREGARDEN』に再収録。つまり、今回入っているものは再再収録されたものということになる。『新世界ノート』に収録されているバージョンは音が荒削り。斎藤さんの鋭い声がより曲の荒さを引き立たせていてこれはこれでかっこいい。『UNISONSQUAREGARDEN』のは、荒さがなくなり綺麗にまとまった印象を受ける。そして今回のだが、バンドサウンドとしてのレベルが格段に上がっている。洗練され切ったアンサンブルが奏でられて、コーラスの一体感も増している。素人が聴いても分かるのだから相当なんだろう。初期の方と比べると20秒ほど短くなっており、スピード感も増している。UNISONSQUAREGARDENはバンドとして着実にレベルアップしてきたことが「箱庭ロック・ショー」3形態を聴くことによって分かってしまうのだ。しかも、15分程度でですよあなた。お得すぎる。

 曲調は、爽やかロック。これにつきる。間奏のギターソロがめちゃくちゃおしゃれでかっこいい。あのギターソロを聴いている間は透明で美しい風が吹き抜けてるんだよ。あちこちにアクセントを加えているベース、ドラムも最高。この曲をUNISONSQUAREGARDEN以上にかっこよく演奏できるバンドはいないだろう。それは全曲そうなんだけど、この曲は特にユニゾンの3人が奏でる音だからこそ完成されているように感じる。あの3人だからこそあんなにかっこよくなるんだなと強く感じる1曲。ライブで演奏されるとガリレオや天国と地獄、場違いのようにうわぁぁぁぁぁあ!!と盛り上がってしまうのではなくて、身体を揺らしてリズムを取りたくなってしまう曲。でも、あんまりライブでやってるイメージ無い。なんでだろ。

 例のごとく歌詞の意味を考えていきたいが、この曲も意味が分からない系ソングに分類されるのではないかと思っている。夜な夜なとかと比べると大分ましな方だとは思うけど。分かりそうで分からない感じが最高にUNISONSQUAREGARDENだなと思う。私の受け取った感じはこう。人間一人一人にはそれぞれの人生があるわけで、その人生はその人が主人公のストーリーである。けど、人は自分が主人公、つまり、自分が中心の人生しか生きていないから、そのことを忘れてしまいがち。そうならないように、全ての人生、ストーリーがその人にとっての中心であることを思い出していこうねって感じなのではないだろうか。ここで言う自分が中心の人生っていうのは、自己中心的に生きているということではありません。自分という人間を通してしか物事を体験できないという意味です。ここ大事。真面目に考えたけど絶対違うわこれ。この曲の初回盤と今回の音源ぐらい違うわ。田淵の考えが分かるわけがないんだよな。でも、なんかめちゃくちゃ良いこと言ってるんだろうなと漠然と思わせるのが田淵のすごいところだよな。私が馬鹿なだけか?しかしこの曲、ユニゾン3人からそんなに大事にされてなさそうなのである。ブックレットにて田淵が「タイトルの響きとは裏腹に大して大事にしてきた曲じゃないんだけど、何かアイコン的なものがあった方がいいだろうと思ってラインナップに入れた曲」と言い切ってしまっているし、貴雄もタイトルの直訳に若干あきれていた。ふざけんなよめちゃくちゃ良い曲だろうがよもっと大事にしろよ。タイトルの割にあんまりライブで演奏されてるイメージ無いなと思ったらそういうことなのか?なんでそんな雑な扱いなんだよ。あっちょうど良いのあるじゃ~ん!入れよ!みたいな感覚で入れるなよ。平野レミの料理番組か??レミでも番組が用意してる材料で作ってんだぞ。そういえば、この前のライブで聴きたい曲投票でも9位だったじゃん!!!!!!!なんで!?!?!?!?3人はさほど大事にしていないそうだが、ファン人気が高くめでたくトップ10入りしたこの曲は、Live(in the)HOUSEでも演奏された。この時のカメラワークが完全にMVで最高だった。3人全員がライブを心の底から楽しんでいる表情がカメラマンさん目線でバッチリ収められていて最高。これぞオンラインライブの良さ。カメラマンさんありがとうございました。この映像はUNISONSQUAREGARDENの最新アルバム『Patrick Vegee』の初回盤についてくるBD/DVDに入ってるよ!

 

14.クローバー(D.A mix)

 箱庭で爽やかな風を感じた後に耳にすっと入り込んでくるのは、ギターの綺麗なアルペジオ。ユニゾンのバラードを一つあげてくださいと言われたら、この曲をあげるだろう。さっきの続きでこのアルバムをマラソンに例えたら、この曲は閉会式。マラソンじゃなくてマラソン大会になってるし、閉会式に例えるのなんかやだ。つまり、このアルバムのエンディングってことを言いたいんですよ!!!語彙力!!!語彙力皆無の例えは置いておいて、この曲は1stアルバム『UNISONSQUAREGARDEN』に初収録、今回のはそれのリミックス版。このアルバムにはリミックスされてる曲が全部で6曲収録されているのだけど、個人的にこれが1番違いが分からない。他の5曲は楽器のバランスとか曲のみずみずしさとか何かしらの違いが(素人判断ですが)分かるのだけど、これだけ全く分からん。イントロクイズされたら絶対に分からないと思う。他の5曲でやられても正解できるかどうかは微妙だけど。

 曲調は美しいバラード。ギターの音が映える1曲だと個人的には思う。曲の展開がすごく綺麗な曲。曲展開とかよく分からんけど。ライブでは3人の給水&ちょっとしたチューニングタイムの後にやることが多い気がする。それまでの流れをいったんリセットさせる区切りのようなイメージ。ライブで演奏するときは、「『また、会おう』って言ったフローリア 『好きだよ』って言ったフローリア」の重なる部分を、「また会おうって言ったんだ 好きだよ~」という風に歌っているのが個人的に大好きなポイント。時効だと思うので言いますが、LIVE(on the)SEATではこの曲始まりだったらしいですね・・・。リセットもへったくれもないじゃん。私は参戦できなかったのだが、参戦していたら間違いなく泣いていたと思う。久しぶりのユニゾンの生ライブでクローバー始まりはしんどい。観客の涙腺を壊しに来ているとしか思えない。演奏されるタイミングはともかく、この曲はライブのバラード枠で良く演奏されている気がする。ユニゾンのバラード曲はそこまで多くはないと思っているけど、ライブで演奏されるとなったら話は別である。ライブのバラード枠は2枠~3枠、少ないときは1枠である。この少ない枠をユニゾンのバラード曲たちは奪い合っている訳だから、いくらバラード曲が少ないといっても激戦必至である。その中でこの曲はかなりの数演奏されているので、かなり強い1曲なのだろう。初期の頃からあるし。ところで、私が1番好きなバラード、夢が覚めたら(at that river)はいつ演奏してくれるんですかね・・・?

 曲調も美しいが、歌詞もユニゾンの中で随一の美しさだと思っている。1曲の中で物語が展開されている。実質小説。クローバーは小説です。その分、人によって受け取り方がかなり変わってくるのではないだろうか。私はこの曲は書き手(田淵ではない)とフローリアの恋物語と思っている。クローバーは実はラブソングだった。どこを切り取っても美しい歌詞だが、私が好きなのはここ。

「君がここに居ないことで あなたがここに居ないことで 回ってしまう地球なら 別にいらないんだけどな」

サビのフレーズなのだが、ここがこの曲の本質だと思っている。君がいなかったらこの世界ごと捨てるつもりなのであるこの書き手は。未完成デイジーの方とは偉い違いだな。全然関係ないけど偉いと違いってめちゃくちゃ字面似てるね。ここの君とあなた両方ともフローリアをを指していると思っているのだが、なぜわざわざあなたと言い換えているのか分からない。君だけじゃ駄目だったのか?音数的な問題なのか?わかんね。何にせよ書き手にとって君=フローリアは大切な存在であることがよく分かる。ここの歌詞ってもっとメンヘラみたいな言い方もできる訳だけど、この優しく柔らかな言い方になっているあたりが田淵のピュアなところだなと思う。ラブソングを書くとめちゃくちゃピュアさが出る田淵好き。ちなみにクローバーの花言葉は「幸運」だそうです。恋物語という解釈からは少しずれるけど、「そっと抜け出したパーティーも 大好きだったあの映画も 未来のパズルに続いてる」の部分だけ見ると、昔の思い出が今の自分を作るんだよというメッセージに聞こえる。実際、昔の自分の行動が今の自分に少なからず影響を与えているんだろうな。今私がユニゾンを好きなのも昔の自分の行動が影響しているのかも知れない。ふーん、おもしれー人生。

 

15.プログラムcontinued

 クローバーで穏やかにアルバムの流れを締めた後に聞こえてくるのは街の喧騒。なんだなんだと思っているうちにフルカラープログラムのアウトロが流れだし、息つく間もなくフルカラープログラムを感じさせる爽やかなイントロが始まる。この曲と最後のさわれない歌はアルバムのエンドロールだと思っている。マラソン大会でいうと帰り道?大会ですらない。もうやめようこの例え。この曲は発売された時点での新曲で、後に発売された15周年記念アルバム『Bee side Sea side』には15th styleが収録されている。この『Bee side Sea side』も15周年記念アルバムのくせにシングルのカップリングしか収録されていないクセの塊のようなベストアルバムなのだが、話が長くなるので今回は割愛。

 この曲は「フルカラープログラムと対をなす曲」である。ブックレットで斎藤さんが言ってた。タイトルに「プログラム」と付いていたり、曲が始まる前にフルカラープログラムが流れるあたりからそのことは明白だろう。しかし、歌詞にはフルカラープログラムだけでなく他のUNISONSQUAREGARDENの楽曲を彷彿とさせるワードがあちこちに散らばっているのだ。例えば、「あれは流星が降り注ぐ前夜」のところ。これはインディーズ時代に発売された『流星前夜』のことだろう。同タイトルの曲もあるが私はアルバムのことを指しているのではないかと思う。『流星前夜』にはフルカラープログラムが収録されているので。知らんけど。また、「耳を塞いだあの日から4000日くらい歩いてて」のところも。これは『センチメンタルピリオド』の「高性能のヘッドフォンなんで世界の音も聞こえません」の部分を表しているのだろう。ところで、この4000日という数字だが、年になおすと約10年。このアルバムが発売された年(2015年)の約10年前はユニゾンが結成された年である。正確には11年前だけど。その後、「ふと立ち止まり 振り返れば 随分遠く 遠くまで来たみたい」と続く。ずっとユニゾンは活動を続けて、歩き続けてきたのだ。この部分からユニゾンの軌跡がうかがえる。ちなみに、15th styleではちゃんと「5000日ちょっとくらい歩いてて」に変わっている。芸が細かいぞ、田淵。

 私はこの曲をUNISONSQUAREGARDENがUNISONSQUAREGARDENに向けて歌ったお祝いソングだと思っているので、明るく感じる。お祝いソングだからかあまりライブでは演奏されていない印象。曲調は、フルカラープログラムの流れを受け継いでいるけどフルカラープログラムのあの切なさは無く、ただひたすら爽やかさときらめきを感じる。思い出を振り返りながら未来を見ている時みたいな感じ。歌詞がまさにそうなんだけど、曲調にまでこの感覚を落とし込んでいる田淵はすごい。そして、歌詞は曲調と同じくらい明るい(当社比)。UNISONSQUAREGARDEN流のお祝いソングとあって一筋縄ではいかないけれど。この曲の歌詞の意味は読んでいただいたら必ず伝わってくると思うので、ここからは好きなところを抜粋していく。まずここ。

「一見に関係ないことを大声で歌ってきたんだ 沢山の人が首をかしげてきたけれど」「乱暴な真相めいたこと 頑固意固地ってきたんだ あんなやつらには気づけそうもないだろう」

ニゾンのこれまでのそしてこれからの活動スタンスがはっきりと伝わってくるフレーズ。大衆から歌詞の意味が分からないと思われていることをユニゾンの方も理解しているんだな。それでも、彼らはこれからもこのスタンスを崩すことなく大声で歌い続けるのだろう。それはこの部分からもよく分かる。

「一瞬も飽きちゃいないからさ 人生を譲る気がないんだ」

田淵は飽きたらバンドは辞めるということをよく言っているけど、彼がバンドを飽きることなどあるのだろうか。自分たちの10周年を祝うために作った曲で、一瞬も飽きちゃいないと言い切ってしまうんですよ彼は。私は彼のそういうところが、大事なこと、本心から伝えたいことは分かりやすい言葉できちんと伝えてくれるところが大好きなんです。このフレーズは15th styleでも変わっていないあたり、彼はまだまだバンドに夢中なのだろう。そのことはサビで繰り返し歌われている。

「ああ 気ままに行こうじゃない きっと何も変わらないけれど 多分continued」「ふざけろ!続けフルカラー きっと大して変わらないけれど 依然continued」

continuedの前に多分が付いているのがユニゾンらしくて好きだし、このスタンスを変えずにやっていくことを歌ってくれているのも好きだ。どっちも確証がないのがいかにもユニゾンだなと思うけれど。だが、ラスサビでは依然continuedと言い切っているあたりこれからもずっとユニゾンは続いていくのだろう。この偏屈で最高なロックバンドに最大限の祝福を。

 

16.さわれない歌

 プログラムcontinuedでひねくれロックバンドをお祝いした後に流れてくるのはこのアルバム最後の1曲。お祝いムード全開(当社比)のプログラムcontinuedをトリに持ってくるのではなく、この曲を最後に持ってくるのが最高にUNISONSQUAREGARDEN。「控え席の出来事」の名を冠するこのアルバムを締めくくるのにふさわしいこの曲は、7thシングル『リニアブルーを聴きながら』に初収録。カップリングのままにしておくにはあまりにも惜しい1曲だと思っている。

 曲調は、ミドルテンポでリズム感が良く心地良い。3人の音以外にキーボード?の音も入っているため、曲の広がりも感じる。コーラスの入ってくるタイミングも好き。このアルバムにはミドルテンポの曲が何曲か収録されているけれど、この曲はそれのどれとも違う独特の雰囲気がある。他の曲はミドルテンポでもテンションが上がって高ぶってしまうのだが、この曲は心にすっと染み入ってきて落ち着く。だからこそ、このアルバムの最後の1曲なのだろう。もう時効だと思うので言いますけど(2回目)、Normalという名のSpecialツアーの最後の1曲もこの曲だったそうですね。ユニゾンの中で締めの1曲という立ち位置なのかも知れない。Normalツアーでキライ=キライやったの一生許さないからな。しかし、この曲あまりライブでは演奏されていないように思う。アルバムツアーの時ぐらいしか演奏されていないんじゃないだろうか。ブックレットで田淵が「あまり出しゃばらせないようにしていた」と言ってるので、これからもあまり演奏されないのかも知れない。いつか生で聴きたい。

 曲調の落ち着き加減だけで言えばこの曲は間違いなくアルバムのトリに向いていると思う。しかし、このアルバムは10周年記念アルバムだ。そこを考慮すると、プログラムcontinuedの方がこのアルバムの最後の1曲にふさわしい気がする。「何気ない歌で何気ない記念日をお祝いしたら」と歌っているし、みんなでお祝いムードで大団円という流れの方が収まりが良いように思える。まっすぐなバンドだったらそうするだろう。しかし、これはひねくれロックバンドUNISONSQUAREGARDENの10周年記念アルバムである。普通に終わるはずがない。お祝いムードで終わるのではなく、ユニゾンとしての在り方を歌って終わるのだ。もうまじUNISONSQUAREGARDEN。大好き。そんなユニゾンらしさそしてユニゾンの在り方が存分に詰まっているのが歌詞なのだけれど、特にUNISONSQUAREGARDENを感じるのがサビのフレーズ。1番では、

「もしも君が孤独の中に居て 泣き声も聞いてもらえないなら 思い切り泣けばいい 立ち上がる頃に強くなる」

 と歌う。孤独に寄り添うわけでもなく、一緒に泣いてあげるわけでもなく、ただ泣くことを許すだけ。無理に共感されるよりもこれぐらいの距離感の方がちょうどいい気がする。これがユニゾンの優しさ。そして2番では、

「もしも僕が君の前まで来て 何かできることがあるとしても この手は差し出さない きっかけは与えたいけれど」

と歌う。ここ最高にUNISONSQUAREGARDEN。このフレーズめちゃくちゃ好き。どれだけ人が困っていたり苦しんでいたりしても直接手を差し伸べることはしないのがUNISONSQUAREGARDENなんですよ。あくまでユニゾンの曲は立ち直るきっかけを与えてくれるだけで、直接助けてくれるわけではない。この距離感がUNISONSQUAREGARDEN。このことはたくさんの曲で歌われているので、ユニゾンの核となる考え方なんだろう。田淵はブログとかで繰り返しこういうこと言ってるし。そしてこの後にこう続く。

「それでも君が手を伸ばすのなら 何度でも伸ばし続けるのなら その答えthat is true, that is true 誰にも邪魔できないよ きっとね」

自分で考え抜いて出した答えをユニゾンは否定しない。自分の答えを否定されないってすごく嬉しいことだ。その上、誰かの答えを否定しないことは案外難しい。やれ差し出された手は噛みちぎってみたり、君がもっと嫌いになっていくとか歌っているけど、ユニゾンは聴き手の心にちょっとだけ寄り添って背中をそっと押してくれる優しくて強いバンドなのだ。ひねくれてるなあ。そこから先進んでいけるかは自分次第なんだけど。他にも、「近づきすぎないで ちょうどいい温度感であれ」というフレーズからはユニゾンのライブのスタンスがよく感じられる。少しだけ励ましてくれるけれど、それ以上は決して近づかない馴れ合わないのがユニゾンのスタイル。いやもう本当にUNISONSQUAREGARDENでしかないこの曲。全部が全部良い歌詞すぎる。どうなってんだ。これがカップリングなんだぜ???本当に底が知れないバンドだよな。この曲の歌詞を彫った石碑立てたい。

 

・終わりに

 いやなっっっっっっが。長すぎ。なんだこれ。こんなに長々と書く予定ではなかったのだが、思った以上に筆が進んでしまった。反省。まあ徒然には「長々と」という意味もあるし、伏線回収ってことでなんとかなりませんかね?長さはともかく、私としては曲に対する解像度が高まる良い機会だった。普段移動中や作業中にしか音楽を聴かないのだが、この記事を書くにあたって1曲1曲歌詞カードを見ながらじっくりと聞き込んだ。それにより曲に対して抱いていたイメージがより鮮明になり、より一層曲を好きになれた。時間をかけて向き合うって大事なんだなって(小並感)。この記事を通してより一層UNISONSQUAREGARDENに対する愛が増したので、これは好きなバンドをもっと好きになれる良い企画なのかも知れない。ユニゾンだけでなく他のバンドの作品もちょこちょこ書いていこうと思う。これ以上長くなったらさすがに飽きられるので今回はこの辺で。次書くときはもう少し短く収まるように善処します。もうすぐ春が来ますね。

アイドルになんか絶対ハマらないと思っていた人間がKis-My-Ft2にはまるまでの話

 「アイドルには多分一生ハマらないだろうな」つい2ヶ月前までそう信じて疑わなかった。小学生の頃に二次元に出会い、中学生の頃に邦ロックの素晴らしさに気づいた。これまでの私の生活は二次元と邦ロックで構成されていた。割合で言うと、二次元3の邦ロック7ぐらい。これ以上好きなジャンルは増えないだろうなとなんとなく思っていたぐらいには、この2つのジャンルは居心地が良かった。なんせ無限に好きな作品とかバンドが見つかるもので。そんなんだから、自分がまさかアイドル、しかも天下のジャニーズグループにハマるとは当然思っていなかったのである。

 
 別にアイドルが嫌いだったわけではないが、好きでもなかった。ハッキリ言って興味がなかったのである。しかし、下には見ていた。馬鹿にしていた。邦ロックオタクを拗らせていた時なんか特に。自分たちが作った曲でもないのに、なんで歌ってんの?とか平気で思っていた。今考えたら最低すぎますね。なんだこいつ。助走つけて殴り飛ばした後に、地面に叩きつけたい。それでも、親がジャニーズ好きだったので、どんなグループがあるのかはなんとなく知っていた。けど、誰がいるのか分からない、顔と名前が一致しないはざらにあった。(未だにあります)
 

 こんなアイドルに対してとんでもない偏見を抱いていた人間が、Kis-My-Ft2にハマるまでの道のりを書くのがこの記事の趣旨です。需要とかは知らん。何度でも言うが、アイドルにハマってることに自分自身が1番驚いてるので、その驚きと感動(?)を書いておこうかなという次第。そろそろ本題に入ろうと思ったが、キスマイってなに?という人もいると思うので、公式サイトのリンクを張っておきます。これで顔と名前は分かる。

avex.jp

それでは、 1人の人間が沼に転がり落ちていく様子をご覧ください。

 

 

 

 

突如として現れた沼『BE LOVE』

 それは去年の10月頃のこと。いつものようにツイッターを眺めていたときだった。突如TLに2人の男の人が微笑み合っている写真が流れてきたのは。は~なんかめっちゃくちゃ綺麗な写真だななんだこれ?映画の宣伝?とか思いながら3秒ぐらい眺めてから気づいた。この右側の人キスマイの宮田ニキでは?当時はキスマイのことはグループ名ぐらいしか分かっていなかったのだが、二次オタ界隈での知名度はトップクラス(彼は重度のアニメオタクである)の彼のことは知っていた。だが、私の知っている彼のイメージとあまりにもかけ離れていたのですぐには気づかなかったのだ。こんな穏やかな表情できるんだ。てか、すごい顔綺麗だな気づかなかったとかめちゃくちゃ失礼なことを思いながら、もう1人の男の人を見る。なんかこの人も見たことあるな。キスマイの玉森君では?玉森君もギリ知っていた。小学校のボーイッシュな同級生(女子にめちゃくちゃモテるタイプ)が好きな顔と言っていたという超私的な思い出しかなかったが。あとドラマもちょっと見てた。こっちもすごく良い表情してるな。というか、そもそもこれ何?なんで2人ともこんな穏やかな表情で微笑み合っているの?となり、ようやくツイートを読む。読んだのが2ヶ月ぐらい前&衝撃がすごすぎて元の文章は忘れてしまったのだが、「ファン待望のあの曲をドラマ化しちゃうよ!!!!男性同士の純愛物語だよ!!!!メンバー同士でやっちゃうよ!見てね!!!!!」みたいな感じだった。すいませんふざけました。でも、内容的にはこんな感じだったはずです多分。原作楽曲があるのか?そもそもジャニーズでBLしかもメンバー同士でやって大丈夫なのか?なにこれなんだこれ?いろいろとやばそうだな。ごちゃごちゃ言ってるが、とにかく、国一つ滅びたぐらいの衝撃をうけたのであった。今までBLは通ってきていなかった分余計に惹かれたのかも知れない。興奮冷めやらぬまま調べたところ、あのツイートはdTVで配信されているオリジナルドラマ『BE LOVE』の宣伝で、Youtubeには予告も上がっているとのこと。なぜあのツイートがバンドしかフォローしていない私のTLに流れてきたのかは全くもって謎でしかない。しかし、気づいたら私の心は完全に掴まれていた。毎日予告動画見てた。衝撃を受けてから3日間ぐらい予告動画しか見ない謎の我慢大会をしたのだが、最終的に好奇心に負けた。見たら多分戻ってこられなくなるなと思いながらも、dTVの会員登録をする手を止められなかった。焦りすぎて3回ぐらい入力ミスした。そして、全話一気見した。

 

 結論から言うとですね、めっっっっっちゃくちゃ良かった・・・。70億分の1ぐらいの可能性で私の駄文から『BE LOVE』に興味を持ってくださる人がいるかもしれないので、内容は言わないようにしてるんですが、これだけは言わせてくれ。

表情が良い!!!!!!!!!!!!!!(大声)

こいつさっきから表情のことしか言わないじゃないかと思ったそこの方。仰るとおりです。もう表情が良いんですよ。10年以上一緒にいるメンバーなのに、劇中の2人は完全に恋人同士の顔になってるし、醸し出す雰囲気が甘くて優しくて穏やか。そこがすごい。全4話、1話15分程度しかない短い構成なのに、きちんと起承転結がついているのも素晴らしい。各話ごとに感想をしたためたい。いつか書くかも(言うだけタダ)。ここに公式サイトのリンクを貼っておくので、気になった方はぜひ見てください・・・。正直人を選ぶ作品ではあると思うけど、私はこれが最高のラブストーリーだと考えているので・・・。さっきも言ったがこの作品には原作となる楽曲があり、そっちもものすごいことになっているのだが・・・それはまた別の話。いつか書く(2回目)

pc.video.dmkt-sp.jp

 

 気づいたら毎日『BE LOVE』を見ていた。そう、完全に沼に足を突っ込んでいた。突然足下が沼になっていたのだ。しかも、すでに沼に膝下ぐらいまで沈んでいた。今まで歩いていた道が突然沼に変わるんですよ?怖い。怖すぎる。『BE LOVE』恐ろしい子・・・。といっても、この段階では『BE LOVE』という作品がめちゃくちゃ好きになってただけで、キスマイ自体にはそこまではまっていなかった。まあメンバー同士でBLやるぐらいなんだから相当ヤバいグループなんだろうなとは思っていましたけど。

 

 沼に浸かって数日後、ツイッターで『BE LOVE』の感想でも見るか~と急に思い立ちなんとはなしに調べていると、「BE LOVEはほぼ宮玉(宮田君と玉森君のユニットの通称名)の日常」「メイキングかと思った」等の感想が多々あり困惑した。普段からこんな感じなのか?何それ?と意味を咀嚼しきれないまま調べまくっていると、そもそも『BE LOVE』はdTVで現在配信されている『キスマイどきどきーん!』という番組の特別企画で制作されたものということが分かった。(最初によく調べていればすぐにわかったことである。見たい気持ちが先行しすぎてて何も気づいていなかった。人間目の前にご馳走を用意されたら我慢できないんだなぁ)しかも、キスどき(『キスマイどきどきーん!』の略)公式が「BE LOVEにはまった人むけ!おすすめ回!」とか言って宮玉特設コーナーまで作っていた。強い。新規ファンを獲得する気満々である。こんなご丁寧にまとめまで作るなんて見るしかないじゃないかと私は公式の策略にまんまと乗せられて、『キスマイどきどきーん!』を見ることにしたのだった。それが沼落ちをさらに加速させるものとは知らずに。

 

さらなる追い打ち『キスマイどきどきーん!』

 というわけで、キスどきを見始めた。とりあえず公式の宮玉おすすめ回から見たのだが、普段からあんな感じでした。この時点で、私の中のキスマイのイメージはヤバそうなグループから確実にヤバいグループになりました。なんかとんでもないものに手を出したのかも知れないと思いながらおすすめ回を全部見終わり、そして気づいた。

あれなんか普通に面白くね?????

とにかくコーナーが多様なのだ。罰ゲームで投げ飛ばされたり、タランチュラ食べたり、顔の上で湯切りされたり、顔でラップ突き破ったり等々、それ本当にアイドルがやって大丈夫なんですか??ということばかりしているコーナーがある一方で、メンバー同士のマッチング企画や○○するまで出られない部屋に入れられたり、ベストコンビを決めたりとメンバーの関係性が垣間見えるファンが喜びそうな企画もたくさん。バラエティとファン心理を満たす企画が絶妙なバランスで組まれていて単純に見ていて飽きない。そして、メンバー全員のバラエティ適応能力が高すぎる。コントもやるしコスプレもやるし大喜利もやる。何でもやってる。さすが超絶怒濤のバラエティアイドルたち・・・。単純に全員が面白いってすごくない??何より、メンバー全員が全力でやっているのが見ていて楽しい。気づいたら寝る前にキスどきを見るのが日課になっていて、ものの1ヶ月程度で全話見終わってしまった。その頃にはメンバー全員の顔と名前が一致するようになっていた。つい一ヶ月前までアイドルを馬鹿にしていた人間とは思えない勢いである。この時沼に肩ぐらいまで浸かっていた。しかし、まだ私は彼らのことをアイドルというよりは超絶面白集団だと思っていた。そう思うことで、アイドルを馬鹿にしていた自分を守ろうとしていたのだ。別にアイドルな彼らにはまってるわけじゃないしってね。まじで殴り飛ばしてぇ。ところが、そんな状況を一変させる出来事が起きたのだった。

 

とどめの一撃『Kis-My-Ft2 LIVE TOUR 2020 To-y2』

 キスどき最新話の更新を心待ちにしつつ、過去の配信分をもう一度見返す日々を送っていた頃。突然それは知らされた。ライブのリピート配信である。10月3日、4日に行われた配信ライブ、『Kis-My-Ft2 LIVE TOUR 2020 To-y2』を11月21日と22日にリピート配信しまっせというもの。私はライブに目がない。ライブに行くためだけに生きていると言っても過言ではない。ライブはバンドのかっこよさが嘘偽りなく発揮される場所だと考えているし、何よりライブに行けば嫌なこと全部忘れてただただ楽しくなれる。それは配信ライブでも変わらない。本配信が行われていたときはキスマイのことなど全く気にしていなかったので、リピート配信はまさに天恵であった。しかし、私はライブを見るのをためらっていた。ここでライブなんか見てしまったら間違いなく沼落ちする。二度と沼から這い上がれなくなると確信していたからだ。超絶面白集団とかバラエティアイドルとかなんとか言っていたが、時々見せる表情が完全にアイドルなんだよ。(※アイドルです)正直、本業をしている彼らを見たくなってきていた。でも、見たら間違いなく沼落ちして財布が死ぬ。どうしよう。しかし、この機会を逃したらおそらく二度とライブは見れない。チケット倍率とんでもないからね。というか、そもそも見ないだろう。千載一遇のこのチャンス。ギリギリまで迷っていたが、見ることにした。彼らがどんなライブをするのか気になったから。

 

 ライブは、最高だった。去年見た配信ライブの中で一二を争うほど良いライブだったと思っている。私が知っているロックバンドのライブとは違うところがたくさんあったけど、同じ熱量を感じた。ライブと名のつくものは総じて素晴らしいのだなと痛感した。今までアイドルを馬鹿にしていた自分が恥ずかしい。アイドルになんか絶対はまらないというくだらないプライドは、跡形もなく消え去っていた。今まで何の意地を張っていたのだろう。本当に馬鹿馬鹿しい。曲も良いし演出も良い。そして何より、彼らが誰よりも楽しそうにライブをやっているのが良い。演者の楽しさが伝わってくるライブは最高なのである。そんな楽しそうにライブをしている彼らを見ていて思った。応援したいと。こうして私はKis-My-Ft2の沼に完全にはまったのであった。ライブの感想はこの記事でも結構詳しく書いているのでよかったら読んでね!!!(宣伝)

sunktower.hatenablog.com

 

 いや~振り返るとくっそまわりくどいはまりかたしてますね~なんだこれ。キスどきにはまった時に大人しくライブ映像見てたらもっと早く沼落ちしてただろ。変なプライドなんかとっとと捨てればよかったのよ。ちなみに、アイドルを馬鹿にしていた私は成層圏まで吹っ飛ばした後でマリアナ海溝の底に沈めておきました。二度と浮かび上がってくることはないでしょう。沼落ちしてからの行動は自分でも引くぐらい速かった。Youtubeに上がっているライブ映像とMVを片っ端から見あさり、アルバムとDVDを買いあさり、FCも入った。我ながら怒濤の勢い過ぎて引いた。多分だけど、二次オタじゃなかったらそもそも『BE LOVE』に興味を持つこともなかったし、バンド好きじゃなかったらあのライブの素晴らしさにも気づくことはなかっただろう。各界隈の沼は底でつながってるって本当だったんだな・・・。そう考えると、私が彼らにはまり応援したいと思ったのは運命だったのかなと感じる。事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものです。

 

 未だにアイドルにドはまりしている自分に驚くときがあるけれど、今年デビュー10周年を迎える彼らを末永く応援していきたい所存。近づきすぎず離れすぎないちょうど良い温度感で。

 

 

2020年心に残った配信ライブ3選

 2020年が後9時間ほどで終わろうとしている。思い返せば今年はとんでもない一年だった。正月休みを全てなげうって受験勉強。ようやく受験が終わり、ライブに行きまくるぞと思った矢先のコロナウィルス大流行。おかげでライブの予定は全てパーになった。私のfun time HOLIDAY8のチケット返してくれるかな??????あのライブだけを頼りに受験を乗りきったんですが????とっととコロナウィルスには死滅してもらいたい。

 

 ライブだけが生きがい、死ねない理由がライブだと思い続けている私にとって今年は本当に辛かった。正直fun time HOLIDAY8が延期になった時点でもう今年はライブに行けないだろうなと薄々感じていたし、実際そうなった。何で生きてるんだろうと何回も思った。ライブのない日常とはこんなにも味気ないものだったと気づかされた。そんな生ける屍状態に陥った私を救ってくれたのが、そう、配信ライブである。

 

 今年は生のライブにこそ行けなかったが、配信ライブには結構参戦した。といっても、せいぜい10本いくかいかないかぐらいだが。ライブに行けてた頃は年間10本いくと多いなと思っていたので、結構いい方だろう。生のライブにお金を落とせないフラストレーションがたまった結果、財布と時間が許す限りライブに参戦してしまった。私が石油王の108番目ぐらいの妻だったら全ての配信ライブに参戦したのに・・・。特設会場を作ってオリジナルフェス開催したのに・・・。妄言はこれぐらいにして、そろそろ本題に移りたいと思う。

 

 というわけで、今年参戦した配信ライブの中で特に心に残ったライブを3つあげようかなと思う。なんで3つかというと、全部の感想をつらつら綴ってたら多分今年が終わっちゃうからである。というか、現時点で今年以内に書き終わるのか怪しいところ。年明けに上がってたら察してほしい。おそらくこれからこの記事で何回も言うことになると思うが、どの配信ライブも素晴らしかった。尺の都合上3つしかあげられないのが本当に心苦しい。どのライブもそれぞれのバンド、アーティストがファンを楽しませようとしてくれたことがはっきりと伝わってくるものだった。お客さんが目の前にいない状況でライブをすることは、我々が想像しているよりも難しいもだっただろうに。収益も少ないだろうに。それでも、ライブをしてくれた全バンド、アーティストに最大限の感謝を送りたい。いやもう本当にありがとう。あなたたちのおかげで私はなんとか人の形を保てています。多分配信ライブがなかったら、ドロドロに溶けてアスファルトと一体化してたんじゃないかな。

 

 前置きが長くなってしまったが、以下から配信日順に綴っていく。ランキング付けはしない方向で。だって、どのライブも素晴らしかったからね。

 

 

 

 

 LIVE (in the) HOUSE 2/UNISON SQUARE GARDEN

 はい。出ました。一発目からとんでもないライブがきました。配信日順だから仕方ないけども。このライブは良いポイントが多すぎる。

 

 まずはじめに、タイトル。LIVE (in the) HOUSE 。()を取ると、LIVE HOUSE。ライブハウスを愛する彼ららしいタイトルである。文字通り、あなたの家をライブハウスにするよ、ライブハウスになるよという意味なのだろうか。真偽のほどは分からない(ナタリーとかのインタビュー記事で語っていたような気もするが忘れたごめん)が、私はそういう風に捉えた。ありがとう、UNISON SQUARE GARDEN。ライブが行われていたあの瞬間だけは、間違いなく家がライブハウスになってたよ。

 

 もちろん、セトリも良かった。ユニゾンは7月にLIVE(in the)HOUSEというこのライブの前身にあたるものを行っていた。それは、ユニゾンの全楽曲の中から投票によるリクエストランキングを作り、上位20位以内の曲を基にセットリストを決めるというものだったのだが、まあとんでもなかった。出サビのmix juiceで叫ばなかった人いるの?(LIVE(in the)HOUSEについての感想も追々語りたい。時間があれば)だが、LIVE(in the)HOUSE 2のセトリもとんでもなかったのだ。LIVE(in the)HOUSEの時は上位20位以内の曲を基にセトリが作られたが、今回は31位~70位の曲を基にしてセトリが作られたのだ。どの曲がセトリに組み込まれるのかドキドキだったな。まあ、私が投票したピストルギャラクシーは組み込まれませんでしたけどね!!!

 

 でもまさかライトフライトをやるとは思っていなかったので、ギターの最初の一音が鳴ったとき叫んだ。生きてる間に聴けるとは思ってなかったよ。何かが変わりそうやマイノリティ・リポート(darling,I love you)などのアルバムツアーとフェス以外では聴ける機会があまりないような曲も多めに演奏されていた。おそらく普段のUNISON SQUARE GARDENなら、ランキングを作ってそこから曲を披露するなどはしないだろう。しかし、この非常時だからこそ企画してくれたのかなと考えると嬉しくなった。あなたたちのそういうところが大好きなのよ。多分、本人たちはたまには違うことしてみようぐらいの気分でやったのだと思うけれど。個人的には、ライトフライトを演奏してる間ずっと斉藤さんの髪の毛が風になびいていて、どこから風が吹いているのか気になりました。現場からは以上です。

 

 そして、このライブで最も印象に残っていることは、演出だ。1曲目のマスターボリュームは、定点カメラではなくスタッフさんがビデオカメラ持って、臨場感たっぷりに映像を届けてくれた。おそらくMVを再現したものだろう。これは間違いなく配信ライブでしかできない演出である。そもそも、だれがMV再現すること予想できたんだよ。マスターボリュームが演奏されているという事実だけで飛びそうだったのに、MV再現してることに気づいたとき泣いたわ。また、間に挟まれたアコースティックアレンジ3曲も普段のライブならしない演出だろう。特に、チャイルドフッド・スーパーノヴァをアコースティックアレンジにしたことが驚きだった。バンド演奏の時よりもベースの音がしっかり聞こえたし、ギターの音が軽やかで楽しかった。いつか全編アコースティックアレンジのライブをやってほしい。また、気づいたら会場が広くなっていて驚いた。最初の3曲ぐらいまで壁に囲われていたのに、最後のcrazy birthdayあたりではフロアまで使っていたような気がする。いつのまに広がったんだ??あと、crazy birthdayで思いっきりふざけ倒してマイクを移動させたと思ったら、いつもの立ち位置にするためだったところも驚いた。本編ラストのオーケストラを観にいこうでいつもの立ち位置に戻るあたり、UNISON SQUARE GARDENはこれからも変わらずにやっていくという決意が見えた。配信ライブでも彼らは普段通りかっこよかった。

 

 

TITLE COMEBACK SHOW/ストレイテナー

 私が初めて見たストレイテナーのライブ。ライブタイトルにもあるように、このライブはストレイテナーのメジャー2ndアルバムである『TITLE』をアルバム収録順にやっていくというものだった。私はまだ彼らのアルバム全てを聴けていないのだが、この『TITLE』は、今のところ彼らのアルバムの中で一番好きなのだ。ストレイテナーが持ついなたさ、切なさが存分に発揮されているのがこのアルバムだと思っている。まだ聴いたことのない人はぜひ聴いてほしい。めちゃくちゃ良い。

 

 アルバム再現ライブであるため、次にどの曲が演奏されるかは分かっている。しかし、それでも全く退屈しなかったのはストレイテナーの演奏力のおかげだろうか。『TITLE』は現ギターの大山純さんが加入する前に録られたもの。ライブでは4人になったストレイテナーの音で、『TITLE』が演奏されていた。CD音源ももちろん良いのだが、大山さんのギターアレンジが良い味をだしていたライブだった。4人になったストレイテナーの強さを惜しみなく発揮していた。

 

 『TITLE』収録時のホリエさんの声は鋭く少しかすれていて、ストレイテナーの持つ切なさを増幅させている。しかし、今のホリエさんの優しく暖かい声で歌われる『TITLE』は、楽曲が持つメッセージがより伝わってくるものだった。特に、TENDER。サビのリズムに合わせて左右に揺れながら、目を閉じて歌い上げるホリエさん。TENDERが持つ優しさがより強く伝わってきた。あのTENDERは良かった。TENDERまじで良い曲なので聴いてほしい。YoutubeにもMVあるのでお願いします。というか、ストレイテナーを聴いてくれ。私のおすすめはREMINDER。

 

 このライブの良さを増幅させていたものの一つに、ライブ中のMCとライブ後のアフタートークもあげられる。そうなんとこのライブ、ライブ後のアフタートークもついていたのだ。しかも、20分ぐらい話してくれたし、新曲を初公開してくれた。盛りだくさんすぎない??テナーのことを知っている人なら分かると思うのだが、演奏をしていないときの彼らはゆるっゆるなのである。ライブではあんなにバキバキの演奏をしている4人だが、ステージを降りたら話がめちゃくちゃ面白いゆるふわおじさん達になってしまうのである。あと、基本的に大山さんはステージ上もステージ降りた後も喋らない。でも、たまに喋ったと思ったらめちゃくちゃ面白いこと言う。気になった方は、テナーのサブチャンネルでYoutubeを検索してください。楽屋トークとか見れます。自分は受験でメンタルが死にそうになった時、テナーのサブチャンネルでメンタルリセットしてました。おすすめ。アフタートークがひたすらゆるゆるになることは分かっていたが、曲間もゆるゆるだった。特にちゃんとしたMCをいれない曲間、ギターを交換する時や楽器の調子を見ている時などの数十秒間に、ドラムのシンペイさんとベースのひなっちが笑い合っていたり、機材の調子について談笑していた。メンバー全員が楽しんでライブをしていることが伝わってくる良い瞬間だった。私が好きなバンドはあまりステージ上で喋らないので新鮮だった。アフタートークでホリエさんに突っ込まれていたけど。

 

 私が初めて見たストレイテナーは配信ライブだった。だから、普段の彼らのライブがどんなものなのかは分からない。しかし、彼らの魅力が余すことなく伝わってきたライブだったことは断言できる。現にアーカイブ3回見たし。このライブを見てストレイテナーのライブに行きたいと思った人も多かったのではないだろうか。少なくとも私はその1人である。

 

 

Kis-My-Ft2 LIVE TOUR 2020 Toy-2/Kis-My-Ft2

でたよ。人生の大番狂わせ。これのせいで今後の人生の予定が全て崩れたといっても過言ではない。正直、この記事もこのライブの感想書きたいから書いてるところある。アイドルなんて所詮人が作った歌歌ってるだけでしょ?何がかっこいいのかわかんない。とか思っていた過去の自分を助走付けて殴り飛ばしたい。アイドルに対してかなりの偏見を抱いていた私がなぜここまでずぶずぶにKis-My-Ft2にどはまりしてしまったのかは、追々別の記事で書きます。書かないとやってらんねぇ。今回はとりあえずライブの感想だけ書きます。

 

 今までロックバンドのライブしか見たことがなかったので、何から何まで衝撃の連続だった。まずOP映像が流れたことが衝撃だった。メンバーが技術士になって人形を作ってる映像だったのだが、何がすごいってこの映像、このライブのためだけに作られたものらしい。ロックバンドのライブでも周年ライブなどの大きいライブの時には特別映像が流れたこともあったが、これまでのライブの映像とかリハーサルの様子だった。わざわざ、別撮りするなんてお金のかかりかたが違う。後から知ったのだが、このOP映像は各ライブツアーのコンセプトに合わせて毎回収録されているらしい。すごいな。

 

 事前に他のライブ映像を見ていたのでステージギミックや特効(花火とかめっちゃ打ち上がるやつ)があることは知っていたが、それでも驚いた。ステージ上に扉がでてきたり、メンバーがそれぞれ違う場所からでてきたりして、視覚的な楽しさもあった。特効が予想以上に多かったが。多分あの日で一年分の火花見た気がする。ある曲のサビの時ずっと火でてたもん。怖いよ。

 また、彼らの最大の持ち味であるローラースケートを活かしたパフォーマンスが随所に光っていた。ローラースケートをはいている分移動が速いので、息つく間もなくフォーメーションが変わる。そのため、目を離せない。先ほどの紅白歌合戦でもローラーの機動力を存分に活かしていた。思わず画面の前でにっこり。ところで、皆さんはローラースケートをはいたことがあるだろうか。私は一回だけあるのだが、全く滑れなかった。運動神経がないもんで、立つのもギリギリだった。彼らはあの不安定な足下で踊っているのだ。笑顔を絶やさずに。アイドルの本領を見せつけられた。

 

 演出面でも衝撃の連続だったが、何より一番驚いたのは、普通に歌がうまいことだった。1人1人の歌もうまいのだが、声が重なった時が素晴らしい。しかも、2人より3人、3人より4人と声が重なるたびに良くなっていく。7人で歌うと単純に7人の声が重なっているのではなくて、1つの新しい声に聞こえる。人数を増やせば増やすほど、声が喧嘩しなくなるのだ。そんなことある?と思った方は、ぜひ聴いてみてほしい。今まで複数人で歌う曲をあまり聴いてこなかったので新鮮だった。なぜか舞祭組4人でアカペラすると喧嘩しまくるんですけどね・・・。あと単純に踊りながら歌っていることがすごい。肺活量と体力どうなっているんだろう。バンドもそうだが何かをしながら歌うって、相当ハードルの高いことだと思っている。それを平然とやってのけるからこそ、彼らはステージに立っているのだろう。

 

 このライブを見て一番感じたことは、ライブと名のつくものは総じて楽しいということだった。ロックバンドは音で楽しませるが、アイドルはパフォーマンスで楽しませる。方法の違いはあれど、根底にあるものは一緒だった。そのことに気づけただけで、このライブを見た価値があった。

 

おわりに

 以上が今年参戦した配信ライブのざっとした感想である。ざっとしてたか?何度も言うが、全部書けなかったのが辛い。そもそも、1日で書き上げるなんて無理なんだよ。なんでこんな無理したんだよ意味わかんないよ。なんとかして、今年見たライブの感想を今年中に残しておきたかったんだ・・・。9mmの白夜の百年も素晴らしかったし、fun time HOLIDAY ONLINEもめちゃくちゃに良かった。見たライブ全て良かったのだ。いずれ時間ができたら、書き切れなかったライブの感想も書きたい。できたら。

 

 これまで通りの生活がおくれなくなって初めて、当たり前の日常がどれほど貴重だったものか気づかされた。ライブに行けることがどれだけ幸せなことだったのか、生の音を浴びて歓声を上げることがどれだけ楽しいことだったのか。しかし同時に、音楽は聴き手がいる限り無くならないし、ロックバンドやアーティストは常に私たち観客を楽しませることを考えてくれていることに気づけた。それに気づけただけ実りがあった1年だったかなと思うようにした。でもやっぱり、生のライブに行きたい。いつ行けるようになるのか全く分からないが、私はその時を待ち続ける。

 

 そうこうしているうちに今年ももう残り2時間と少しになっていた。時間が経つのは早い。ノリと勢いではじめたブログですが、細々とやっていけたらと思います。それでは皆さん良いお年を。私はこれからUNISON SQUARE GARDENの年越しライブを見ます。